18 / 43
第2章:ETERNAL 0 or -1.0
(3)
しおりを挟む
「こ……この男が誰か知ってるの?」
僕は、突如現われて僕達を助けてくれた謎の女にそう訊いた。
小柄だ……一五〇㎝台前半……でも妙に筋肉質。
迷彩模様のような柄の長ズボンの柔道着っぽい外見の服……そんな感じの服装だ。
セミロングの髪を首の辺りで一本に束ねてて……日本人っぽい顔立ち。
「何だ、全国ニュースにはなってなかったのか?」
「えっ?」
「お前、日本から転生したんだろ? 知らなかったのか、こいつを?」
「だから、誰だよ?」
「出身はどこだ?」
「何で、そんな事を?……一応、関東出身だけど……死んだ時は東北……」
「なるほど……こいつは、九州の大牟田って町のチンケなヤクザの組長の息子だ。私が高校の頃にニュースになったが、もう死刑になってたようだな」
「死刑?」
「保険金殺人か……何か、そんな被害の割に理由はしょ~もない殺人事件で五人か十人殺して、父親・母親・息子2人の一家全員に死刑判決が下ったヤクザの一家だ。あ、ヤクザってのは比喩じゃない。本当に広域暴力団の系列の……下の方だが、組長一家だ」
「危険人物じゃないかッ‼」
「そう、お前が思ってるよりも危険人物だ。……その一家の中でも、こいつは、元相撲取りだった」
「へっ?……そんな馬鹿馬鹿しい奴が……」
「居るから仕方ない。現実ってのは、結構、無茶苦茶だ。そして、それが……お前が、火事場の馬鹿力を出しても敵わなかった理由だ」
「どう言う事?」
「聞いた事ないか? 空手や柔道の無差別級の全国大会出場レベルでは……十両か下手したら幕下の力士にさえ敵わない。そして、こいつは、途中でドロップアウトしたとは言え、元力士だ。お前が火事場の馬鹿力を出した時の身体能力なんて、素の状態のこいつの身体能力より数段下だ。しかも、お前は武道・武術や格闘技の訓練を受けてなくて、体を効率的に使えないようだな。ますます不利だ」
「あ……あの……御二人は何を話していらっしゃるのですか?」
その時、聖女様の不安気な声。
「会話の内容を悟られないように、日本語で話してる理由を察したようだな」
えっ……。
あ……そう云う事って……待って、こいつ、これから……。
あの感覚……火事場の馬鹿力が出る寸前の……。
「助けてやった礼が欲しい。その女を渡せ。あ、チビの男の方は要らん」
「何の為にだッ⁉」
力は湧いてるのに……いつものような高揚感が無い。
何かが……おかしい。
この女は……今、気絶して床に倒れてる力士崩れより危険い奴だ……そう、僕の中の何かが告げている。
「私は……この世界に居る白人に見える者達の正体について、ある仮説を立てている。その為に、この世界の人間や……白人に見える者達の体を調べた。だが、私の仮説が正しいって確信は……9割って所だ。あと1割が足りない。どうやら、白人に見える者達の中でも純血種に近いらしい上に、しかも、めずらしい成体のメス……」
「待て……調べるって、どうやってだッ?」
「そりゃ決ってるだろ……解剖……」
サイコ女が全部言い終える前に、火事場の馬鹿力が発動。
僕は、聖女様とスナガを抱えダッシュ‼
あれ?
さっきの力士を倒した……苦痛をもたらす呪文が……来ない。
「な……何だよ、この世界の転生者は……僕以外は@#$%ばかりか? さっきの力士もサイコ女も」
「あ……あの……勇者様……あの女の方は……転生者ではありません」
「えっ? だって、どう考えても……僕と同じ世界の同じ国の出身にしか思えない話をしてたよ……。話してたのも、元の世界で僕が生まれ育った国の言葉……」
「この世界に出現する転生者は……男だけの筈なのです」
どうなってるの?
じゃあ、あの女は……?
「あの女の方は転移者です。異世界転生の仕組みを不正に使って、他の世界から、この世界に来た何者かです……目的は判りませんが……」
「どう……なってるの……?」
「それに、あの女の方が使った呪文は……この世界の魔法ではありません」
「そんな馬鹿な……じゃあ、あの呪文は……どこの世界の……?」
地下の下水道から外に出た時、僕は力尽き、膝をつく……。
頭の中は「?????」の嵐……。
そして……。
更に……無茶苦茶なモノを見付けてしまった……空に……。
理科の成績が、あんまり良くなかった僕でも知ってるモノが……。
7つの星が……柄杓かスプーンのような形に並んだ星座が……2つ。
北斗七星と小熊座だった。
だが……それで終りじゃなかった。
無数の灯りが、僕達を取り囲んでいた。
僕は、突如現われて僕達を助けてくれた謎の女にそう訊いた。
小柄だ……一五〇㎝台前半……でも妙に筋肉質。
迷彩模様のような柄の長ズボンの柔道着っぽい外見の服……そんな感じの服装だ。
セミロングの髪を首の辺りで一本に束ねてて……日本人っぽい顔立ち。
「何だ、全国ニュースにはなってなかったのか?」
「えっ?」
「お前、日本から転生したんだろ? 知らなかったのか、こいつを?」
「だから、誰だよ?」
「出身はどこだ?」
「何で、そんな事を?……一応、関東出身だけど……死んだ時は東北……」
「なるほど……こいつは、九州の大牟田って町のチンケなヤクザの組長の息子だ。私が高校の頃にニュースになったが、もう死刑になってたようだな」
「死刑?」
「保険金殺人か……何か、そんな被害の割に理由はしょ~もない殺人事件で五人か十人殺して、父親・母親・息子2人の一家全員に死刑判決が下ったヤクザの一家だ。あ、ヤクザってのは比喩じゃない。本当に広域暴力団の系列の……下の方だが、組長一家だ」
「危険人物じゃないかッ‼」
「そう、お前が思ってるよりも危険人物だ。……その一家の中でも、こいつは、元相撲取りだった」
「へっ?……そんな馬鹿馬鹿しい奴が……」
「居るから仕方ない。現実ってのは、結構、無茶苦茶だ。そして、それが……お前が、火事場の馬鹿力を出しても敵わなかった理由だ」
「どう言う事?」
「聞いた事ないか? 空手や柔道の無差別級の全国大会出場レベルでは……十両か下手したら幕下の力士にさえ敵わない。そして、こいつは、途中でドロップアウトしたとは言え、元力士だ。お前が火事場の馬鹿力を出した時の身体能力なんて、素の状態のこいつの身体能力より数段下だ。しかも、お前は武道・武術や格闘技の訓練を受けてなくて、体を効率的に使えないようだな。ますます不利だ」
「あ……あの……御二人は何を話していらっしゃるのですか?」
その時、聖女様の不安気な声。
「会話の内容を悟られないように、日本語で話してる理由を察したようだな」
えっ……。
あ……そう云う事って……待って、こいつ、これから……。
あの感覚……火事場の馬鹿力が出る寸前の……。
「助けてやった礼が欲しい。その女を渡せ。あ、チビの男の方は要らん」
「何の為にだッ⁉」
力は湧いてるのに……いつものような高揚感が無い。
何かが……おかしい。
この女は……今、気絶して床に倒れてる力士崩れより危険い奴だ……そう、僕の中の何かが告げている。
「私は……この世界に居る白人に見える者達の正体について、ある仮説を立てている。その為に、この世界の人間や……白人に見える者達の体を調べた。だが、私の仮説が正しいって確信は……9割って所だ。あと1割が足りない。どうやら、白人に見える者達の中でも純血種に近いらしい上に、しかも、めずらしい成体のメス……」
「待て……調べるって、どうやってだッ?」
「そりゃ決ってるだろ……解剖……」
サイコ女が全部言い終える前に、火事場の馬鹿力が発動。
僕は、聖女様とスナガを抱えダッシュ‼
あれ?
さっきの力士を倒した……苦痛をもたらす呪文が……来ない。
「な……何だよ、この世界の転生者は……僕以外は@#$%ばかりか? さっきの力士もサイコ女も」
「あ……あの……勇者様……あの女の方は……転生者ではありません」
「えっ? だって、どう考えても……僕と同じ世界の同じ国の出身にしか思えない話をしてたよ……。話してたのも、元の世界で僕が生まれ育った国の言葉……」
「この世界に出現する転生者は……男だけの筈なのです」
どうなってるの?
じゃあ、あの女は……?
「あの女の方は転移者です。異世界転生の仕組みを不正に使って、他の世界から、この世界に来た何者かです……目的は判りませんが……」
「どう……なってるの……?」
「それに、あの女の方が使った呪文は……この世界の魔法ではありません」
「そんな馬鹿な……じゃあ、あの呪文は……どこの世界の……?」
地下の下水道から外に出た時、僕は力尽き、膝をつく……。
頭の中は「?????」の嵐……。
そして……。
更に……無茶苦茶なモノを見付けてしまった……空に……。
理科の成績が、あんまり良くなかった僕でも知ってるモノが……。
7つの星が……柄杓かスプーンのような形に並んだ星座が……2つ。
北斗七星と小熊座だった。
だが……それで終りじゃなかった。
無数の灯りが、僕達を取り囲んでいた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる