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第4章:ダークナイト

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「やめろ、やめるんだッ‼」
「うるせえッ‼」
「クソ冒険者を殺せ~ッ‼」
「殺せッ‼」
「殺せッ‼」
「殺せッ‼」
「殺せッ‼」
 何で……こんな事になってしまったんだろうか?
 「自分は闇堕ちして魔族になったと思い込んでる元・冒険者」じゃなくて、本当に半人半魔としか言えないナニかになった冒険者が町中に出現して、まだ2日。
 半人半魔の改造人間に変わり果てていた「暁の騎士」イキールが死んだ場所は……高濃度の闇の魔力……いわゆる「邪気」「瘴気」に汚染され、立入禁止区域となってしまった。
 あの時を境に……元・冒険者は「正義の味方にブチのめされる雑魚モンスター」から「危険人物ども」へと変ったのだ。
 そして始まった。
 善良な一般市民による「冒険者狩り」が……。
 当然ながら「冒険者が井戸に毒を入れてるのを見た」という定番の噂も広まっている。
 流石にこの都市まちから逃げ出すべきだと思って、荷物をまとめて家を出た途端……冒険者と間違われた誰かが、善良なる一般市民サマ達によって火炙りにされかけている場面に出喰わした。
 無視だ、無視。
 スーパーヒーローギルド所属の三下ヒーローが、善良なる暴徒達から冒険者に間違われた哀れな男を庇っている。
 本当に嘔吐が出る。
 全く、スーパーヒーロー様って奴は、御立派な事で……。
 僕は、現実主義者なんで、冒険者と勘違いされた可哀想な誰かが消し炭になってる間に、この都市まちから逃げ出させてもらう。
 ……ああ、待てよ、途中で、適当な誰かを指差して「こいつ冒険者だぞ‼ 昨日の夜中に井戸に毒を入れてたのを見たぞ‼」とか叫べば……もっと逃げ出し易くなったりするのか?
「違う、こいつは冒険者なんかじゃない」
「あ~、この辺りの自治会長ですが、エビデンスを出して下さい。エビデンスが無ければ、貴方も冒険者の一味と見做して火炙りです」
「いい加減にしろ~ッ‼」
 その怒りの声には……聞き覚えが有った。
「冒険者なら殺していいのかッ⁉」
 冒険者ギルドに所属してた頃に僕たちのパーティーよりランキングが1つ上のパーティーのリーダーだった「光の剣士」シャロルの声だ。
 善良なる暴徒の皆様は……その一言で我に返ったようで、一瞬だけ鎮まり……そして、ザワザワと……。
「何言ってんだ、このメスガキ?」
「殺していいに決ってるだろ」
「冒険者と間違って誰かを殺したって……町を守る為だ。逮捕されたって、その内、恩赦で娑婆に戻って来られる」
「うんうん、前にも、そう云う事が有った」
「あ……こいつ……見た事が有るぞ。こいつも冒険者だ」
「まぁ……メスガキだから、殺さずにわからせるだけで勘弁してやろうぜ……ゲヘヘヘ……」
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