25 / 36
第4章:ダークナイト
(1)
しおりを挟む
「やめろ、やめるんだッ‼」
「うるせえッ‼」
「クソ冒険者を殺せ~ッ‼」
「殺せッ‼」
「殺せッ‼」
「殺せッ‼」
「殺せッ‼」
何で……こんな事になってしまったんだろうか?
「自分は闇堕ちして魔族になったと思い込んでる元・冒険者」じゃなくて、本当に半人半魔としか言えないナニかになった冒険者が町中に出現して、まだ2日。
半人半魔の改造人間に変わり果てていた「暁の騎士」イキールが死んだ場所は……高濃度の闇の魔力……いわゆる「邪気」「瘴気」に汚染され、立入禁止区域となってしまった。
あの時を境に……元・冒険者は「正義の味方にブチのめされる雑魚モンスター」から「危険人物ども」へと変ったのだ。
そして始まった。
善良な一般市民による「冒険者狩り」が……。
当然ながら「冒険者が井戸に毒を入れてるのを見た」という定番の噂も広まっている。
流石にこの都市から逃げ出すべきだと思って、荷物をまとめて家を出た途端……冒険者と間違われた誰かが、善良なる一般市民サマ達によって火炙りにされかけている場面に出喰わした。
無視だ、無視。
スーパーヒーローギルド所属の三下ヒーローが、善良なる暴徒達から冒険者に間違われた哀れな男を庇っている。
本当に嘔吐が出る。
全く、スーパーヒーロー様って奴は、御立派な事で……。
僕は、現実主義者なんで、冒険者と勘違いされた可哀想な誰かが消し炭になってる間に、この都市から逃げ出させてもらう。
……ああ、待てよ、途中で、適当な誰かを指差して「こいつ冒険者だぞ‼ 昨日の夜中に井戸に毒を入れてたのを見たぞ‼」とか叫べば……もっと逃げ出し易くなったりするのか?
「違う、こいつは冒険者なんかじゃない」
「あ~、この辺りの自治会長ですが、エビデンスを出して下さい。エビデンスが無ければ、貴方も冒険者の一味と見做して火炙りです」
「いい加減にしろ~ッ‼」
その怒りの声には……聞き覚えが有った。
「冒険者なら殺していいのかッ⁉」
冒険者ギルドに所属してた頃に僕たちのパーティーよりランキングが1つ上のパーティーのリーダーだった「光の剣士」シャロルの声だ。
善良なる暴徒の皆様は……その一言で我に返ったようで、一瞬だけ鎮まり……そして、ザワザワと……。
「何言ってんだ、このメスガキ?」
「殺していいに決ってるだろ」
「冒険者と間違って誰かを殺したって……町を守る為だ。逮捕されたって、その内、恩赦で娑婆に戻って来られる」
「うんうん、前にも、そう云う事が有った」
「あ……こいつ……見た事が有るぞ。こいつも冒険者だ」
「まぁ……メスガキだから、殺さずにわからせるだけで勘弁してやろうぜ……ゲヘヘヘ……」
「うるせえッ‼」
「クソ冒険者を殺せ~ッ‼」
「殺せッ‼」
「殺せッ‼」
「殺せッ‼」
「殺せッ‼」
何で……こんな事になってしまったんだろうか?
「自分は闇堕ちして魔族になったと思い込んでる元・冒険者」じゃなくて、本当に半人半魔としか言えないナニかになった冒険者が町中に出現して、まだ2日。
半人半魔の改造人間に変わり果てていた「暁の騎士」イキールが死んだ場所は……高濃度の闇の魔力……いわゆる「邪気」「瘴気」に汚染され、立入禁止区域となってしまった。
あの時を境に……元・冒険者は「正義の味方にブチのめされる雑魚モンスター」から「危険人物ども」へと変ったのだ。
そして始まった。
善良な一般市民による「冒険者狩り」が……。
当然ながら「冒険者が井戸に毒を入れてるのを見た」という定番の噂も広まっている。
流石にこの都市から逃げ出すべきだと思って、荷物をまとめて家を出た途端……冒険者と間違われた誰かが、善良なる一般市民サマ達によって火炙りにされかけている場面に出喰わした。
無視だ、無視。
スーパーヒーローギルド所属の三下ヒーローが、善良なる暴徒達から冒険者に間違われた哀れな男を庇っている。
本当に嘔吐が出る。
全く、スーパーヒーロー様って奴は、御立派な事で……。
僕は、現実主義者なんで、冒険者と勘違いされた可哀想な誰かが消し炭になってる間に、この都市から逃げ出させてもらう。
……ああ、待てよ、途中で、適当な誰かを指差して「こいつ冒険者だぞ‼ 昨日の夜中に井戸に毒を入れてたのを見たぞ‼」とか叫べば……もっと逃げ出し易くなったりするのか?
「違う、こいつは冒険者なんかじゃない」
「あ~、この辺りの自治会長ですが、エビデンスを出して下さい。エビデンスが無ければ、貴方も冒険者の一味と見做して火炙りです」
「いい加減にしろ~ッ‼」
その怒りの声には……聞き覚えが有った。
「冒険者なら殺していいのかッ⁉」
冒険者ギルドに所属してた頃に僕たちのパーティーよりランキングが1つ上のパーティーのリーダーだった「光の剣士」シャロルの声だ。
善良なる暴徒の皆様は……その一言で我に返ったようで、一瞬だけ鎮まり……そして、ザワザワと……。
「何言ってんだ、このメスガキ?」
「殺していいに決ってるだろ」
「冒険者と間違って誰かを殺したって……町を守る為だ。逮捕されたって、その内、恩赦で娑婆に戻って来られる」
「うんうん、前にも、そう云う事が有った」
「あ……こいつ……見た事が有るぞ。こいつも冒険者だ」
「まぁ……メスガキだから、殺さずにわからせるだけで勘弁してやろうぜ……ゲヘヘヘ……」
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
私の平穏な日々
あきづきみなと
ファンタジー
前世で過労死したものの、気がつけば異世界の公爵令嬢に転生していたミカエラ。けれど、貴族のご令嬢らしく政略結婚するのはまっぴらごめん! そこで将来自立することを目標に、前世の知識と魔法を駆使して、領地をちょっとずつ改革する日々を送っている。やがて15歳となったミカエラは、王立学院へ入学。面倒事はあれど、新たな令嬢友達もできて、有意義な毎日を過ごしていたのだけれど……とある平民少女の編入で、トラブルが急増!? その少女は、ミカエラや彼女の友人をなぜか『悪役』だと認識しているようで――
極めて古典的な国防省のデータセンターへの侵入方法
蓮實長治
大衆娯楽
ある国の国防省のデータセンターから大量の機密データが盗まれたらしい、との指摘が同盟国から有ったのだが……果たして、その方法とは?
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「Novel Days」「ノベリズム」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。
竜焔の騎士
時雨青葉
ファンタジー
―――竜血剣《焔乱舞》。それは、ドラゴンと人間にかつてあった絆の証……
これは、人間とドラゴンの二種族が栄える世界で起こった一つの物語―――
田舎町の孤児院で暮らすキリハはある日、しゃべるぬいぐるみのフールと出会う。
会うなり目を輝かせたフールが取り出したのは―――サイコロ?
マイペースな彼についていけないキリハだったが、彼との出会いがキリハの人生を大きく変える。
「フールに、選ばれたのでしょう?」
突然訪ねてきた彼女が告げた言葉の意味とは――!?
この世にたった一つの剣を手にした少年が、ドラゴンにも人間にも体当たりで向き合っていく波瀾万丈ストーリー!
天然無自覚の最強剣士が、今ここに爆誕します!!
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる