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現実編醜合戦
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『20XX年現在、フェミニズムは消え去る寸前であり、フェミニストどもは絶滅危惧種であり、もはや誰もあのクソ婆ァどもの意見になど耳を貸さないと言っても過言では無い』
俺は、画像投稿サイトの「そるだむ」の機能の1つである「そるだむ大百科」の「フェミニズム」の項目に、そう書き加えた。
ん?
画面の隅の「最近、更新された項目」の表示が変った。
一番上に表示されているのは、ウチの国と仲が悪い隣国についての項目だ。
ちょっと見てみるとするか……。
そう思ってWebブラウザの別タブでリンクを開いた次の瞬間……携帯電話が鳴り出した。
「え? 何だ……こりゃ」
携帯電話に届いていたのは市役所からの災害通知メール。
『旧L国跡から流入する「死の灰」の量が既定値を超えました。市民の皆様は外出を控えて下さい』
俺は、さっき、「そるだむ大百科」のそのL国に関する項目を開いたばかりだった。
どうなってんだと思って「そるだむ大百科」のL国の項目を見ると……。
『我が国に対する数々の嫌がらせの報いを受け20XY年に滅亡した』
へっ?
そんな話聞いた事も無いぞ……。
と思った次の瞬間、PCの画面にポップアップが表示される。
『御覧になっている「L国」の内容が更新されました』
あれ?
何だ、こりゃ?
こう云う新機能が付いたのか?
そして「そるだむ大百科」のL国の項目を見直すと……。
『この国が20XY年に国全土に対する核攻撃を受けて滅んだなんて事実は無い。絶対に無い。その核攻撃の際に出た「死の灰」が我が国に流入してる何て事も無い。絶対にない。絶対に、絶対に、絶対にだッ!!!!』
な……なんだこりゃ?
ふと、携帯電話に目をやると……さっきの災害通知メールが消えていた。
事態を把握出来ない内に、再び、PCの画面にポップアップが表示された。
『御覧になっている「フェミニズム」の更新内容が破棄され、前バージョンに差し戻されました』
何だ?
俺は、もう一度、「フェミニズム」の内容を書き換え……あ……何で、さっき気付かなかったんだ?
明らかに変な記述が有るのを見落してた……。
ちょっと待てよ……。
俺は、本棚からネット論客の「藍ゴーグル・ミルクダディ」さんのフェミニズム批判本を取り出して、それを参考に該当箇所を書き換え……更新ボタンを押し……。
えっ?
更新ボタンを押した瞬間、キーボードの横に置いていたミルクダディさんの本が、突如として消えて無くなった。
『御覧になっている「フェミニズム」の更新内容が破棄され、前バージョンに差し戻されました』
再び、そのポップアップが表示された。
誰がやってんだよ、一体?
あ……あれ?
さっき、突如として消えたミルクダディさんの本が再び出現している。
どうなってんだ?
いや、待て、そもそも、差し戻しをやってるのは誰だ?
俺は編集履歴を確認し……えっ?
差し戻しをやってるのは……俺の先輩格のネット論客で、フェミ批判界隈の有名人であるミルクダディさん本人だった。
『何で、こんな真似するんですか?』
俺はSNSのDMでミルクダディさんにそう言った。
『あのさ、「そるだむ大百科」の新機能が何か知らないの?』
どう云う事だと思って、「そるだむ」の告知ページを開くと……。
『「そるだむ大百科」のWEB版およびスマホ・アプリ版に新機能を追加しました。
・表示中の項目が更新された場合に通知を表示する機能を付けました。
・「最近、更新された項目」「新しく作成された項目」の表示がリアルタイムで更新されるようになりました。
・「そるだむ大百科」に書かれた事は現実になります。
- 「そるだむ」のアカウントをお持ちの方も、この現実改変の影響を受けます。
- ただし「そるだむ」のアカウントをお持ちの方は、この現実改変が起きた事を認識出来ます。』
お……おい……何だこりゃ?
『だから、君が「フェミニズムは絶滅寸前」って風に現実を改変しちゃうと、俺が迷惑するんだよ』
『何でですか? フェミどもが滅ぶのが俺達の望みだった筈ですよね?』
『あのなぁ、フェミどもは絶滅危惧種だなんて風に現実を改変された影響で、俺のフェミ批判本が出版されたって事実まで消えちまったんだよ』
『い……いや……何を言ってんですか?』
『まだ、判んねえのか、この馬鹿。それでよくネット論客を気取ってるな。お前もお前をネット論客扱いしてる奴も、全部、阿呆だ』
『何がですか?』
『だから、フェミどもが絶滅寸前じゃないからこそ逆に、フェミ批判本を出してくれる出版社が有るんだよ。フェミどもが放っておいても消えちまうなら、誰もフェミどもをうざがらねえし、どこの出版社もフェミ批判本なんて出さないし、誰もフェミ批判本なんて読まねえよ!!!! 本当は、フェミどもが手強い相手だと薄々は判ってるからこそ、みんな、フェミどもは馬鹿でその内自滅する、って嘘を信じたがってるに決ってるだろ!!!!』
『はぁ、あんた、何、ふざけた事を言ってんだ? 頭、大丈夫か?』
『うるせえ、お前もいいかげん、大人になれ』
『何を偉そうに。あんたとは、もう、これっきりだ』
そして、編集合戦が始まった。
1日の内に100回を超える更新と差し戻し。
最早、根負けした方が負けと云う状況になり……。
その時、「新しく作成された項目」に「割れ鐘ノート」というこうもくが……。
あれ……おれのなまえ……が、なぜ……あれ……どうしたんだろう……かんじがうまくよめなく……。
「割れ鐘ノート:ネット論客を気取る底抜けの阿呆」と云う内容を正しいとは言えないにせよ、多少はマシな内容に書き換え終った時には、更に1日が過ぎていた。
思考スピードが異様に遅くなっていた事だけは、ボンヤリと記憶しているが……ミルクダディの野郎に「底抜けの阿呆」にされてしまっていた時の俺の思考は……当の俺自身でさえ良く理解出来なくなっていた。
何が起きているかを推測し、どう対処すれば良いのかを思い付き、それを実行する……その間に、丸1日が過ぎ……ん? 何の臭いだ、これ?
うわあああッ!!!!
阿呆にされていた間の俺は、机の周囲に糞小便を垂れ流していた……らしかった。
糞、糞、糞、絶対に報復してやるッ!!!!
俺は「そるだむ大百科」に「藍ゴーグル・ミルクダディ」と云う項目を作り……。
『20XX年X月X日、天罰下り呪いを受け醜く苦しみくたばった』
そう書いて更新ボタンをクリック……。
その直後に、PCの画面に「御覧になっている『割れ鐘ノート』の内容が更新されました」のポップアップ。
『数々の迷惑行為により20XX年X月X日に「そるだむ」のアカウントをBANされた』
えっと……俺は何をやっていたんだ?
何で、こんなページを見て……ん? 何で「そるだむ大百科」に俺とミルクダディさんの項目が出来てて、しかも、こんな酷い悪口が書かれ……あれ……「そるだむ」にログイン出来ない……どうなって……うわあああッ!!!!
翌日の「そるだむ大百科」の「藍ゴーグル・ミルクダディ」の項目の追記内容:
住んでいたアパートに落雷が有り、それによって起きた火事により死亡した。
翌日の「そるだむ大百科」の「割れ鐘ノート」の項目の追記内容:
本人は気付いていなかったらしいが、たまたま、同じくネット論客である藍ゴーグル・ミルクダディと同じアパートに住んでおり、藍ゴーグル・ミルクダディの死因である落雷と火事により同じく死亡した。
俺は、画像投稿サイトの「そるだむ」の機能の1つである「そるだむ大百科」の「フェミニズム」の項目に、そう書き加えた。
ん?
画面の隅の「最近、更新された項目」の表示が変った。
一番上に表示されているのは、ウチの国と仲が悪い隣国についての項目だ。
ちょっと見てみるとするか……。
そう思ってWebブラウザの別タブでリンクを開いた次の瞬間……携帯電話が鳴り出した。
「え? 何だ……こりゃ」
携帯電話に届いていたのは市役所からの災害通知メール。
『旧L国跡から流入する「死の灰」の量が既定値を超えました。市民の皆様は外出を控えて下さい』
俺は、さっき、「そるだむ大百科」のそのL国に関する項目を開いたばかりだった。
どうなってんだと思って「そるだむ大百科」のL国の項目を見ると……。
『我が国に対する数々の嫌がらせの報いを受け20XY年に滅亡した』
へっ?
そんな話聞いた事も無いぞ……。
と思った次の瞬間、PCの画面にポップアップが表示される。
『御覧になっている「L国」の内容が更新されました』
あれ?
何だ、こりゃ?
こう云う新機能が付いたのか?
そして「そるだむ大百科」のL国の項目を見直すと……。
『この国が20XY年に国全土に対する核攻撃を受けて滅んだなんて事実は無い。絶対に無い。その核攻撃の際に出た「死の灰」が我が国に流入してる何て事も無い。絶対にない。絶対に、絶対に、絶対にだッ!!!!』
な……なんだこりゃ?
ふと、携帯電話に目をやると……さっきの災害通知メールが消えていた。
事態を把握出来ない内に、再び、PCの画面にポップアップが表示された。
『御覧になっている「フェミニズム」の更新内容が破棄され、前バージョンに差し戻されました』
何だ?
俺は、もう一度、「フェミニズム」の内容を書き換え……あ……何で、さっき気付かなかったんだ?
明らかに変な記述が有るのを見落してた……。
ちょっと待てよ……。
俺は、本棚からネット論客の「藍ゴーグル・ミルクダディ」さんのフェミニズム批判本を取り出して、それを参考に該当箇所を書き換え……更新ボタンを押し……。
えっ?
更新ボタンを押した瞬間、キーボードの横に置いていたミルクダディさんの本が、突如として消えて無くなった。
『御覧になっている「フェミニズム」の更新内容が破棄され、前バージョンに差し戻されました』
再び、そのポップアップが表示された。
誰がやってんだよ、一体?
あ……あれ?
さっき、突如として消えたミルクダディさんの本が再び出現している。
どうなってんだ?
いや、待て、そもそも、差し戻しをやってるのは誰だ?
俺は編集履歴を確認し……えっ?
差し戻しをやってるのは……俺の先輩格のネット論客で、フェミ批判界隈の有名人であるミルクダディさん本人だった。
『何で、こんな真似するんですか?』
俺はSNSのDMでミルクダディさんにそう言った。
『あのさ、「そるだむ大百科」の新機能が何か知らないの?』
どう云う事だと思って、「そるだむ」の告知ページを開くと……。
『「そるだむ大百科」のWEB版およびスマホ・アプリ版に新機能を追加しました。
・表示中の項目が更新された場合に通知を表示する機能を付けました。
・「最近、更新された項目」「新しく作成された項目」の表示がリアルタイムで更新されるようになりました。
・「そるだむ大百科」に書かれた事は現実になります。
- 「そるだむ」のアカウントをお持ちの方も、この現実改変の影響を受けます。
- ただし「そるだむ」のアカウントをお持ちの方は、この現実改変が起きた事を認識出来ます。』
お……おい……何だこりゃ?
『だから、君が「フェミニズムは絶滅寸前」って風に現実を改変しちゃうと、俺が迷惑するんだよ』
『何でですか? フェミどもが滅ぶのが俺達の望みだった筈ですよね?』
『あのなぁ、フェミどもは絶滅危惧種だなんて風に現実を改変された影響で、俺のフェミ批判本が出版されたって事実まで消えちまったんだよ』
『い……いや……何を言ってんですか?』
『まだ、判んねえのか、この馬鹿。それでよくネット論客を気取ってるな。お前もお前をネット論客扱いしてる奴も、全部、阿呆だ』
『何がですか?』
『だから、フェミどもが絶滅寸前じゃないからこそ逆に、フェミ批判本を出してくれる出版社が有るんだよ。フェミどもが放っておいても消えちまうなら、誰もフェミどもをうざがらねえし、どこの出版社もフェミ批判本なんて出さないし、誰もフェミ批判本なんて読まねえよ!!!! 本当は、フェミどもが手強い相手だと薄々は判ってるからこそ、みんな、フェミどもは馬鹿でその内自滅する、って嘘を信じたがってるに決ってるだろ!!!!』
『はぁ、あんた、何、ふざけた事を言ってんだ? 頭、大丈夫か?』
『うるせえ、お前もいいかげん、大人になれ』
『何を偉そうに。あんたとは、もう、これっきりだ』
そして、編集合戦が始まった。
1日の内に100回を超える更新と差し戻し。
最早、根負けした方が負けと云う状況になり……。
その時、「新しく作成された項目」に「割れ鐘ノート」というこうもくが……。
あれ……おれのなまえ……が、なぜ……あれ……どうしたんだろう……かんじがうまくよめなく……。
「割れ鐘ノート:ネット論客を気取る底抜けの阿呆」と云う内容を正しいとは言えないにせよ、多少はマシな内容に書き換え終った時には、更に1日が過ぎていた。
思考スピードが異様に遅くなっていた事だけは、ボンヤリと記憶しているが……ミルクダディの野郎に「底抜けの阿呆」にされてしまっていた時の俺の思考は……当の俺自身でさえ良く理解出来なくなっていた。
何が起きているかを推測し、どう対処すれば良いのかを思い付き、それを実行する……その間に、丸1日が過ぎ……ん? 何の臭いだ、これ?
うわあああッ!!!!
阿呆にされていた間の俺は、机の周囲に糞小便を垂れ流していた……らしかった。
糞、糞、糞、絶対に報復してやるッ!!!!
俺は「そるだむ大百科」に「藍ゴーグル・ミルクダディ」と云う項目を作り……。
『20XX年X月X日、天罰下り呪いを受け醜く苦しみくたばった』
そう書いて更新ボタンをクリック……。
その直後に、PCの画面に「御覧になっている『割れ鐘ノート』の内容が更新されました」のポップアップ。
『数々の迷惑行為により20XX年X月X日に「そるだむ」のアカウントをBANされた』
えっと……俺は何をやっていたんだ?
何で、こんなページを見て……ん? 何で「そるだむ大百科」に俺とミルクダディさんの項目が出来てて、しかも、こんな酷い悪口が書かれ……あれ……「そるだむ」にログイン出来ない……どうなって……うわあああッ!!!!
翌日の「そるだむ大百科」の「藍ゴーグル・ミルクダディ」の項目の追記内容:
住んでいたアパートに落雷が有り、それによって起きた火事により死亡した。
翌日の「そるだむ大百科」の「割れ鐘ノート」の項目の追記内容:
本人は気付いていなかったらしいが、たまたま、同じくネット論客である藍ゴーグル・ミルクダディと同じアパートに住んでおり、藍ゴーグル・ミルクダディの死因である落雷と火事により同じく死亡した。
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