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第三章:Do the right thing

シルバー・ローニン(10)

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「行かせん、行かせん、絶対に行かせんッ‼」
「行く、行く、行く、絶対に行くッ‼」
 数十分の言い合いの後……裕子はとんでもない解決策を思い付いたようだ。
 こちらでは精神操作能力への耐性も持つ者が年々多くなっている。
 「
 つまり、こちら側にも精神操作能力への耐性を持っていない人達も、まだ少なからず居る。
 私達は、そんな人達に阻まれて……裕子達から引き離された。
「あ……あの野郎……悪党の素質有るぞ……」
 単に操られているだけの一般人に過ぎず、下手に傷付ける訳にはいかない……そんな人達への対処に手間取ってる間に……裕子達は高速バスのターミナルへ悠々と向っていった。
「手が空いている人居たら、今、送った映像の児童2名。至急、保護願います。精神操作能力を持っている為、御注意願います。博多駅の高速バスターミナルに向かっています」
 レスキュー隊太宰府支部の紅林氏が、まだ付近に残っている可能性が有る地元博多区の「御当地ヒーロー」に協力要請。
『おい、何としても、あの2人を止めろ。絶対に殺されるぞ』
 その時、瀾師匠から無線通信で緊急連絡。
「どうしたんですか、一体?」
 あさひがそう返答。
『筑豊TCA発、博多駅着の高速バスで1つ変なのが有る。筑豊TCA側のWebサイトでは、今日は臨時欠便になってるのに……こっち側のWebサイトでは、もうすぐ到着予定になってる』
 マズい……完全にマズい……。
「我、身命を愛さず、ただ無上道を惜しむ」
 私は「火事場の馬鹿力」を引き出す自己暗示キーワードを唱え……。
「この人達の手当を頼む」
「おい……ッ‼」
 私は裕子に精神操作された人達を撥ね除け……走る、走る、走り続けた。
 もう既に裕子達は……高速バスターミナル内だ。
「問題のバスの見分け方は有るか?」
「筑豊TCA発・博多駅着・第一八便だ」
 建物内の大型モニタの表示を確認……問題の筑豊TCA発のバスが到着するのは……マズい、もう到着しているのか……。
 エスカレーターと階段……多分、階段の方が早い。
 全身の筋肉が痛む。
 自分の力で筋肉が破壊される痛みと……破壊された筋肉が瞬時に再生する痛み……。
「えっ⁉」
 階段の横のエスカレーターに裕子達が居た。
「行くなら……私が安全を確認した後に行けッ‼」
 だが、既に問題のバスが到着している階だ……。
 バスから降りているのは……男が5人だけ?
 1人は……あの日の男性……芳本氏だ。
 何故かブカブカのコート。
 そして他の4人は……黒っぽい色の背広にサングラス姿で統一。
 しかも、全員が大きさも外見も色もほぼ同じ丈夫そうな布で出来た布バッグ。
 その4人は……裕子達の方を見ると……一斉にバッグを開け……中から……。
 奴らが短機関銃を取り出した時、既に、私は奴らのすぐそばに居た。
 次の瞬間、その内、2人の顔面に窪みが生じる。
 和服の羽織を模した上着の袖……その中に隠していた錘……。
 上着の袖を振る事で、その錘で、2人の男の顔面を殴打したのだ。
 残る2人の内、1人の喉に貫手。
 だが、最後の1人が……短機関銃を乱射し始め……間に合ってくれ……ッ‼
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