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第三章:Do the right thing

シルバー・ローニン(6)

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「お……お別れって……?」
「私達が君達に自分の名前を明かしたか?」
「あっ……」
「私達が君達の前でお互いを本名で呼んだ事が有ったか?」
「あ……あの……でも……どう云う事?」
「私達は部外者には身元を明かせない。多分……もう2度と会えない」
「ちょ……ちょっと待ってよ……そ……そんな……」
「おい、もっと他に言い方有るだろ」
 あさひがそう言ったが……。
「正直……私もつらいが……これ以上、ここに居ると、もっとつらくなる。そろそろ、レスキュー隊がこの2人を引き取りに来る筈だ。来たら……とっとと、帰るぞ『スカーレット・モンク』」
 そう言って、私は背を向けた。
「まったく……」
「あ……あのさ……もし、私が……貴方達みたいな『正義の味方』になったら……また、会えたりする」
「後方支援要員を目指す事を推奨する。多分……君の能力は……これから……」
「おい、もっと言い方を考えろ」
 様々な特異能力……そのどれが「役に立つもの」かは……ある意味で社会や状況や時代が決める。
 こっち側では、精神操作能力に耐性を持たない者が増えているなら……彼女の精神操作能力が役に立つ局面は少なくなる一方だろう。
 仮に、有るとするなら……TCAとの「戦争」。
 しかし、そのTCAは……彼女達が生まれ育った場所だ。
 彼女にとって、最もつらい状況でしか役に立たない能力。
「私……本当に『ただの人』になっちゃたんだね……」
 背中から聞こえるのは……寂しそうな声。
 だが……私は振り向いて、彼女がどんな表情をしているかを確かめる事は……何故か出来なかった。
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