エメラルド・ダイナソー

蓮實長治

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第一章:ナイトメアー・ビフォア・クリスマス

高木瀾(7)

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「親父さん、今、どうしてる?」
 週明けの月曜の放課後、電子工作部の部室で今村にそう訊いてみた。
「あのな。生物学上は父親だけど、親の離婚で縁は切れてるの」
「でも……」
「ああ、一応は、生物学上は親子なんで面会は出来た。弁護士が決ってないんで、取調べも、まだだって」
「やれやれ……」
「あと、県警と広域組対マル暴対異能力犯罪広域警察レコンキスタで押し付け合いしてるみたいで、次に面会が出来る時には別の場所になってるかも知れないってさ」
 ん?
 何かおかしい……。
 警察がダメダメなのは、いつもの事だが……。
 私は「正義の味方」の仕事用の携帯電話ブンコPhoneで、後方支援要員の権藤さんに連絡。
「あの……久米が所属した『組』の動きはどうなってます?」
 久米が所属する「暴力団」の表の顔は民間の警備会社で、久米の表向きの身分は、そこの副社長だ。
 弁護士なら、そのツテで用意出来る筈。
 だが、まだ、弁護士が決っていない。
『ごめん、その件で、しばらく忙しくなるかも』
「えっ?」
『地元ニュース確認して』
「おい、変な地元ニュース有るか?」
「あのさ……これ……何だよ?」
 同じ部室に居た同級生で、「正義の味方」の後方支援要員見習いの望月がモバイルPCの画面を向ける。
「えっ……?」
『久留米市内および近隣の防犯カメラ網に大規模障害。運営会社の安徳セキュリティと連絡が付かず』
 安徳セキュリティ……久米の所属組織の表の顔だ。
『多分、夜逃げしたか殺された。……久米の「組」の組員が……勾留中の奴らを除いて、組長以下、ほぼ全員、行方不明中だ』
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