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第一章:ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
篠原千晶(5)
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銀色の狼男の片方は仲間。コードネームは「早太郎」。
もう片方は武闘派のヤクザの組の若頭。異種族でありながら実力で「河童」系の暴力団の№2になった奴。
問題は、この2人が親子だと云う事だ。
「あ……マズい……狙いが付けられない」
血縁関係が有る同じタイプの先天的特異能力者。
少数または1体の敵を狙う「魔法」は、通常、「気配」で狙いを付ける。
しかし、この2人、「気配」がほぼ同じなのに……片方は敵で、もう片方が味方。
「ごめん、2人とも狙うから」
緋桜がマヌケな声でそう言った。
「えっ?」
「訳は後で説明する」
ゴオッ‼
再び緋桜の使い魔が気を放ち……2人の狼男は、その大量の気を浴びる。
特定の相手に狙いを付けられないなら……不特定多数を攻撃する魔法を……えっ?
「おい……何かしたか?」
敵の方の狼男は平然としてて……。
「何の真似か……後で納得がいくように……説明してもらうぞ……」
味方の方だけがグロッキーになって膝を付く。
単純に2人の狼男は「気」の量がデカい。
「魔法」その他の「気」を操る技術を習得していないにしては……驚異的な「気」の量だ。
早い話が、2人とも攻撃系の魔法が効きにくいが……より「気」がデカかったのは敵の方だった。
「じゃあ、これはどうだッ⁉」
緋桜が背中に背負っていた山刀を抜いて……。
「え……」
「お前……新人みてえだな。いい事教えてやるよ。刀ってのは押すか引くかしねえと斬れねえんだ」
緋桜の山刀は狼男に命中。
けど……その瞬間、命中した箇所の体毛が延びて山刀に巻き付く。
「なら、こうだッ‼」
緋桜は山刀を通して狼男に「気」を叩き込もうとするが。
「じゃあ、こっちはこうだ」
狼男の爪が延びた手が一閃。
とっさに緋桜は山刀から手を放し、後ろに飛び退くが……。
「う……うそ……」
防刃繊維製のコスチュームの腹の部分が、あっさり切り裂かれていた。
「大丈夫か?」
私は、そう言いながら錫杖を横に振り……。
「えっ?」
狼男は……単に棒を振るより先端のスピードが遥かに上回る筈の……錫杖に見せ掛けた多節棍をあっさり掴んでいた。
「おりゃああッ‼」
続いて、何とか回復したらしい、もう1人の狼男による攻撃。
一見すると顔を狙ったパンチに見えたが……。
「えっ?」
「面白え手を考えたな……。だが……似た技で前に酷い目に遭った事が有ってな」
パンチは外れていた。
しかし……もう片方の狼男の手首には……体毛が変化して出きたらしい刃が出現していた。
その刃は相手の首筋に当っていたが……肝心の首筋からは、血の一滴も出ていなかった。
「何なんだよ、こいつ?」
『そいつは、体毛の物理的特性を瞬時に変えられる。例えば、銃での攻撃が予想される場合には銃弾を防ぐのに向いたモノに。刀での攻撃が予想される場合には刃物での攻撃を防ぐのに向いたモノにな』
瀾から無線通信が入る。
「で、魔法もほとんど通じないのか? どうやって倒す?」
『そいつが予想もしてないような物理攻撃。だが……問題は、そいつは戦闘センスも化物級だ。過去に痛い目を見た攻撃は……2度と通じん』
くそ……。「正義の味方」としての初仕事の相手が、とんだ化物だった訳か……。
「そんなのが有る訳が……」
「いいモノを持って来た。全員、離れろッ‼」
瀾の声は……無線通信じゃなくて、肉声。
次の瞬間、轟音が響いた。
もう片方は武闘派のヤクザの組の若頭。異種族でありながら実力で「河童」系の暴力団の№2になった奴。
問題は、この2人が親子だと云う事だ。
「あ……マズい……狙いが付けられない」
血縁関係が有る同じタイプの先天的特異能力者。
少数または1体の敵を狙う「魔法」は、通常、「気配」で狙いを付ける。
しかし、この2人、「気配」がほぼ同じなのに……片方は敵で、もう片方が味方。
「ごめん、2人とも狙うから」
緋桜がマヌケな声でそう言った。
「えっ?」
「訳は後で説明する」
ゴオッ‼
再び緋桜の使い魔が気を放ち……2人の狼男は、その大量の気を浴びる。
特定の相手に狙いを付けられないなら……不特定多数を攻撃する魔法を……えっ?
「おい……何かしたか?」
敵の方の狼男は平然としてて……。
「何の真似か……後で納得がいくように……説明してもらうぞ……」
味方の方だけがグロッキーになって膝を付く。
単純に2人の狼男は「気」の量がデカい。
「魔法」その他の「気」を操る技術を習得していないにしては……驚異的な「気」の量だ。
早い話が、2人とも攻撃系の魔法が効きにくいが……より「気」がデカかったのは敵の方だった。
「じゃあ、これはどうだッ⁉」
緋桜が背中に背負っていた山刀を抜いて……。
「え……」
「お前……新人みてえだな。いい事教えてやるよ。刀ってのは押すか引くかしねえと斬れねえんだ」
緋桜の山刀は狼男に命中。
けど……その瞬間、命中した箇所の体毛が延びて山刀に巻き付く。
「なら、こうだッ‼」
緋桜は山刀を通して狼男に「気」を叩き込もうとするが。
「じゃあ、こっちはこうだ」
狼男の爪が延びた手が一閃。
とっさに緋桜は山刀から手を放し、後ろに飛び退くが……。
「う……うそ……」
防刃繊維製のコスチュームの腹の部分が、あっさり切り裂かれていた。
「大丈夫か?」
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「えっ?」
狼男は……単に棒を振るより先端のスピードが遥かに上回る筈の……錫杖に見せ掛けた多節棍をあっさり掴んでいた。
「おりゃああッ‼」
続いて、何とか回復したらしい、もう1人の狼男による攻撃。
一見すると顔を狙ったパンチに見えたが……。
「えっ?」
「面白え手を考えたな……。だが……似た技で前に酷い目に遭った事が有ってな」
パンチは外れていた。
しかし……もう片方の狼男の手首には……体毛が変化して出きたらしい刃が出現していた。
その刃は相手の首筋に当っていたが……肝心の首筋からは、血の一滴も出ていなかった。
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瀾から無線通信が入る。
「で、魔法もほとんど通じないのか? どうやって倒す?」
『そいつが予想もしてないような物理攻撃。だが……問題は、そいつは戦闘センスも化物級だ。過去に痛い目を見た攻撃は……2度と通じん』
くそ……。「正義の味方」としての初仕事の相手が、とんだ化物だった訳か……。
「そんなのが有る訳が……」
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次の瞬間、轟音が響いた。
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