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第七章:HIGH POWERED
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『おい、何でカメラをOFFにしてる?』
あたしは携帯電話のビデオ通話アプリを起動していた。
もっとも、師匠から見れば、こっちの映像が写ってない音声だけの通話だけど。
「師匠の事を、まだ、信用出来ないからです」
『信用するもしないも無い。お前は我々に従うしかないのだ』
「師匠も、あたしを道具として必要としている筈です」
『弟子の分際で、師匠の私と対等なつもりか?』
「それより、こちらから確認したい事が有ります。ゴールデン・ウィークの第一戦ですけど……医療スタッフは用意してますか?」
『何の話だ? 一体、誰に、そんな話を吹き込まれた?』
「あのリングだと……選手の誰かが筑後川に転落する可能性が無いですか?」
『ああ、そうか……そうならないように注意しろ』
「はあ?」
『何が「はあ?」だ。つけあがりおって。我々に従えば、悪いようにはせん』
「何が『悪いようにはせん』ですか?」
『我々には遠大なプランが有る』
「師匠、この前、師匠の目的は『美味いもの食って、いい女を抱いて、安楽な老後を送る』事だって、言ってませんでしたっけ?」
『そうだ。その為に……お前が二〇を超えたら、政治家になってもらう』
「はぁ? 何、言ってんですか?」
『我々のような者が楽に生きられる社会を作る為の広告塔になれ。その為に「悪の魔法少女」として、まずは名を売るのだ。プロレスだって、子供向けのTV番組だって、悪役の方が人気が有るだろ』
「わかりました……。ところで……」
何故か、高木さんが書いたカンペには……デカデカと……。
ちょっと待って……どう云う事?
「はるやすみのあいだは……やまごもりのしゅぎょうにいくので……れんらくがとれません」
マズい……ちょっと棒読み口調になったかも……。
『山籠り? 何の話だ? おい、「空手馬鹿一代」なんて……俺が生まれる前の漫画だぞ……』
「まだ……あの『守護天使』を使い込なせてないので……暴走させない為の修行です」
高木さんのカンペの指示を見ると……なるほど……そう云う事か……。
『そうか……なら……我々が……』
「大丈夫です。もし……私の『守護天使』が暴走した場合、師匠で止められるんですか?」
『何を言っている? 私は、お前の師匠だぞ。それ位……』
「あの……並の『守護天使』の6体分の霊力が有るんですよ」
何とか、この辺りから……アドリブ。
『あ……ああ、そうだな……。で、どこで山籠りするんだ?』
高木さんのカンペの指示は……。
「英彦山です」
『そ……そうか……。ああ……たしかに、あの辺りなら……修験道系の同業者が居るようだしな……』
「ええ、あるツテで、そこに弟子入りします」
『わかった……。では、山籠りが終ったら……また、連絡してくれ』
ビデオ通話が終ると……。
「マズいな……。最悪の相手だ……。変な所で頭は回るが……全体的には馬鹿だ。何をしでかすか判らん。クソ野郎はクソ野郎でも……頭が回るクソ野郎の方がマシだった」
千明さんが……頭を抱えていた。
「でも、とっさにやったにしては……巧い嘘だな、瀾……」
陽さんが……高木さんにそう言った。
「すまん……勝手に話を進めてたが……やっぱり、2人とも都合が悪いか?」
「2人?」
陽さんが首をかしげた途端……高木さんは……あたしと陽さんを指差した。
「えっ?」
「えっ?」
「紹介しよう。君の新しい師匠の……修験道当山派の術士・関口陽さんだ」
あたしは携帯電話のビデオ通話アプリを起動していた。
もっとも、師匠から見れば、こっちの映像が写ってない音声だけの通話だけど。
「師匠の事を、まだ、信用出来ないからです」
『信用するもしないも無い。お前は我々に従うしかないのだ』
「師匠も、あたしを道具として必要としている筈です」
『弟子の分際で、師匠の私と対等なつもりか?』
「それより、こちらから確認したい事が有ります。ゴールデン・ウィークの第一戦ですけど……医療スタッフは用意してますか?」
『何の話だ? 一体、誰に、そんな話を吹き込まれた?』
「あのリングだと……選手の誰かが筑後川に転落する可能性が無いですか?」
『ああ、そうか……そうならないように注意しろ』
「はあ?」
『何が「はあ?」だ。つけあがりおって。我々に従えば、悪いようにはせん』
「何が『悪いようにはせん』ですか?」
『我々には遠大なプランが有る』
「師匠、この前、師匠の目的は『美味いもの食って、いい女を抱いて、安楽な老後を送る』事だって、言ってませんでしたっけ?」
『そうだ。その為に……お前が二〇を超えたら、政治家になってもらう』
「はぁ? 何、言ってんですか?」
『我々のような者が楽に生きられる社会を作る為の広告塔になれ。その為に「悪の魔法少女」として、まずは名を売るのだ。プロレスだって、子供向けのTV番組だって、悪役の方が人気が有るだろ』
「わかりました……。ところで……」
何故か、高木さんが書いたカンペには……デカデカと……。
ちょっと待って……どう云う事?
「はるやすみのあいだは……やまごもりのしゅぎょうにいくので……れんらくがとれません」
マズい……ちょっと棒読み口調になったかも……。
『山籠り? 何の話だ? おい、「空手馬鹿一代」なんて……俺が生まれる前の漫画だぞ……』
「まだ……あの『守護天使』を使い込なせてないので……暴走させない為の修行です」
高木さんのカンペの指示を見ると……なるほど……そう云う事か……。
『そうか……なら……我々が……』
「大丈夫です。もし……私の『守護天使』が暴走した場合、師匠で止められるんですか?」
『何を言っている? 私は、お前の師匠だぞ。それ位……』
「あの……並の『守護天使』の6体分の霊力が有るんですよ」
何とか、この辺りから……アドリブ。
『あ……ああ、そうだな……。で、どこで山籠りするんだ?』
高木さんのカンペの指示は……。
「英彦山です」
『そ……そうか……。ああ……たしかに、あの辺りなら……修験道系の同業者が居るようだしな……』
「ええ、あるツテで、そこに弟子入りします」
『わかった……。では、山籠りが終ったら……また、連絡してくれ』
ビデオ通話が終ると……。
「マズいな……。最悪の相手だ……。変な所で頭は回るが……全体的には馬鹿だ。何をしでかすか判らん。クソ野郎はクソ野郎でも……頭が回るクソ野郎の方がマシだった」
千明さんが……頭を抱えていた。
「でも、とっさにやったにしては……巧い嘘だな、瀾……」
陽さんが……高木さんにそう言った。
「すまん……勝手に話を進めてたが……やっぱり、2人とも都合が悪いか?」
「2人?」
陽さんが首をかしげた途端……高木さんは……あたしと陽さんを指差した。
「えっ?」
「えっ?」
「紹介しよう。君の新しい師匠の……修験道当山派の術士・関口陽さんだ」
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