魔導兇犬録:哀 believe

蓮實長治

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第六章:恋する乙女は最強無敵

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 背後から追って来るバン……距離をどんどん詰められる。
「イチかバチか……」
「あ……あの……何を?」
 ん?
 何か変な感じが……。
 バンが更に近づ……ん?
 バンの向きが急に変り……。
「ひょ……ひょっとして……このバイク……バックしてないッ⁉」
「ま……待って……バック出来るバイクなんて……」
 そこまで言った時……あたし達の乗ってるバイクが急停止……ん?
 急停止は急停止しでも……何か変な感じの急停止。
 そして、バイクは再び走り出し……カーブして細めの路地に入る。
「ああ、これ、ギア無しの電動バイクなんで……モータの回転を逆にするだけでバック出来る。……バイクのバックなんて、めったに使わない機能だけどさ」
「あ……あの……本当にバックして……その……」
「まさか、わざと、あの車と衝突しようとしたのッ⁉」
「でも……あっちの車も……衝突自動回避機能が付いてる車種だった。事故りそうになったら、自動運転に切り替わり、事故を回避出来るか、被害を最小限にするような動きをするは……」
「やめてぇぇぇぇッぇ‼」
 あたしとスペクトラム・スカーレットは同時に叫んだ……。
 でも……。
「あ……っ」
「ああああ……」
「どうした?」
「み……見えないんですか?」
「その手のモノだったら……霊感がほぼゼロなんでな……」
 あたし達の進行方向には……銅像のような色の全長4mぐらいの「守護天使」が居た……。
「どこまでも……フザけた真似を……」
 背後から……男の人の声……。
「ねえ……あれ何とか出来たり……しない……?」
 一応、あたしはスペクトラム・スカーレットに訊いてみた。
「た……多分……無理です……。あたし……肉体を持ってる相手の方が向いてるんで……」
「おい……そこのチビ……。お前が棒手裏剣を投げるより……私の守護天使が……お前たちの中の誰かを殺す方が早いぞ」
「やれやれ……」
「詰みだな……。潔く投了しろ」
「な……何をする気なんですかッ⁉」
 スペクトラム・スカーレットが叫ぶ……。
「お前の望みを叶えてやるだけだよ……」
「へっ?」
「あこがれのプリティ・ガーネットと試合が出来るぞ。ただし……プリティ・ガーネットは勝負から下りたがってるらしいんで……洗脳した状態のプリティ・ガーネットだがな」
「え……な……何を……」
「何だったら……プリティ・ガーネットをお前専用の性奴隷にしてやってもいいぞ……。もちろん、自分の意志を失なったプリティ・ガーネットだがな……」
「ふざけないで下さいッ‼」
「そりゃ、こっちのセリフだ‼ 俺達の商売道具の分際で……」
「うわああああッ‼」
 あたしは叫びと共に守護天使を召喚し……。
「バカが……それが何を意味するか……判ってんのか?」
「えっ?」
使。つまり……こう云う真似も出来る」
 次の瞬間……。
「や……やめてぇッ‼」
 守護天使は……私のコントロールを離れ……高木さんとスペクトラム・スカーレットを攻撃しようと……。
 あたしは……思わず……。
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