魔導兇犬録:哀 believe

蓮實長治

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第二章:この世に神がいるのなら

(2)

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「待ちなさいッ‼ その部屋の女の人達、嫌がってるでしょッ‼」
 その時、部屋の外から女の子の声。
「誰……へっ?」
「お……お嬢ちゃん、帰ってもらえる? 流石に小学生はマズいんで……」
 チンピラさん達は……声の主を見て、唖然とした声を出す。
「いや……俺はイケる……」
 ボゴォっ‼
「何すんですか、センパイっ‼」
 チンピラさん達のリーダー格らしい人が、何かロクデモない事を口走った人を殴り付けた。
「あのな。唯でさえ性犯罪は刑務所ムショにブチ込まれた時にイジメられんのに、相手が小学生だったら……」
「大丈夫。刑務所ムショに入らずに済むように……終ったら殺して埋めれば……」
「いい加減にしろッ‼」
「いい加減にして下さいッ‼」
 ドゴオっ‼
 チンピラさんの1人が、もの凄い勢いで廊下を吹き飛ぶ。
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
 (以下略)
 その場に居た全員が一斉に唖然とした声をあげ……。
「ま……魔法?」
「で……でも……微かにしか感じなかったよ……その手の力……?」
 りんちゃんがそう言った。
 変だ。
 魔力・気・霊力……何て呼んでもいいけど、その手の力は感じだ。
 でも……起きた事に比べて明らかに「量」が小さ過ぎる。
「こ……このメスガキ……何の真似……」
「あ……あの……それ……モデルガンですよね……」
 チンピラさん達のリーダー格らしい人が取り出した、とんでもないモノを見て、謎の女の子がうろたえ始める。
「モデルガンかどうか、お前の体に穴が空くかどうかで確かめてみっか、おらッ‼」
「あの……センパイ……。小学生のメスガキを@#$%するのは駄目で、チャカで殺すんはいいって、……えっと……何て言うかなんちゅ~か……その……」
「何が言いたいんだ、江崎?」
「えっと……うまく言葉が見付からねえんですが……変です……」
「どう変なんだ?」
「え……えっと……ともかく変です」
 次の瞬間……以外に小さい音。
 「センパイ」と呼ばれたチンピラさんが懐から取り出した拳銃の先には……ああ、マンガやドラマでたまに見るアレだ……。サイレンサーとサプレッサー、どっちの呼び方だったっけ?
「え……」
「江崎……さぁ……」
「ああああ……」
「お前は頭悪い上に、幼女にしか興奮しねえゲスなんだから……黙ってろ」
「ああああ……血、血、血、血があああああッ‼」
「そりゃ、血も出るだろ。お前の太股を撃ったんだから」
りんちゃん、瑠華ルカちゃん、はい、落ち着いて、深呼吸。絶対に魔法は使わないで」
「う……うん」
「す~は~す~は~」
「あの……お客様、困ります」
 続いて、店員らしき女の人の声。
 ただでさえ訳の判らない事態が、更に訳が判んない事に……。
「うるせえ、黙って……うげっ?」
 チンピラのリーダー格らしき人の顔に何か液体がかかる。
「ああああ………あ……あ……あれ?」
 今度は……さっきより、はっきりした「魔法」の「気配」。
 チンピラさんのリーダー格の声は、最初は苦痛……やがて……何か、気のぬけたフニャ~って感じのモノに変り……そして、床にフニャ~と倒れた。
「えっ? こんなのに、てこずってるのが、ここの『御当地魔法少女』?」
 さっきの店員さんらしき人の声……良く聴くと……あたし達と同じ位の齢の女の子らしい。
「誰?」
 全員がそう言った瞬間……。
 再び「魔法」の「気配」。
 そして、残りのチンピラさん達も……太股に穴が空いて血がダクダク出てる人も含めて、フニャ~って感じで気を失なう。
「あ……あの……あたし、こ……この度、新しく結成された魔法少女チーム『スペクトラム・ペンタグラム』のスペクトラム・スカーレットっていいます。あの……『プリティ・トリニティ』の大ファンなんです……。えっと……魔法少女として格好いい名乗りとかしたいんですけど……まだ、その辺りの設定が出来てなくて……」
 最初の謎の女の子……。髪の毛をツインテールにした、たしかに、小学校高学年か……せいぜい中学生ぐらいのだ。
「あたしは……フラワレット・プリムローズ。あなた達の同業」
 2人目の謎の女の子は、そう自己紹介をする。こっちは高校生ぐらい。髪型は、こっちもツインテールだけど、小さい方のに比べて、かなり長めの髪だ。
「同業?」
「あ……あの……ファンである『プリティ・トリニティ』に、こんな事を言うのは、すご~く心苦しいんですが……試合をして下さい」
「試合?」
「そ、この久留米の『御当地魔法少女』の座を賭けて、3チームのリーグ戦」
「3チーム?」
「そう。あなた達『プリティ・トリニティ』と……あたし達『フラワレット・カルテット』と……」
 松雪アカリと名乗った女の子はそう言った。
「そして……あたし達『スペクトラム・ペンタグラム』の3チームで……」
 その時、瑠華ルカちゃんが何か考え込み……。
「ねえ、ところで、何かチーム名の語感が似てる気がすんだけど……」
 あまりの事態に何を言えばいいか判らない。
 けど……これだけは言える。
「あ……あの……瑠華ルカちゃん……」
「何?」
「それ……今やる話?」
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