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第三章:Here She Comes
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「妹と2人暮しだけど、妹は家出中だ。けど、妹の部屋には入るな」
そこは高良山の近くの団地の1階の3LDKの部屋だった。
「は……はぁ……。家出中って……?」
「月1回は、喧嘩してどっちかが家出する。我が家の恒例行事だ」
そう言いながら……この女はダイニング・キッチンの椅子に座って郵便受けに入ってた郵便物を仕分していた。
2人暮しの筈なのに、宛名は3つ。
1つは「高木瀾」、1つは「眞木治水」、もう1つは「眞木源望」。最後の1つは公共料金の請求書が主だ。
「らん」って読める名前は最初のヤツ。
姉妹なのに名字が違うってのも……今の世の中じゃ居ても不思議じゃない。
「余計な御世話だと思うが……食事が足りてないなら、気が向いたらウチに来い。一緒に食べるか、何かおごるかする」
「余計な御世話よ」
「あ、そ……じゃ……まだ早いけど……晩飯は何がいい?」
「あなた……全世界のお腹すかせてる子供に、全部、食事をおごる気?」
「あのさ……たまたま道端に急病人が居たら、普通、救急車呼ぶだろう。その急病人がネルソン・マンデラみたいな偉人だろうが、アドルフ・ヒトラーみたいな屑野郎だろうが。それと同じだ」
「けどね……」
「お前、ひょっとして、四十・五十のいい大人になってもSNSに『道端で急病人を見付けたから救急車を呼んだんだ、って言うんなら、全世界の急病人に救急車を呼んでやったらど~ですか~wwww』とか意味不明な事を書き込んで誰かを論破した気になるような阿呆になりたいのか? 個人的見解だが、そんな人生は、つまらんぞ。この世の中に面白いモノが山程有っても何1つ楽しめず、素晴しいモノが山程有っても何1つ感動出来ず、見た事も聞いた事も無いモノが現われても何1つ驚けない、条件反射以外の感情が完全に死んでしまった残念な人間のまま一生を終えるのが確実だ」
「だから……あ……そうだ、なら1つ頼みが有るんだけど……」
「何だ?」
「手合わせして」
「はぁ?」
そこは高良山の近くの団地の1階の3LDKの部屋だった。
「は……はぁ……。家出中って……?」
「月1回は、喧嘩してどっちかが家出する。我が家の恒例行事だ」
そう言いながら……この女はダイニング・キッチンの椅子に座って郵便受けに入ってた郵便物を仕分していた。
2人暮しの筈なのに、宛名は3つ。
1つは「高木瀾」、1つは「眞木治水」、もう1つは「眞木源望」。最後の1つは公共料金の請求書が主だ。
「らん」って読める名前は最初のヤツ。
姉妹なのに名字が違うってのも……今の世の中じゃ居ても不思議じゃない。
「余計な御世話だと思うが……食事が足りてないなら、気が向いたらウチに来い。一緒に食べるか、何かおごるかする」
「余計な御世話よ」
「あ、そ……じゃ……まだ早いけど……晩飯は何がいい?」
「あなた……全世界のお腹すかせてる子供に、全部、食事をおごる気?」
「あのさ……たまたま道端に急病人が居たら、普通、救急車呼ぶだろう。その急病人がネルソン・マンデラみたいな偉人だろうが、アドルフ・ヒトラーみたいな屑野郎だろうが。それと同じだ」
「けどね……」
「お前、ひょっとして、四十・五十のいい大人になってもSNSに『道端で急病人を見付けたから救急車を呼んだんだ、って言うんなら、全世界の急病人に救急車を呼んでやったらど~ですか~wwww』とか意味不明な事を書き込んで誰かを論破した気になるような阿呆になりたいのか? 個人的見解だが、そんな人生は、つまらんぞ。この世の中に面白いモノが山程有っても何1つ楽しめず、素晴しいモノが山程有っても何1つ感動出来ず、見た事も聞いた事も無いモノが現われても何1つ驚けない、条件反射以外の感情が完全に死んでしまった残念な人間のまま一生を終えるのが確実だ」
「だから……あ……そうだ、なら1つ頼みが有るんだけど……」
「何だ?」
「手合わせして」
「はぁ?」
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