青き戦士と赤き稲妻

蓮實長治

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『青き戦士』第3章:放逐されし者達(エグザイルズ)

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「マズいな」
 ボクは一端、さっき絞め落した看守の元に戻り、懐をあさる。
 やっぱり持ってた。他の独房のものらしい鍵。
 ボクは、その鍵で、独房の扉を次々と開ける。なるほど、あの阿呆看守が扉を開けるのに手間取ってた理由はコレか。錠前の内部が錆び付いてるみたいで、開けるのに時間がかかる。
「誰だ?」(日本語・九州訛り)
「何者だ?」(ドイツ語)
「えっ?」(ドイツ語)
「うがぁ~」(???)
「何じゃ?」(日本語・九州訛り)
 結局、独房にブチ込まれてたのは、日本人らしき兵士4名に白人男性3名。あと、図体が異様にデカい……ええっと、多分、アジア人……おそらくは日本人の男性だと思うけど……何者なのか、あと、過去にどんな酷い目に遭ったのか、深く考えたくない、ユニバーサル映画版のフランケンシュタインの怪物とレッドドワーフのクライテンを足して2で割ったような顔のヤツが1名。
 白人男性3名全員が、あまり汚れが目立たない軍服を着ている……なお、これまた3名全員、襟に有る徽章は稲妻にも見えるアレンジをしたルーン文字のSを2つ横に並べた……まぁ、何のシンボルかは言うまでも無い。
 日本人らしき4名と、何者か、あまり考えたくないデカブツは……ボロボロめでモスグリーンの戦闘服か作業服らしきモノを着ていた。
「ええっと……ここから、脱走する気有る?」
「だから、お前は、何者なにもんじゃ?」(日本語・九州訛り)
「そもそも、何故、白人の女が、こんな所に居る? あと、何故、白人の女が日本語を話している?」(ドイツ語)
「説明は後だ。そろそろ、敵が来る」
「敵じゃなかぞ。おいは上官ブチのめしたせいで、ここにブチ込まれとっただけで……」(日本語・九州訛り)
「我々にとっては敵だ‼ 日本人どもが、いきなり我々を捕縛して……」(ドイツ語)
「いよいよ戦争が始まりそうになったので、日本は世界政府を裏切って中国に付いたんですよ。私が、前から言っていたでしょう。黄色人種を信用するなど、狂気の沙汰だと」(ドイツ語)
「昨日の晩、例の歓楽街で騒ぎを起したテロリストどもも、中国か中央アフリカ連邦の手先に決っている」(ドイツ語)
「よく判んないけど、誰なの、このナチ野郎は?」
「世界政府軍所属の顧問じゃが……」(日本語・九州訛り)
「あ、そ……ちょっと待って……お仕置きの時間だッ‼It's clobberin' time!!
 ボクは「火事場の馬鹿力」を出す為の自己暗示キーワードを唱えて、ナチ野郎の1人の首根っこを捕み……。
 ブンッ‼
「うわあああああっ‼」
 どげしっ‼
 ナチ野郎は宙を舞い、鉄格子に激突。
「よかった……鉄格子には高圧電流なんかは流れてないみたいだ」
「……それを確かめるんなら、他に方法も有ったとじゃなかとか?」(日本語・九州訛り)
「細かい事は気にしないで……」
 そう言って、ボクは鉄格子を捕み……。
「おりゃあああああっ‼」
「な……何者なにもんじゃ、お前はっ⁉」(日本語・九州訛り)
「まさか……人造純血種なのか?」(ドイツ語)
 その時、鉄格子の更に向こうに有る階段から足音。
「止まれ‼ 大人しく房に戻らねば撃つぞ‼」
 敵は5名。全員、手に持っている武器は拳銃。いざと成ったら、残ってるナチ野郎を肉盾にすれば、十分に銃弾を防げそうだ。
「ごめん……ちょっと、外の新鮮な空気を吸いたいんでねっ♡」
 そう言ってボクは、鉄格子にぶつかって気絶してるナチ野郎を持ち上げると、階段の方にブン投げた。
 ボクが、混乱した敵を鎮圧するまでに、一分かからなかった。
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