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決別のとき?

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 ※ここから奈月視点に戻りまーす。
 
 
 
 当てつけ…だったのかもしれない。
 そのくらい、志季さんにムカついていたから。
 
 バカな私。勝手に好きになって勝手に自滅した。きっと志季さんからすれば意味不明だろうなあ。
 
 うん、もう終わりだ。
 
 元々そんなに関心持たれていないのに、これで完璧に愛想を尽かされたに違いない。面倒臭い女だと思ってるかな?このまま離れてしまおうと決心しているかもしれない。だとすれば素直に別れを受け入れよう。
 
 チラリと志季さんを見ると、座ったままで拾った里芋を凝視している。ったく、私よりも里芋の方が大事って酷くない?もしかして私、里芋以下の存在なの??
 
「座る場所も無さそうだし、今回は歩きながら眺めるだけで花見を終了しようと言ってたんだ。でも、せっかくだからこのまま合流させてくんない?」
 
 重松さんの言葉に、私は念のため全員の了承を得ようと振り返る。すると、いつの間にやら背後に志季さんが立っていて。私の右手首をガシッと掴んだかと思うと自分の方へクルリと向けて、意を決したような表情で話し始めるのだ。
 
「…奈月ちゃん!」
「はい、何ですか?」

「その服、可愛いね、春の妖精みたいだ」
「うが?」

 驚き過ぎて変な声が出たしッ。なぜソレをいま言うのかな?意味ワカンナイ。
 
「髪もいつもと違ってとってもお洒落だと思う」
「はあ、どうも…」
 
 おいこら、アッちゃん、貴女のお兄様でしょ!
 そんな思いっきり首を傾げないでちょうだい!
 私だってね、この状況に戸惑ってるんだから!
 
「弁当、凄く美味しい。特に里芋、俺、大好き」
「それは良かったですね」
 
 まさかこの調子で延々と続けるおつもりか?
 
「こんな感じで、俺は本当のことしか言えない。面白い話も、気の利いたお世辞も言えない男だ。でも、これだけは言わせて欲しい!!」
「えっ、はい、どうぞ」
 
 志季さんが、私の目をジッと見つめている。
 その目があまりにも熱くて溶けてしまいそうだ。
 
「キミといると、俺はとっても不幸なんだ!!それなりに有った自信が全て消え、自分の価値がゼロに思えてくる。キミと一緒にいる為には変わらなきゃダメだと無言の圧力を受けているようで息苦しくて仕方ない。可愛くて人気者なだけじゃなく性格まで最高という無敵な女の子の隣りに本当に俺なんかいていいのか?!
 
 その問いに、毎回同じ答えを出す。
 
 こんなに悩ませておいて、どうせ俺に飽きたら簡単に捨てるんだろうし、だったら、最初から付き合わなければいいんじゃないかって!!」
 
 私は、思わず視線を漂わせた。
 
 そっか、これは…決別宣言なんだな。
 この人は今から私を振るんだ。
 
 
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