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絡まれてます
しおりを挟む──終業後の休憩室。
二次会はいよいよ3日後に迫り、準備完了しているにも関わらず我らは無駄話を楽しんでいた。
「…あの、もしかして朝日さんって望月さんと付き合っているんですか?」
他に誰もいないと思っていたのに、どこからか女子軍団が登場する。軍団と言っても4人だが。
「へっ、私たちが?!まさか、違いますよ~」
「でも、あの、とっても仲がいいですよね?お互いをモッチーとカナスケとか呼び合ってて」
何故それを知っているのだ??
この時間帯の休憩室は私たちの他に誰もいないはずなのに。えっ、まさかいつも隠れて見てたってこと??やだそれコワイ。
改めて軍団を眺めると、どうやらそのうちの1人がモッチーに気があるらしく、それを他の3人が応援しているという形式のようだ。
もう一度言おう、やだそれコワイ。
だって中学生じゃあるまいし、1人じゃ何も出来ませんって??…遠い目をしながらモッチーの方を向けば、なぜか私に対応を丸投げしてくる。
「あの、私にはきちんと彼氏がいるので」
この言葉は最強で、もうこれで万事解決と思った私が愚かだった。取り敢えずモッチーを狙う女をAさんとし、その他はB~Dとしておこう。
Aさんはほぼほぼ発言せず、Bさんが主力。
そしてC、Dは相槌担当らしい。
「だから何?彼氏がいても、もっと素敵な男性がいればそちらに乗り換えるということは往々にしてよくあることでしょう?」
「よ、よくありますかね??」
Bさんはスラスラと言葉を続ける。
「だいたいですね、毎日毎日こんな時間に誰もいない休憩室で2人きりで残ってること自体、誤解されても仕方の無いことだと思いません?…誤解じゃないのかもしれないけど」
「えっ、それってどういう意味…」
「何だか下心ミエミエだなあ。マーケティング部のフロアは5階なのに、そこに所属する朝日さんがわざわざ企画開発部のある7階の休憩室に来るのって、そういう意図が有るからでしょ」
「いやいやいやいや」
オッサンみたいな返しになったのは心の底から驚いているからで。若さ故の思い込みの激しさなのか、Bさんはまだまだ突っ走る。
「いるんですよねえ、初心そうに見せておいて、実は計算高く男を渡り歩く女って。…あ、朝日さんがそうだとは言ってませんから」
「いやいやいやいや」
言ってるでしょうよ?!と私は叫びたかったが、4対1という圧倒的に形勢不利なこの状況を考えると、どうしても強気には出れなかったのだ。
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