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最高の女
しおりを挟む2人きりの世界に浸っていると、そんなことはお構い無しだと言わんばかりに割り込んでくる男が約1名。
「初めまして、望月といいます。朝日さんと一緒に吉助さんの結婚式の二次会を任されていまして」
「アナタが望月さん!どうも、内藤です。ご存知でしょうが、香奈の彼氏です」
ここで吉助さんが補足する。
「ほら、内藤工務店って知ってるだろ?あそこの跡取りなんだよ。最近かなり業務拡大してるからさ、望月もこれを機会に親交を深めておいた方がいい」
という調子で、最初は当たり障りの無い会話を楽しんでいたように思う。…ところが、だ。
>内藤さんは絶対にモテるでしょう?
>なのに何故この朝日なんですか??
>もっと上を目指しましょうよ~。
>俺は最高の女をモノにしますからねッ!
>もしや朝日のお祖父さんが銀行の頭取だから
>自社を盤石にするためのビジネス恋愛とか?
どうやら望月さんは酒癖が非常に悪いらしく。吉助さんが止めるのも聞かずに飲み続けた挙句、場を盛り上げようと思ったのか、ひたすら私を貶し始めた。最初は笑っていた私だが、段々と悲しくなってきて。そんな時に内藤さんが反論を開始してくれたのだ。
「望月さん、『最高の女』の定義って何です?」
「え~っ、それはやっぱり誰が見ても美人で、そこそこ賢くて気が利く女性かなあ?…この、『そこそこ』ってところがミソで、自分よりも賢くてもそれはそれで鼻につくと言うか、でもまあバカな女はゴメンです。あと、我儘なのも」
うるせえ、何様なのかと私は言いたい。
内藤さんはニコニコと笑顔を貼り付けたままで、再び話し続ける。
「僭越ながら俺、女には困ったことが無くて。『誰が見ても美人』を取っ替え引っ替えしてた時期もありましたよ。彼女たちはそこそこ賢く、それなりに気を利かせてくれたけど、ずっと付き合い続けようとは思わなかったな。たぶん当時の俺は自分に自信が無くて、自分をスゴイと周囲に知らしめるためだけ…そうステータスとして女性を利用していただけだったんですよ」
「…ステータス?」
どうやら望月さんはそこまで泥酔しているワケでもないようで、真顔で話に聞き入っている。
「彼女たちは男に慣れていたし、絶妙な距離で接してくれました。服装も会話もセンスが良く、何処に連れて行っても恥ずかしくない最高の人たちだったと思います」
「そう!俺はそういう女を求めてるんですッ」
内藤さんは一瞬だけ私の方を見て、優しく笑ったかと思うと手元のビールを一口だけ含んだ。
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