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巨大な合コン

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「…へ?何ソレ」
「やだ朝日ったら、知らなかったの?」
 
 初耳だ。
 
 いや、聞いたことが有るのかもしれないが、
 興味が無くて忘れてしまったのだろう。
 
「嘘だと言ってよ、今どきそんな話。大正時代じゃあるまいし」
「それが本当なんだって。ほら、本社って縁故採用が多いでしょ?しかも女性社員は自宅通勤しか採用しなくて一人暮らしはNGだとかで…」
 
 ヨッちゃんこと兼友淑子かねとも よしこは、べらぼうに美人な私の同僚である。そして、我が社の次期社長となる帯刀吉助たてわき きちすけさんの婚約者だったりもする。

 その彼女の話に寄れば我が社の女性社員は基本、男性社員のお嫁さん候補として採用されており。会社的にも社内結婚をメチャクチャ推奨しているのだと。というか、世間的にはむしろ出会いの場として我が社は人気の就職先だそうで、社内結婚の率を何としても上げようと上層部は躍起になっているというのだ。
 
「そこで年2回、『懇親パーティー』という名の巨大な合コンを社内で開催しているの。入社1年目はさすがに招集されないけど、2年目以降の独身社員は強制参加という恐ろしいパーティーなワケよ」
「ええっ、独身だけど彼氏とか彼女はいますという人は断れないの?」
 
 ヨッちゃんはガシッと私の両肩を掴んで言う。
 
「残念ながら断れないのよ~。私だって婚約中の身でありながら、参加しろと言われたもの。本当に余計なお世話というか、悪習よねえ。吉助も参加予定なんだけど、その状況をつぶさに観察して彼の代になったら廃止するとか言ってたわ。取り敢えず今回は拒否出来ないし、諦めて一緒に参加しようよ」
 
 ふむふむと頷きながら、私は眉間にシワを寄せまくっていた。…いや、こんな私に声を掛けてくる男性社員がいるとは思えないので、そちらは特に心配していない。そんなことよりも、『女性社員はお嫁さん候補』というその古い考え方にゾワゾワしたのである。
 
「そっか~、だからウチの会社の女性社員って、働かない人ばかりだったのね。ていうかさ、勤務中に髪の毛クルクルしたり、マニキュアが剥がれていないかばかり気にしてる女とよく結婚しようって思うよね?」
「まあ、そういう男って奥さんを飾りだとしか思ってないんじゃないかな」
 
 『なるほどね!』などと笑い合っていた、その数日後。私は今まさに、その巨大な合コンに参加中だったりする。
 
 
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