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私の決意表明

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 ここで私は、胸を張って堂々と答える。

「望むところですよ」
「なっ、何を望むんだよ。お前は恋愛に関して言えば、温室育ちのお嬢様なんだ!いいか?車の運転と同じだぞ、道路に障害物が落ちているのなら避ければいい。ワザワザそこに突っ込んでいく必要は無いんだッ!」
 
 目の前に運ばれてきた紅茶を一口啜り、私は改めて決意表明をした。
 
「傷つかない恋愛なんて無いんですよ…たぶん。どんなに順風満帆な恋愛でも、大なり小なり諍いは起きるはずだから。むしろ無傷でいたいという甘い考えこそが、恋愛を浅くするのかもしれません。
 
 ごめんなさい、大介さん。お察しのとおり私は、アナタと別れてこの内藤さんと付き合いたいのです。だって2人がホテルから出て来るところを見たのに、不思議なほど何も感じなかった。なのに、内藤さんが私に飽きて浮気したらと考えるだけで、胸が張り裂けそうに苦しくなってしまう。
 
 そう、分かってしまったんです。 
 私を傷つけられるのは、内藤さんだけだと。
 
 本気で好きになった人しか、
 私を傷つけることは出来ないのだと。
 
 恋愛は楽しいことばかりじゃなくて、必ず苦しみとか切なさがセットになっているのでしょう。というか本気で好きだからこそ、苦しいし、切ないのかもしれません。
 
 いつまでも子供のままでいたかったけど、そろそろ成長する時期だと思うから。誰かを愛して、痛みを知り、辛抱を覚えて、ようやく私は一回り大きくなれるのです。
 
 自分の責任は自分で取れるから、
 だから心配しないでください!」

 
 …決まった。私、カッコイイ。
 
 キメ顔でふんぞり返っていると、ん?んん?!隣りに座っていた内藤さんがマシンガンの如く私の顔中にキスをしてくる。
 
「にゃいとうしゃん…(※内藤さん)」
「うん、うん、どうしてこんなに可愛いのかな、なんでこんなに可愛いのかなああもうああもう」
 
「ぎゅるしい…(※苦しい)」
「大丈夫、これからは香奈ちゃん一筋で生きる。俺にはキミが最後の女でキミが俺には最後の女」
 
「山本譲二なの?(※『みちのくひとり旅』の歌詞みたいだと言いたいらしい)」
「ああ、やっぱり香奈ちゃんは面白いなあ」
  
 大介さんと奈々さんの視線を感じたけど、まあいいかと思って。
 
 だって分かるでしょ?
 この人が本当に私のことを好きなんだって。
 
 いつか冷めるのかもしれないけれど、
 今、向けられているこの愛情は本物なのだから。
 
 臆病にならずに飛び込むの。
 待ちに待った両想い、楽しまなくてどうするの。
 
 そんなことを考えていたら、暴走が止まらなくなった内藤さんがこれ見よがしに濃厚なキスをしてきて。ウブな私は意識朦朧となってしまうのだ。
 
 
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