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モテない男
しおりを挟むで、でもっ。あの時のアナタは、とっても祝福してくださいましたよね?それと『気に入ってて』というのは、『好き』の同義語だと受け取ってよろしいのでしょうか?幾ら私が恋愛に興味無さそうだからって、これまで普通に他の女性たちと付き合っていたでしょう?彼女達のことはどう説明するおつもりで?
などと謎は多いものの、初回から飛ばし過ぎるのもどうかと思い、根性でお口にチャックする私。…ああ、内藤さん、長期戦ってシンドイです。というか、交際開始しても未だに片想い状態で、対等になれる気がしないんですけど。
「なんだよ、遅れてくるなんて珍しいな大介!おっ、香奈も一緒に来たのか?」
ちなみに定例会は毎回同じ居酒屋で開催される。その理由は、いま大声を張り上げた斉藤さんの両親が営んでいる店だからだ。
「遅れてゴメン、もしかして俺らが最後?」
「そうだよッ、今回は序盤から集まりが良くてさ。こりゃあ7時ジャストに始められると思ったら、予想外の伏兵がいたってことか。ほらほら、そんな入口で突っ立ってないで早く座れってば」
まだ交際宣言は行なわないらしく、私はもう1人の女子マネージャーである愛子ちゃんの隣りに、一方の大介さんは相棒と称しても過言ではない斉藤さんの隣りへと腰を下ろす。
ガヤガヤと賑やかしいメンバーは、相変わらずの顔ぶれだ。年月を経たことによりその数は半分ほどに減ってしまったが、それでもまだ17人もいる。
愛子ちゃんは、いかにも『おふくろさん』という感じの癒し系キャラで。斉藤さんの幼馴染だったというだけでマネージャーにさせられた挙句、いつの間にか斉藤さんの彼女にもなっていたという押しに弱い人間なのである。そして、愛子ちゃんと仲が良かったというだけでマネージャーにさせられてしまったのが、この私。
そんな愛子ちゃんは、いつも斉藤さんと離れて座る。そうすることで周囲に気遣っていることをアピールしているようなのだが、それによる弊害も生じるワケで。正にいま、目の前にいる狐目のコイツがその弊害だったりする。この男の名は、地井といい。どんなに拒絶しても必ず我らに近い席を確保し、あーでもないこーでもないと絡んでくるのだ。
たぶん、モテない。
いや、絶対にモテない。
なのに、男だらけの工場に勤務してしまったという。だから我らといることで、滅多に味わえない異性との触れ合いを堪能しているのかもしれない。とにかくまあそんなワケで、私は愛子ちゃんとだけ会話しているつもりでも、いつの間にやらこの地井さんに割り込まれてしまうのだ。
ほら、また。
「なー、もしかしてお前、彼氏出来たか?」
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