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25・朝の ※微

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 苦しい、重い、動けない…

 身体が酸化した油の海に沈んでるみたいだ…。
 纏わり付いて気持ち悪い…。

 我慢…だっ

 アラーム音で目が覚めれば解放される。

 いつもの事………………っ

 でも、いつも以上に苦しい……。

 キツい…息が、できないっ





 軽く、なった…?

 この状態はいつも朝が来るまで続いてたのに。
 纏わり付いて不快な物が消えた。
 安心感に包まれる。
 心地良い。
 ああ。温かくて、ふわふわする…。









 んん…、朝?
 この部屋は磨りガラスでカーテンが無いから、外が明るくなれば直ぐ分かる。
 何時だろ?

 机の上に置いた小さな時計を見るのに身体の向きを変えようとしたが、動け無い。

 俺は今、壁の方を向いて壁にくっ付いてる状態。

 そして背中にも壁があって、挟まれて動けない。

 でも背中は少し弾力があって、凭れると押し返して来る力が気持ち良い。
 すげー癖になりそうなクッションだ。

 「起きたのか?」

 くふくふと上機嫌でクッションの弾力を楽しんでたら、背中から声がした。

 え、喋るクッション?
 何とか首だけ振り向くと、整った精悍な顔に紫水晶。

 アージェンだ。
 等身大人形とかじゃないよな?

 寝起きの頭で、間近で見たイケメンに対し、現実味が湧かなかった俺はイケメンの頬に手を伸ばし。
 スリスリと撫でた。

 イケメンはフッと笑って、頬を撫でていた俺の手の上に、自分の手を重ねて軽く押し付けた。

 人の肌。人の体温。
 本物だ!

 慌てて起き上がろうにも、体勢が悪く起き上がれないっ

 もがもがと藻掻いていると、背中の壁が無くなり。
 俺はゴロンと仰向けになった。

 俺の顔を覗き込む紫の瞳が優しく細められ…左の目尻、頬、右の目尻、頬と唇が落とされて、最後に唇を食んで離れる…。

 「もう、苦しくはないか?」

 「…え?」

 「酷くうなされていた」

 「ぁ…も、だい、じょうぶ」

 俺、魘されてたの? 今の衝撃で全部吹っ飛んだんだけどっ?!

 ベッドからするりと降りて水を汲みに行くアージェンは、制服を着ていない。

 半袖のシャツに膝上の薄いズボンだ。
 よく見ると制服は椅子の背に掛けてある。

 ああ、シワになるから脱いだのかな?
 なんて考えてる間に、ベッドの縁に座ったアージェンに水を差し出された。

 ありがとう。と受け取り一口、二口と飲んでいると…、バァンっと扉が開いた。

 「兄ぃっ? 具合悪いの!? 大丈夫?」

 「っ!…けほっ」

 突然の留愛の登場に咽る俺。
 その俺の手からグラスを引き取り、背中をさすってくれるアージェン。

 「な、な、な、何してるのおぉぉっ?!!」

 留愛の声が廊下に響き渡った。

 ケホケホと咽せる中で聞こえたのは

 「ルア様、邪魔してはいけませんよ。
 さ、あちらへ」

 と、ユースの声と静かに扉が閉まる音。

 今の俺達。ベッドの上で乱れたバスローブ姿の俺。

 見ようによっては寝間着姿のアージェン。
 背中を摩ってただけだけど、角度によっては抱き締めてるように見える。

 あー。これは勘違いされてるかも。




 暫く、俺の背中を摩っていたアージェンがシャワーを浴びようと言い出した。

 確かに俺もサッパリして気分を変えたい。


 そう思ってたのに。




 「くっ…はぁ、」
 ズチュ…パチュンッ

 太腿の間から、俺の双玉と陰茎を押し上げてはアージェンが出たり入ったりしている。

 ボディソープで滑りの良いソレは、俺の性感帯を刺激し、背徳的な快楽に溺れさせる。

 朝から、誰かと…、こんな…ことっ





 シャワーを浴びようと言われたが、…朝だ。俺にもアージェンにも自然現象が起きていた。

 丁度良いからシャワールームで済ませてしまおうと、アージェンは全裸になり。
 曝け出された凶器ともいえるご立派なモノに俺がおののいている隙に、俺の着ていたバスローブは剥ぎ取られ。
 二人でシャワーを浴びる事になった。

 男二人で入るには狭いシャワールーム。

 これじゃ動き難いと思っているところに、アージェンの手で二人まとめて軽くシャワーで流され。
 ボディソープを腹に塗り付けられた。

 後ろから俺を抱き込んでいるアージェンの手は、円を描くようにヌルヌルと俺の下腹を撫で、徐々に胸の方へと上がって来た。

 両手を使い、脇や首周り背中等を器用に洗っていく。
 その動きに合わせ、俺の背中に当たっているアージェンの硬くて大きなモノも動く。
 
 否が応にもその存在を意識してしまい、体温があがり、俺の口からは吐息が漏れる。

 上がった体温で脳が溶けそうになっていると…、不意に股間を撫でられた。

 「ぁ、あんっ…っ」

 ビクンッと腰が震え、信じられない声が出た。
 俺っ女の子じゃ、ないのにっなんて声っ…

 恥ずかしくて抵抗したいが、掌や指を巧みに使い。
 快楽を与えられた俺は、抵抗等出来ずに、後ろにある逞しい身体に我が身を預ける事しか出来なかった。

 「ルキ様、一緒に処理したい。
 どうか、御御足おみあしをお貸しください」

 静かに耳の中に吹き込まれる声。

 「な…に?」

 意図が分からず訊き返すけれど。

 「大丈夫です。気持ち良くなって、スッキリするだけ。
 だからどうかお任せを」

 「ん…」

 アージェンが大丈夫って言うなら、きっと大丈夫。
 そんな気がして頷いた。

 壁に手を付くように言われて、それに従うと、腰を挟むように掴まれて太腿の間にニュルッとアージェンのが差し込まれた。

 俺の太腿を突き抜けて、双玉も陰茎も押し上げるソレは、俺の全てを擦り上げるように動き出した。

 「あっ、あっ、ぁん…っ」

 耐えようにも、抑えられない声が漏れる。

 気持ち良い、気持ち良いっ、なんだこれ!?

 カリ裏、裏筋、陰嚢、更にその下と、全てを擦り上げるアージェンのソレは俺の思考を全て飛ばしてしまう程気持ちが良かった。
 
 「くっ…はぁ、」
 ズチュ…パチュンッ

 俺の陰部をグヂュグヂュと擦り上げながら、俺の乳首をぐにぐにと弄るアージェン。
 もう片方の手で亀頭の先端をクルクルと撫でられた俺は…。

 「っ…、ああぁっ! やだっ…いくっ、いくぅぅっ…っ!」

 背中から腰をガクガク痙攣させて叫んでいた。

 「ああ、イってしまえ」

 耳元で囁かれた甘く低い声に従うように俺は盛大にイってしまった…。

 その後遅れてイったアージェンと二人分の精液を洗い流し。
 二人でシャワールームを出た。



 アージェンは、脱力して動けない俺の世話をしながら恥ずかしがる俺を見て「健全な男なら当たり前の事だ。」とのたまった。




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