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第六章 竜人世界ドラゴニア編
第6話 竜人の足取り - ポンポコ商会5号店オープン -
しおりを挟むパーティーが終わった夜遅く、加藤、ミツ、畑山、レダーマン、舞子、ピエロッティをアリスト王城へ瞬間移動で送った史郎は、疲れてぐっすり眠った。
翌朝、点ちゃんの声で目が覚める。
『ご主人様ー!』
あ、点ちゃん、朝からとは珍しいね。
『珍しいね、じゃありませんよ。何度も起こしてたのに』
ごめんごめん。ぐっすり寝ちゃった。
『例の竜人が、ポータルに入っちゃいましたよ』
えっ! ということは、追跡できなくなるってこと?
『そうですよー。もう、しっかりしてください』
竜人は、鉱山都市のポータルに消えたそうだ。
あちゃー。竜人がケーナイの冒険者に化けていたから、本当に獣人世界へ帰るとは思ってなかったんだよね。
よく考えたら、彼女がいた『霧の森』って、獣人世界へのポータルがある鉱山都市とこことの中間じゃないか。
久々に、生まれつきのうっかりが出たな。だいたい、こういうのがあるから、加藤に「ボー」ってあだ名つけられちゃったんだよね。
ああ、やっちゃた。
史郎は、仕方なく関係者に自分の失敗を連絡するのだった。
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史郎達の新しい家は、家具などを少しずつ増やし、住みやすくなってきた。
風通しをよくするために窓の位置を少しずらしたり、戸口の位置を変えたり、そういう微調整をしている。
子供達がよく使うすべり台の出口には、緑苔を袋に入れた大きなクッションを置いた。
ナルとメルは三階からのすべり台を使うのがだんだん上手くなって、凄い勢いで飛びだしてくることがあるんだよね。
アリストにおけるコケットの販売が爆発的に増えてきた。新しく買ってくれるお客さんに尋ねると、大きく分けて3つのルートがあるようだ。
一つは貴族からの注文で、マスケドニア国王、アリスト女王(畑山)に紹介してもらったというもの。一度に複数の注文が入るのが特徴だ。
もう一つは、すでにコケットを持っているキツネたちのものを見て欲しくなったというもの。
最後に、カラス亭のおばさん、おじさんから紹介されたというもの。特に最後のルートは、鼠算式に買いたい人が増えている様である。情けは人の為ならず、って本当だね。
番外として、サーシャのシートだけが目当てでコケットを買ってる者もいるようだが、一つ200万円だよ。彼らの心の闇は深いな。
そうそう、軍師ショーカの勧めで、マスケドニアにも『ポンポコ商会』の支店を作ることになった。
加藤からの頼みで、店はミツさんに任せることにした。しっかり者の彼女なら、きっと売りあげを伸ばすだろう。
それから『フェアリスの涙』も順調に売れている。
マスケドニア王は、10樽一度に買ってくれた。金額は、俺が聞いてくらくらした程である。その上、コケット100台注文って……。お金持ちのやることは、よく分からない。
こうして家と商会のことで忙しくしているうちに、ギルドから悪い知らせが届いた。
獣人世界ケーナイの町にいた、ポルが姿を消したというのである。
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ギルドから報告を受けた史郎は、すぐにアリストのギルドへ跳んだ。
いつも開きっぱなしのドアから中に駆けこむ。
「キャロ、詳しいことを教えてくれるか」
「お母さんの話によると、尋ねてきたのは猫人の冒険者で、あなたからの呼びだしだって告げたそうよ」
警戒していたはずなんだが、俺に対するポルの信頼がアダになったか。
俺の中に言いようのない怒りが膨らんでくる。それを必死に抑えると、キャロにポータルの許可証を頼む。
キャロは、すでに許可証を作っておいてくれた。さすが有能なギルマスである。
ギルドからルルに念話すると、パーティとして対処するよう勧められた。それを受けて、パーティ全員の許可証をキャロに頼む。
俺は、一足先に獣人世界へ向け、ポータルを潜ることにした。
犯人が宝玉を狙っているなら、すぐにはポルに手を出さないだろう。そう自分を慰めても、俺は不安が消えなかった。
史郎は鉱山都市のポータル前に瞬間移動すると、すぐにポータルに踏みこんだ。
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