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第一章 冒険者世界アリスト編
第24話 なんでこうなった
しおりを挟むギルトからの帰り道、三人のアウトローに襲撃を受けた翌日の事。
今日は、ギルドに行く途中で、三人組が出てきた。
「おい、今日は昨日のようなわけにはいかねえぞ」
いきなり飛ばすね~、今日のキツネは。
「アニキ、頼みますぜ」
お! そのセリフ、生で聞けましたか。
いや~、いいもの聞いたな~。
建物の陰から、ゴリラっぽい大男が出てくる。
名前? もう「ゴリさん」でいいでしょ。
うわっ、何その武器!
でっかいハンマーか。
当たったら死ぬぞ。
ブンッ♪ (ゴリさん、フルスイング)
ガンッ♪ (ハンマーが史郎の身体に弾かれる)
ボキッ♪ (ゴリさんの腕から変な音が)
「ぐえっ」♪ (ゴリさんの悲鳴)
ドンッ♪ (折れたハンマーの先がモヤシの足に)
ボキッ♪ (モヤシの足から変な音が)
「ぐあっ」♪ (モヤシの悲鳴)
おっ、リズム感いいな。
あー、折れたハンマーの頭が、モヤシの足の上に落ちちゃったか。
これは痛い。
見るからに痛い。
あれ、ゴリさん。
なんで腕押さえてうずくまってるの?
あー、腕の骨が折れちゃったかー。
お大事にね。
呆然としているキツネとタルを無視して、史郎はそのままギルドへ向かった。
--------------------------------------------------------------------
次の日。
前日と同じ場所で、また三人組が出てきた。
モヤシは、松葉杖ついてるね。
「今日こそ、あの世へ行ってもらうぜ」
キツネは、今日も飛ばしてるね~。
「ボス、お願えしやす」
お、ラメ入りのキラキラした服着てる。
サングラス、この世界で初めて見たよ。
手には、高そうな剣を持ってるね。
伊達男って感じかな。
今まで、動物キャラや野菜キャラばっかりだったから、やっと人間キャラが現れた感じ。
お、すらりと剣を抜いたね。
様になってる。
すかさずキツネが差し出した、大根みたいな野菜を真っ二つですか。
え、でも大根ですからね。
包丁でも切れますよ?
「死ねっ」
ブンッ♪ (ボスがフルスイング)
ボキッ (剣が史郎の身体に弾かれて折れる)
「ぐえっ」(ボスの悲鳴)
剣が折れちゃいましたか。
あちゃ~、高価な剣がもったいないね。
えっ? あなたもですか。
どうして、みんな腕の骨を折っちゃうかな。
なんかね~、緊張感無いなー。
--------------------------------------------------------------
次の日は、今までと一味違った。
腕を包帯で吊ったキンキラボスをはじめ、同じく腕を吊ったゴリさん、キツネ三人組、見たことない顔がプラス10人ほど。
道の真ん中で土下座している。
「アニキと呼ばせておくんなさい!」
ボスが叫んで、さらに頭を下げる。
おでこ、地面にくっついちゃってるよね、それ。
呼ばせておくんなさいって言われてもねえ。
どーすんのこれ。
通行の邪魔だよ。
ルルが通りかかった。
ここのところあったことを話すと、モヤシの松葉杖を手にして、片っ端から殴りつけてた。
まあ、小さいときから冒険者やってるからね~。
銀ランクだからね~。
ルルは、かなり短くなった松葉杖をポイってすると、俺の手を取った。
「行きましょ、旦那様」
あー、いくらか通行しやすくなったから、町の迷惑にはならないよね。
----------------------------------------------------------------------
二日後、小さな依頼をこなしてギルドから帰ると、家の中にキツネ達がいた。
おいおい、なんでいるんだよ、お前ら。
床を拭き掃除している者、食器を洗っている者、洗濯している者。
なんか、キツネグループが家事をしてるみたい。
トイレを掃除しているのは、ボスですかい。
「君達、これはどういうことだい」
ちなみに、こいつらとしゃべったの、これが初めて。
「へい。 アニキと姐さんのために、できることを考えやした」
でもね、この家には、小さな子供がいるんだよ。
庭を見ると、四つん這いになったゴリさんとタルの上に、子供たちがまたがってお馬さんしている。
おいおい、何やってる。
しかもゴリさんは四つん這いって言うより、片手吊ってるから三つん這いだし。
子供達、やめてあげて。
おしりぺんぺん叩いて走らせるの、もうやめてあげて。
まあ、キャッキャ喜んでるからいいけどね。
いいや、よくない。
「しかし、アニキも強ええですが、姐さんも、半端なく強ええですな」
「ああ、雷神の孫だからね」
「「「えっ!」」」
全員の動きがピタッと止まる。
「ら、雷神ってあの『雷神』ですかい」
「リーヴァスっていうんだけど、知ってる?」
男達の半分が、白目をむいて立ったまま気絶している。
あと半分は・・おい、他人の家で大人がお漏らしするってどういうことだ。
本当に・・なんでこうなった。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
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