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第十二章 放浪編
第73話 ポータルへの挑戦(上)
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金ランクの冒険者になったことで、一人でも簡単に王城へ出入りできるようになった。これは、ポータルズ世界群でもそうだから、世界群が分かれる前からある制度なのだろう。 点ちゃんは、禁書庫と図書館両方の書籍を精査している。
それにより、世界群が二つに分かれた時期が特定できたそうだ。
それはこの世界で約二百五十年前ということだが、世界によって一年の長さが違うから、各世界群では、また違う年数になるだろう。
ルナーリア姫は、朝から夕方まで、個人教授を受けるのもお休みして、キューとブランと一緒にいる。
そんなことができるのは、せいぜい四、五日だし、世界群が救われない可能性もあるわけで、陛下と王妃も姫が好きなようにさせているようだ。
俺の方は、周囲に毒をまき散らすという厄介な魔獣の討伐や、森の中に隠れ家を持つ馬賊の捕縛など、長年にわたって放置されてきた依頼をこなすことで、ギルドに貢献している。
依頼主から追加の報奨金やお礼の品をもらい、ギルマスのグラントはホクホク顔だ。
「シローよ、お前、ずっとこのギルドで働いてくれ」
そんなことを言いだす始末だ。
それじゃ、元の世界に帰れないよね。
◇
聖樹様と約束した日の前日、俺は朝から点ちゃん1号の内装に手を加えていた。
今日は昼前までにヘルポリへ着くよう王都を出発する予定だ。
ノックの音がするのでドアを開けると、タラップにシュテインが立っていた。
「シローさん、お願いがあるのですが」
俺は彼の後ろを見てすぐ、そのお願いの内容に気づいた。
いや、予想していたからこそ、ソファーを増やしたりしてたんだけどね。
「陛下、どうされました?」
シュテインを機内のソファーに座らせておき、陛下と向かいあう。
「シロー殿、余や后、ルナーリアも連れていってはくれぬか?」
「お国のお仕事はよろしいのですか?」
「この度の事が成らねば、この世界は滅びるのであろう?
そうなれば、残された時を、家族と共に過ごしたいのだ」
俺が失敗しても、世界がすぐに消えるということにはならないとは思うけど、まあ、その気持ちは理解できる。
「いいですよ、ご一緒しましょう」
陛下が機内に入ると、ルナーリア姫がタラップを駆けあがってくる。
「シロー、また海に連れていってくれる?」
「ははは、大事なお仕事がありますからすぐには無理ですが、それが終われば構いませんよ」
「やったーっ!」
そう叫んだ姫は、ブランとキューがくつろいでいるソファーに飛びのった。
「シローさん、よろしいのですか?」
姫の後ろからタラップを上がってきた王妃が、申し訳なさそうな顔をしている。
「海を見るのは、私も好きですから」
「ありがとう」
王妃は上品に笑うと、キューを膝に置き、右手でブランを撫でている姫の左隣りに座った。
「では、出発しますよ」
俺はタラップを消し、入り口のドアを閉めた。
◇
「ね、お母さま、全然揺れないでしょ?」
「これで飛んでいるのですね?」
ルナーリア姫と王妃は、そんな会話をしている。
「おお!
我が国を空から眺められるとは!
これは、また格別の感慨があるのう……」
窓から下を眺め、陛下は涙を浮かべている。
「いろんな世界でいろんな国を見てきましたが、ここは良い国ですよ」
「シロー殿にそう言ってもらえると、余は嬉しいぞ!」
「ははは、俺はお世辞は言いませんから。
さあ、そろそろヘルポリですよ」
「なんじゃと!?
馬車でも一週間は掛かる場所じゃぞ!」
「父上、間違いなくあそこに見えるのはヘルポリです」
「シュテイン、これに乗ったことがあるのか?」
「いえ、ありませんが、街の中心近くに禁足地の森が見えますから」
「おお!
あれがそうか!
あそこに聖樹様がおられるのだな?」
「ええ、そうです。
ところで、皆さんを下に降ろしますが、いきなり風景が変わっても驚かないでくださいね」
「シロー殿、どういうことだ?」
「陛下、俺のスキルで皆さんを下に移動させます」
「もしかして、伝説の中に出てくる転移魔術か?」
「いえ、俺のオリジナルスキルですね。
詳しいことは話せませんが」
「おお、そういえば、冒険者にはそのような決まりがあったな」
「はい。
それでは降ります。
心の準備をお願いします」
「余はよいぞ」
「いつでもいいよ」
「お願いします」
「降りるの?」
こうして俺は陛下とその家族を連れ、ナゼルが住む屋敷の二階にある客室に瞬間移動した。
◇
客室に残しておいた点であらかじめチェックしておいたから、そこには誰もいなかった。
俺は陛下と王妃、シュテイン、ルナーリア姫をソファーに座らせると、部屋から廊下に顔を出し、屋敷の者を呼んだ。
まず、高齢の執事が訪れ、そして彼がナゼル嬢を連れてきた。
部屋に入るなり、ナゼルは大声を上げ、ソファー越しにシュテインに抱きついた。
「きゃーっ!
シュテイン様~!」
全く、皇太子のこととなると、この人は周囲が見えないね。
まずは、きちんと挨拶しようよ。
「シュテインよ、この娘は誰じゃ?」
陛下が、眉をひそめてそう尋ねた。
これを見たら、そうなるよね。
「父上、この屋敷の娘、ナゼルさんです」
ナゼルは、自分の頬をシュテインのそれに擦りつけるのに夢中で、何も聞いてない。
あまりの事に、俺が口をはさんだ。
「ナゼルさん、ご挨拶を」
「あ、シローもいたのね。
こっちのおじさん、おばさんは誰?」
だからー、つい今しがた、シュテインが「父上」って言ったじゃない。
「ナゼルさん、シュテインさんのお父様ですよ」
俺はシュテインが言ったことを繰りかえした。
「ふーん、皇太子様のお父様かー、偉い方だよね」
『(*'▽') ナゼルさん、ぱねーっ!』
点ちゃんに、激しく同意。
「ナゼルさん、シュテインさんの身分は?」
「そんなの皇太子殿下に決まってるじゃない!」
ナゼルがなぜか胸を張る。
「皇太子殿下のお父上といえば?」
「ええと、国王の息子が皇太子だから、皇太子のお父上は……」
ナゼルの顔が、キョトンとした顔から驚きに、そしてまっ青になる。
「こっ、こっ、こっ、国王陛下ーっ?!」
この人、ニワトリみたいになってるよ。
誰か似た人がいたような。
「う、う~ん……」
あーあ、ナゼルさん、白目むいて気を失っちゃったよ。
どうして恋する相手の前で、またもやそんな顔をさらすかなあ。
「ルナ知ってる!
それってシローが教えてくれた、『にらめっこ』でしょ?」
ルナーリア姫の小さな指が、白目をむいたナゼルの顔を指していた。
それにより、世界群が二つに分かれた時期が特定できたそうだ。
それはこの世界で約二百五十年前ということだが、世界によって一年の長さが違うから、各世界群では、また違う年数になるだろう。
ルナーリア姫は、朝から夕方まで、個人教授を受けるのもお休みして、キューとブランと一緒にいる。
そんなことができるのは、せいぜい四、五日だし、世界群が救われない可能性もあるわけで、陛下と王妃も姫が好きなようにさせているようだ。
俺の方は、周囲に毒をまき散らすという厄介な魔獣の討伐や、森の中に隠れ家を持つ馬賊の捕縛など、長年にわたって放置されてきた依頼をこなすことで、ギルドに貢献している。
依頼主から追加の報奨金やお礼の品をもらい、ギルマスのグラントはホクホク顔だ。
「シローよ、お前、ずっとこのギルドで働いてくれ」
そんなことを言いだす始末だ。
それじゃ、元の世界に帰れないよね。
◇
聖樹様と約束した日の前日、俺は朝から点ちゃん1号の内装に手を加えていた。
今日は昼前までにヘルポリへ着くよう王都を出発する予定だ。
ノックの音がするのでドアを開けると、タラップにシュテインが立っていた。
「シローさん、お願いがあるのですが」
俺は彼の後ろを見てすぐ、そのお願いの内容に気づいた。
いや、予想していたからこそ、ソファーを増やしたりしてたんだけどね。
「陛下、どうされました?」
シュテインを機内のソファーに座らせておき、陛下と向かいあう。
「シロー殿、余や后、ルナーリアも連れていってはくれぬか?」
「お国のお仕事はよろしいのですか?」
「この度の事が成らねば、この世界は滅びるのであろう?
そうなれば、残された時を、家族と共に過ごしたいのだ」
俺が失敗しても、世界がすぐに消えるということにはならないとは思うけど、まあ、その気持ちは理解できる。
「いいですよ、ご一緒しましょう」
陛下が機内に入ると、ルナーリア姫がタラップを駆けあがってくる。
「シロー、また海に連れていってくれる?」
「ははは、大事なお仕事がありますからすぐには無理ですが、それが終われば構いませんよ」
「やったーっ!」
そう叫んだ姫は、ブランとキューがくつろいでいるソファーに飛びのった。
「シローさん、よろしいのですか?」
姫の後ろからタラップを上がってきた王妃が、申し訳なさそうな顔をしている。
「海を見るのは、私も好きですから」
「ありがとう」
王妃は上品に笑うと、キューを膝に置き、右手でブランを撫でている姫の左隣りに座った。
「では、出発しますよ」
俺はタラップを消し、入り口のドアを閉めた。
◇
「ね、お母さま、全然揺れないでしょ?」
「これで飛んでいるのですね?」
ルナーリア姫と王妃は、そんな会話をしている。
「おお!
我が国を空から眺められるとは!
これは、また格別の感慨があるのう……」
窓から下を眺め、陛下は涙を浮かべている。
「いろんな世界でいろんな国を見てきましたが、ここは良い国ですよ」
「シロー殿にそう言ってもらえると、余は嬉しいぞ!」
「ははは、俺はお世辞は言いませんから。
さあ、そろそろヘルポリですよ」
「なんじゃと!?
馬車でも一週間は掛かる場所じゃぞ!」
「父上、間違いなくあそこに見えるのはヘルポリです」
「シュテイン、これに乗ったことがあるのか?」
「いえ、ありませんが、街の中心近くに禁足地の森が見えますから」
「おお!
あれがそうか!
あそこに聖樹様がおられるのだな?」
「ええ、そうです。
ところで、皆さんを下に降ろしますが、いきなり風景が変わっても驚かないでくださいね」
「シロー殿、どういうことだ?」
「陛下、俺のスキルで皆さんを下に移動させます」
「もしかして、伝説の中に出てくる転移魔術か?」
「いえ、俺のオリジナルスキルですね。
詳しいことは話せませんが」
「おお、そういえば、冒険者にはそのような決まりがあったな」
「はい。
それでは降ります。
心の準備をお願いします」
「余はよいぞ」
「いつでもいいよ」
「お願いします」
「降りるの?」
こうして俺は陛下とその家族を連れ、ナゼルが住む屋敷の二階にある客室に瞬間移動した。
◇
客室に残しておいた点であらかじめチェックしておいたから、そこには誰もいなかった。
俺は陛下と王妃、シュテイン、ルナーリア姫をソファーに座らせると、部屋から廊下に顔を出し、屋敷の者を呼んだ。
まず、高齢の執事が訪れ、そして彼がナゼル嬢を連れてきた。
部屋に入るなり、ナゼルは大声を上げ、ソファー越しにシュテインに抱きついた。
「きゃーっ!
シュテイン様~!」
全く、皇太子のこととなると、この人は周囲が見えないね。
まずは、きちんと挨拶しようよ。
「シュテインよ、この娘は誰じゃ?」
陛下が、眉をひそめてそう尋ねた。
これを見たら、そうなるよね。
「父上、この屋敷の娘、ナゼルさんです」
ナゼルは、自分の頬をシュテインのそれに擦りつけるのに夢中で、何も聞いてない。
あまりの事に、俺が口をはさんだ。
「ナゼルさん、ご挨拶を」
「あ、シローもいたのね。
こっちのおじさん、おばさんは誰?」
だからー、つい今しがた、シュテインが「父上」って言ったじゃない。
「ナゼルさん、シュテインさんのお父様ですよ」
俺はシュテインが言ったことを繰りかえした。
「ふーん、皇太子様のお父様かー、偉い方だよね」
『(*'▽') ナゼルさん、ぱねーっ!』
点ちゃんに、激しく同意。
「ナゼルさん、シュテインさんの身分は?」
「そんなの皇太子殿下に決まってるじゃない!」
ナゼルがなぜか胸を張る。
「皇太子殿下のお父上といえば?」
「ええと、国王の息子が皇太子だから、皇太子のお父上は……」
ナゼルの顔が、キョトンとした顔から驚きに、そしてまっ青になる。
「こっ、こっ、こっ、国王陛下ーっ?!」
この人、ニワトリみたいになってるよ。
誰か似た人がいたような。
「う、う~ん……」
あーあ、ナゼルさん、白目むいて気を失っちゃったよ。
どうして恋する相手の前で、またもやそんな顔をさらすかなあ。
「ルナ知ってる!
それってシローが教えてくれた、『にらめっこ』でしょ?」
ルナーリア姫の小さな指が、白目をむいたナゼルの顔を指していた。
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