上 下
353 / 607
第九章 異世界訪問編

第14話 キャロの里帰り2

しおりを挟む

 夕食が始まろうかと言う時に、コルネが舞子の屋敷に到着した。

 よほど急いだのだろう。乗っていた馬は、到着するなり倒れてしまった。
 舞子が治癒魔術をかけると、馬は何事もなかったように立ちあがった。

 疲れたコルネを休ませようとしたが、彼女がどうしても先に話をしておくと言って譲らなかった。

 客室で、舞子、俺の二人が話を聞く。

「コルネ、『聖樹の巫女』について神樹様はなんとおっしゃられたんだい?」

 コルネは思いつめたような顔で、ゆっくりと話した。

「神樹様のお話では、『聖樹の巫女』というのは、特別な時にだけ現れる存在なのだそうです」

「特別な時とは?」

 舞子が、不安そうな顔で尋ねる。

「ポータルズ世界群に大変な危機が訪れる時だということです」

「何だって!」
「そ、そんなっ!」

 俺と舞子が悲鳴のような声を上げる。
 事態の深刻さが、それほどのものだとは……。

「神樹様は、どんな危機かは教えてくださらなかったのか?」

「はい、詳しいことは神樹様もご存じないようでした。
 ただ、その危機の原因が神樹様の数に関係あるのではないかとおっしゃられていました」

「神樹様の数?」

「ええ、この千年ほどで、神樹様の数が急激に減ったそうです。
 特に、三百年前から二百年前にかけて、数多くの神樹様が姿を消したらしいのです。
 その反動がここにきて現れたのではないか、とおっしゃられていました」

 つまり、原因は過去にあるわけか。
 過去は変えられないから、やってくる危機がどんなものであれ、今の世代で対処するしかない。

「幸い、神樹様同士のネットワークが最近になって急に緊密になったそうです。
 各世界の神樹様から集まる情報を調べてみるとおっしゃっていました」

 最近になって神樹様のネットワークが?
 俺はある推測が頭に浮かんだが、それを口にはしなかった。
 なぜなら、もしもその考えが正しければ、ポータルズ世界群の危機がより避けられないことになるからだ。
 憶測に過ぎないことで、コルネと舞子をよけいに不安がらせるべきではない。

 その日の夕食は、ミミの父親が腕によりをかけたものだったが、俺は食事の味さえ分からなかった。

 ◇

 次の日、予定を早めた俺たちは、エルファリアへ向け、出発することにした。

 連れていくのは、キャロ、フィロ、翔太、エミリーだ。
 白猫ブランも連れていく。
 応接室には、エルファリアに行く五人と、舞子、ピエロッティが集まっていた。

「史郎君、私、何だか不安なの。
 本当に気をつけてね」

「ああ、分かってる。
 聖樹様にお話をうかがおうと思う。
 舞子は自分ができることをしてくれ」

「うん、きっと無事に帰ってきてね」

「ああ、君も気をつけてくれ」

「シローさん、ショータとエミリーを頼みます」

「任せてください、ピエロッティさん。
 聖女様を頼みます」

 俺は、舞子とピエロッティが部屋から出たのを確認してから、セルフポータルをエルファリアに繋いだ。

 ◇

 俺たち五人と一匹は、エルファリア『聖樹の島』の「木の家」に転移した。


 アンデからギルド本部に連絡してもらい、「木の家」を無人にしてある。
 部屋に転移してすぐ、窓から外を見るとエルファリアは夕暮れ時だった。
 俺はエレノアさんに念話して、腕の立つギルド職員を派遣してくれるように頼む。

 S字型に湾曲した巨木を利用した「木の家」は以前のままで、キャロとフィロさんには、二階の部屋を使ってもらう。
 二人は、聖樹様が見える二階の部屋に感動していた。

 俺は再び一階に降り、ギルド職員の到着を待つ。
 間もなくノックがあり、ドアを開けるとレグルスさんが立っていた。
 190cmほどある細身の長身で、右目の上下に刀傷がある。
 彼は、ルルの父親だ。

「おい、どうしてルルを連れてこなかった!」

 いや、あなたのために来たわけじゃないから。
 大柄なレグルスさんが、俺の襟首をつかもうとした。

 スパパーン

 やっぱりこうなりますか。彼の後ろから、白い棒を持ったエレノアさんが現れた。

「もう、いつもいつも、こんな調子でごめんなさい」

「いや、ハニー。
 でも、こいつはルルを……」

 スパパパーン

 レグルスさんが、頭を抱えてうずくまる。

 翔太とエミリーは、ギョッとした顔をして引いている。
 エレノアさんとレグルスさんの夫婦漫才は、初めて見たら誰でも驚くだろう。

「護衛は、私たち二人がつとめるわ」

「お久しぶりです、エレノアさん。
 よろしくお願いします」

「初めまして、翔太です」
「初めまして、エミリーです」

「翔太君に、エミリーちゃんね、よろしく。
 ところで、シロー、ギルド長の話だと、最高度の重要任務だという話だけど……」

「ええ、聖樹様、神樹様に直接関係した事柄です」

「なんですって!」
「おい、本当か?」

 いつの間にか立ちあがったレグルスさんも、目を大きく見ひらいている。

「間違いないです。
 すでに、コルネ、ああ、彼女はコルナの妹なんですが、彼女が神樹様に確認済みです」

「そうなると、私たち二人で十分かしら?」
 
「きっとミランダさんは、この件に関しては、情報を外に漏らさない方が重要だと考えたんでしょう」

「確かにそうかもね」

 俺の言葉にエレノアさんが頷く。

「シロー、この後の予定は?」

「明日、朝のうちに聖樹様にお目に掛かろうと思います。
 その後の予定は、その時に決まるかと」

「分かったわ。
 今日は、この家を守ることにする」

「二階の二人にも紹介しますね」

 俺は、キャロ、フィロさんを二階から一階へ呼び、エレノアさん、レグルスさんを紹介した。
 フィロさんは、既に二人と面識があるけれど、キャロはまだだからね。
 キャロは、レグルス、エレノア夫妻がルルの両親だと知り驚いていた。

 点収納からありあわせのものを出し、夕食にする。

 「木の家」での宿泊は心地よく、束の間だが事態の深刻さから硬くなっていた身体が解きほぐされるように感じるのだった。

 ◇

 次の日、お茶と蜂蜜クッキーだけの簡単な朝食を済ませると、翔太、エミリーの三人を連れ、俺は聖樹様の元へ向かった。

 エレノアさん、レグルスさんが護衛として同行する。
 「木の家」に残していく、キャロ、フィロさんには、別の護衛がついた。

 聖樹様までは、瞬間移動なら一瞬、ボードなら十五分で着くのだが、俺は考えた末、歩くことにした。

 朝の森を歩くのは、気持ちよく、翔太、エミリーともにニコニコしている。
 深い森は、生命の気配に満ちあふれ、それが俺たちを包みこむようだった。

 エミリーが地球の植生とこの島のそれとの違いを、翔太に話しているのが聞こえる。
 翔太は、真面目な顔で耳を傾けていた。

 途中、一度休憩をはさみ、聖樹様に謁見する場所にたどりつく。
 以前、加藤がそうであったように、翔太とエミリーは、聖樹様がどこにあるか気づかなかった。
 聖樹様のお姿は、「木の家」から見えていたんだけどね。

 俺が聖樹様の方と上を指さすと、二人ともやっとお姿に気づいたようで、口を開けてポカーンとしている。
 聖樹様の大きさは、我々の日常感覚からは、かけ離れているからね。

 エレノアさんが、地面に膝を着くと、俺たちもそれにならう。
 俺が目標とするおおらかで、温かい気が周囲に満ちてくる。

 聖樹様から念話が届く。
 それは、声というより、ゆったりしたバイブレーションに感じられた。

『皆、よく来たな』

『聖樹様、お久しぶりです』

『シロー、「聖樹の巫女」を連れてきてくれたようじゃな。
 感謝するぞ』

『畏れ多いことです』

『点の子よ、全員に我の声が聞こえるようしてくれるか』

『(^▽^)/ うん、分かったー』

 ここにいる全員には、すでに点がつけてあるけれど、聖樹様との念話ができるようには設定していない。

 点ちゃんは、あっという間にそれを終えた。

『(^▽^) できたよー』

『すまぬな。
 地球から来た少女よ、そちの名は?』

 エミリーは、非現実的な出来事にぼーっとしている。

 俺が、その肩に手を掛け、少し揺すると、目に光が戻ってきた。

『エミリー、こころの中で会話できるから、聖樹様に自己紹介するといいよ』

『あっ、シローさん。
 声が聞こえたのは気のせいじゃなかったんですね』

『ああ、俺の魔法が念話をコントロールしてるんだ』

『心の中で、自己紹介すればいいんですね』

『そうだよ、失礼がないようにね』

『はい、分かりました。
 私は、地球からきたエミリーといいます』

『エミリーじゃな。
 大きな役目をお主に負わせてすまぬの』

『聖樹様、エミリーのお役目とは何でしょう』

『シローよ、お主は気づいておるのではないか。
 神樹の働きについて』

『神樹様それぞれに、特別なお力があると考えております』

『そうじゃ。
 神樹は、繋がった世界群を維持する個々の役割をもっておる』

『例えば、天竜国の神樹様でいえば、お互いの繋がりを強くする働きでしょうか?』

『そこまで分かっておったか。
 そういうことじゃ』

 やはり、神樹様のネットワークが強まったのは、天竜国で植えた、五本の神樹様が関わっていたのか。
 それより、三百年前から二百年前までの期間に多くの神樹が切られたということが、どんなに危険な事だったか。
 俺は、背筋が冷たくなるのを感じた。

『我が子ら、神樹の数が多い時には問題は無かったのじゃが、その数が少なくなった今、ただ一本の神樹が一つの働きを担っておることもある』

『聖樹様、そうなると、その神樹様に何かあれば……』

『そうじゃ、世界群がどうなるかは誰にも分からん』

 俺は、念話を通じて、翔太、エミリー、エミリアさん、レガルスさんの恐怖が流れこんでくるのを感じた。

『エミリーとやら。
「聖樹の巫女」には神樹を癒し、力を強める働きがある。
 お主の力が世界群を救うやもしれぬ』

『聖樹様、エミリーはこれからどうすればよいのでしょうか』

『シロー、お主が側におるなら、思うように行動すればよい』

『それだけでよいのでしょうか』

『それでよいのじゃ。
 全て繋がっておるでな』

 全てが繋がっている? 
 俺がそれについて尋ねようとする前に、聖樹様の念話が続いた。

『エミリーの隣におる童(わらわ)を見よ。
 その子は、「聖樹の巫女」の「守り手」ぞ。
 全てはかくのごとく繋がるのじゃ』

 翔太が「守り手」?

『シロー、お主の働きで力が戻ってきておるが、これが限界じゃ。
 では、次なる時の結び目でまた会おうぞ』

 聖樹様の念話はそこで途絶えた。

 何かの気配がして、はっと見上げると、白いものがいくつか降ってくる。
 その全てを点収納に回収しておいた。

 俺は、世界群がこの瞬間にも危機にさらされているという事から恐怖を感じていたが、エミリーをいかにして守るか、その思いの方が強かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」  何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?  後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!  負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。  やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*) 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/06/22……完結 2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位 2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位 2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

処理中です...