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第二章

やらかした ラインハルト視点

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 ああぁあ、やってしまった……。これは絶対に嫌われた……。
 仕事の合間にそう思ってはもだえ苦しむこと数十回。
「全く話せなかった…。無視するような最低野郎だと思われただろうこれは……。」
 自身で呟いた言葉でさらに絶望感が深まる。
 好きな人を前にすると話せないなんてコミュ障か?口下手なのか? 
 ルイスと対面したときの自身の態度を思い出しては羞恥でう~う~と唸り、考えを振り払うように仕事に没頭する。
 最初のほうはきちんと休息をとろうとしたが、寝ようと思って目を瞑ると思い出してしまい、結局寝ることができず仕事に逃げた。
 そもそも、一度目に人型のルイスに会ったときも禄に話せなかったのだ。それが二度目に会ったときなんで無視した様になってしまうんだ。悪化してるだろ。
 ニ度に渡る自身のやらかしに頭を抱えながら仕事を続けること数日。
 ……流石にそろそろ休んだほうがいいよな……。
 この寝不足のままだとまた何かやらかしそうだ。
 立ち上がれば、よろよろとおぼつかない足取りになる。……ほんとにそろそろ寝たほうが良いぞ俺……。
「……?」
 ……視線を感じる……。
 寝不足ながらも、いや、寝不足だからだろうか、優秀らしい五感は、何処かからの視線を察知した。
 普段ならば、視線の正体を特定できるまで知らない振りをするのだが………。
 何を思ったのか俺は視線の方向にある窓を迷いなく開けた。……寝不足って恐ろしいな…。
 そして、
「____え、………」
 窓を開けた先に居たのは____
「___ルイス?」
 _____ルイスだった___。
 ……???ルイスだ。なんでそこに居るんだ?
 まあ、いいか。
「…ちょっとそこに居てくれ。」  
 この高さなら大丈夫だろう。
「え、ちょ、はぁ!?」
 2階程度の高さなら死なん。
 そう思って飛び降りれば、何故かルイスが近くに来ていた。……?なんだか、顔が近い…?
「び、びっくりした……。何やってるんだ、危ないぞラインハルト……!」
 ……ルイスの敬語が抜けてる。いいな、仲良しになったみたいで。
「…………、るいす……。」
 頭の働いてない俺は、思うがままに行動した。
 抱きつくようにルイスに体をよせる。
「………っ!……!?!?」
 やっぱり安心するな……。少々ルイスの鼓動が速い気がするが、振り払われないしいいだろう。
 ルイスの腕の中で安心しきったからか、心地よい眠気が俺を襲ってくる。
 ……そうだ、
「…………すまなかった。」
 ルイスに、謝らないと……。
「……何がですか。」
 敬語で話されると、なんだか寂しいな……。
 ……考えてる場合じゃない、ちゃんと話すんだ……。
「………うまく、話せずに、無視したようになってしまう……。」
 一つ一つ、誤解されないように言葉を紡ぐ。
 言葉に出したことで、申し訳無さが湧き出てくる。自然と目線は下を向き、ルイスの顔を見ない様にしてしまった。
「…急に、獣が人になったのですから、それぐらい普通だと思いますが。」
 表情の見えないルイスから、そう返される。
「………違う。そうじゃない。」
 思わず顔を上げた。
 …俺が口下手なせいでルイスが誤解している……!
 誤解を解こうとルイスを見れば、何故か視線を逸らされてしまった。
 それがとても嫌で、ルイスの両頬を両手で包み、こちらに顔を戻した。
「…………っ…!」
 目を丸くしたルイスはかわいいが、俺は今怒ってるんだ。ルイスの分からずやめ…!
「…るいすが、美人すぎて、話すのに緊張するんだ!」
 まったく、なんで獣から人間になったから話せなくなったと思ったんだ。そんなことは関係な、………、ちょっと関係あるかもしれない。最初見たときは美人すぎて驚いたしな……。
 あっちこっちに思考を飛ばしながらも、ルイスを見れば、真っ赤に色づいた顔。
 ルイスの鮮やかな髪色に負けないほど赤い頬、というか顔全体。おろおろと視線を彷徨わせるルイスは、よく見れば耳まで赤い。
 顔をこちらに向けさせたときのまま、両頬を包んでいた手で耳に髪をかける。……これだと耳がよく見えるな。それにしても……
「…かわいいな、るいす。」
 満足した瞬間、俺の意識は無くなった。



  ~翌日~

 ………俺、結局やらかしてないか…?
 今度は逆に仕事が手につかなくなる俺であった。
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