僕と君は想ってる

天野睡

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僕は思う

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体育祭が終わりその後は平和な日常過ごしていた。
僕たちは、放課後にいろんな場所に行った。
毎日は話し合った結果なしになったがお昼ご飯は政矢と楓を含めた四人で食べ始めた。 風刀とは僕に話しかけなくなった。よほど楓たちが怖いらしい。
そして僕たちは夏休みを迎えた。
プルルルル
「はいもしもし。」
 夏休みも一週間たった 。
僕自身課題は早く終わらせたい派の人なので早々に終わらせていていて何をするか悩んでいたところで電話がきた。
「私よ。」
美琴からの電話だった。
「どうしたの。」
「夏休みは楽しいことがいっぱいあるわよ。」
なんか今日テンション高いな
「何か用?」
「契約に従って夏休み一緒に遊びましょう。」
「 わかった。」
契約のためなら仕方ないちょうど暇だったし 。
「どこに行くの?」
「プールに行きましょう。」
夏らしいものが来た。
「実は楓さんから誘いをもらったんですよ四人でいきましょうって。」
「そうだったんだ。分かった。」
 水着があったかな
「では明日の朝九時頃に駅前に集合しましょう。」
「了解。」
「では楽しみにしてますねでは。」
ピッ
明日の予定が決まった。水着があるか確認すると無かったため水着を買いに行った。
「あれ?みっくんじゃない。」
近くのデパートで水着エリアを探していると美琴と楓に声を掛けられた。
「あれ?なんでこんなところに。」
「私達は水着を買いに。」
向こうから約束したのに持ってなかったのか。
「みっくんはどうして?」
「水着無くて。・・・それよりさ。」
美琴と楓はあの日以降余計に仲良くなった。
それはとてもいいことなのだが。
「ねぇ。みっくんはやめてくれない。」
美琴の言い方を真似て僕のことをみっくんと呼ぶのだ。僕はもちろん許した覚えはない。
「だって「みこと」だとどっちを呼んでるか分からないもの。」
なら僕じゃなくて美琴につけろよ。
「いいじゃない。なーに美琴は許して私はダメなの。」
すると楓は耳元に近づいてきて
「もしかして美琴のこと好きなの?」
「ひゃあ。」
つい声を出してしまう。
僕はとても耳が弱い。今まではなんとか堪えていたがここまで耳に近づかれたことがなかった。
「あら。もしかして耳弱かったのかしら。」
よりによって楓にバレてしまった。
「へぇー。知らなかったなぁー。」
このときも耳元で言ってくる。楓はSなのだ。
「今まで我慢してたのかしら。」
最悪だ。絶対にやられる。
「ねぇ。教えてくれないかしら。」
フゥーと息をかけられる。
「や・やへぇてくだぁひゃい。」
「どうしようかな。」
政矢はよく彼氏彼女できる。
「あのー。」
本気でやばかったそのとき、救いの手が舞い降りた。
「周りの方の目もあります。そしてはしたないですよ。」
説教された。
「・・・ごめんなさい。」
楓が素直に謝った。
「あ・ありがとう助かった。」
「いえいえ。早く買いに行きましょう。」
えっ。これ僕も行くの?
水着エリアに着いた僕達一行。
僕は早く決まった。そのまま帰ろうと思った。
そしたら、
「ちょっと待ちなさい。せっかくだから政矢の好み教えなさい。」
と楓に捕まってしまった。
ちなみに政矢と楓は中学から付き合っている。
普通に考えて海やプールに行ったことがあると思うんだけどな。
「せっかくだし私も選んでもらおうかな。」
はい?
まさかこんなことになるとは思っていなかった。
「この水着政矢好きかしら。」
「うーん。もう少し暗めな色の方が好みだと思うよ。」
「みっくん。この水着似合ってます?」
「あぁーうん。似合ってるよ。」
二人の水着を選ぶ羽目になってしまうとは。
まぁ。答えてる僕も僕なんだけど。
これは姉さんのせいだと思う。
そしてかれこれ二時間後。
二人とも水着が決まったらしい。
「今日はありがとう。みっくんのお陰で政矢の好みが分かったわ。」
「今日はありがとう。」
二人とも満足そうだった。
「それは良かった。」
「明日楽しみにしてるよ。」
そういって二人とも去っていった。
「あっそうだ。」
僕はとある人に電話をかける。
プルルルルッ
「もしもし。」
電話の相手は政矢である。
「明日絶対来いよ。」
ピッ
そうして電話を切る。
せっかく選んだんだ。来てもらわないと困る。
翌日
待ち合わせ場所に行くと美琴が先に来て待っていた。
「早いな。」
「そうですか。」
「いつから待ってたの?」
「少し前ですよ。」
こういうことに真面目なやつなのかと思っていたけど、電話の声を聞く限りにおいて楽しみで早く来たのかなと思う。
「二人とも早いわね。」
「よーす。」
少ししたら二人ともやってきた。
「みなさん揃いましたし行きましょう。」
僕達は近くの屋内プールに向かった。
「では、中で。」
入り口で別れてそれぞれ着替える。
男子ですよ方が着替える手間は少ないので、先に入った。
「なぁ未琴。」
「なんだ?」
着替えているとき政矢が聞いてきた。
「昨日の電話は結局なんだったんだ?」
そういえば電話したな。
ほとんど忘れかけていた。
「憂さ晴らし。」
「なんで?」
「実はさ。」
僕は昨日のデパートでの出来事を話した。
「それはそのー楓がすまないことをした。」
政矢に謝罪された。
「いや。もう諦めたんだけどさ。」
僕はいつも思っていることを聞いた。
「普通彼氏としては彼女が他の男に密着したりするの嫌がるんじゃないかと思うんだけど?」
政矢は嫉妬とかヤキモチを妬かないのだろうか。
「お前なら大丈夫だからかな?」
それは僕のことを男として見てないのか。
「だってお前楓のこと嫌いだろ。」
「うん。でも まぁ友達としては楽しいかな。」
それも最近思いだしたことだ。
「そういうことが安心できるの。あいつん家知ってるだろ。」
「あぁ。」
初め聞いたときは、結構びっくりした。
「普通はさ。離れて行くんだよ。やっぱり怖いのかな。でも、お前はそんなこと気にせずに友達として接してくれている。それってさとてもありがたいんだ。友人としても彼氏としても誇らしいんだぜ。」
「そうなんだ。」
そんなこと考えているなんて思わなかった。
「お待たせしました。」
話が終わったちょうどいいタイミングで二人ともやって来た。
「政矢、これどうかしら。」
「俺の好みぴったしです。よく似合ってるよ。」
どうやら僕の感覚は間違っていなかったようで安心した。
「なっ言った通りだっただろ。」
小声で言う。
「えぇ。本当に。」
楓は嬉しそうだった。そういうところは乙女だと思う。
ふと考えてしまう。あの日この光景も無かったんだろうと。
「・・くん。・っくん。みっくん。」
美琴の声で我に帰る。
「どうしたんですか?」
「いや。なんでもない。」
こんな風に考え込んでしまうのは僕の悪い癖だ。
「ならいいんだけど、あっそうだ。ここウォータースライダーがあるんですよ。一緒に乗りましょう。」
そう言うと美琴は三人の手を引っ張っていく。
このスライダーはかなり高かった。
「こちらに乗ってください。」
係員さんの指示で浮き輪型の乗り物に四人で乗る。
「では行きますよ。三・二・一   ゴー。」
かなりスピードが出た。行きはかなり長かったのに、滑ると早かった。
ザップーン
「早かったわ。」
「もう一回乗りましょう。」
女性陣はノリノリだった。
「パスする。」
「俺もいいかな。」
一方男性陣は一回で十分だった。
「情けないわね。」
「二人で行きましょう。」
「えぇ。」
二人は行ってしまった。
「元気だな。」
素の彼女からは創造がつかない。
「そうだな。」
「今何時だ?」
僕は時計を探す。
「お昼の十二時だな。」
ずっと遊びっぱなしだったのか。
「お昼買いに行くか。」
「そうだな。」
僕達は四人分のお昼を買い戻って来た僕達は面倒なものに衝突した。
「ねぇ。君たち可愛いね。」
「俺達と遊ぼう。」
二人がナンパされていた。
二人とも美人で来たときから、ちょくちょく見られていたが、面倒なことになった。
「私達友達と来てるんで。」
「まじ。じゃあその子達も一緒にさぁ。」
断ろうとするがそれすらかわしていく。
「あの。急いでいるので。」
「いいじゃん。」
はぁー。これだから嫌なんだよ。
「政矢許せ。」
「ちょっとお前、何をする気だ。」
あぁーいうやつらはイライラする。
僕は政矢に手に持ってるものを預ける。
相手は二人組だが知ったことではない。
僕はナンパ野郎の後ろに立つ。
二人ともナンパをすることに夢中でこちらに気づかない。
パシッ!
僕は一人のナンパ野郎の股間に向かって足を蹴り抜いた。
蹴られたナンパ野郎は急所への当然のダメージにその場でうずくまる。
「てめぇー。」
もう一人はこっちを向いて威嚇する。
僕は威嚇してくる方にも蹴りを入れる。
もう一人もうずくまる。
「お前たちさ。」
年は上な気がするが、こんな奴等に敬語とか使う意味が分からない。
「相手嫌がってたよね。見て分かんなかったかな。まぁ。成功してない時点で分かってないんだろうね。別にナンパに関してとやかく言う資格はないんだけどさ、もう少し相手のこと考えて行動しようよ。君達の頭がバカでもない限り、この言葉の意味分かるよね。バカなんだったらナンパなんてする資格ないよ。」
普通こんなことするかと思われるかもしれないけど、僕はこういうバカが一番嫌いでイライラする。そのためこの行為のなかにはストレス発散も兼ねているのである。
「二人とも大丈夫?」
言いたいことも言ったので二人の方に注目する。
「あ・ありがとう。」
二人ともちょっと引いていた。
周りを見ると、みんなこっちをみていた。
しかし、終わったとわかると散っていった。
「さぁ。ご飯買ってきたんだけど食べよう。」
僕は政矢の所に二人を連れて戻っていく。
「お前容赦ないなぁー。」
政矢はそれだけだった。
「みっくん。助けてもらった身だけどあれはやり過ぎだと思う。」
楓からも言われる。美琴もうなずく。
「僕は、あぁいうタイプの人間が一番嫌いなんだ。イライラする。もう終わったことだしいいだろ。」
「みっくん。」
美琴が声を出す。
「な・なに?」
「あれはやり過ぎです。嫌いだとしてもダメです!」
美琴の言葉はなぜか悪いことをしたという気持ちにさせる。
「今後はこういうことをしないでください。助けるときは、話し合いで。」
「で・でも・・・。」
「分かりましたね!」
「・・・はい。」
強い人だ。
「美琴。すごいわね。」
楓が感心していた。
「分かってくれたのならいいんです。しかし。」
まだ何か言われるのかと身構える。
「助けられたのは真実なので、ありがとうございます。」
普通にお礼を言われた。
このテンポには調子を狂わされる。
「ご飯食べるか。」
政矢の言葉を先頭にテーブルがあるところに行きお昼を食べ始めた。
お昼を食べた後も遊んだ。そんな時間も終わりを告げようとしていた。
「今日は楽しかったですね。」
「それなら良かったー。」
確かに楽しかった。イライラしたこともあったけど。
「今度は海に行きたいですね。」
「いいな海。」
「髪がベタつくから嫌だな。」
「お前は乙女か!」
髪ベタつくの嫌だよね。
「あのーみなさん。八月の第二土曜日空いていますか?」
美琴が聞いてきた。
「空いてる。」
「空いてるわ。」
「暇だな。」
全員予定なしだった。
「その日にお祭りがあるんです。」
美琴は一枚のチラシを取り出した。
「みんなで行きませんか?」
お祭りかぁー。
「行こう。」
「いいわね。」
二人は乗り気だった。
「みっくんはどうします。」
「みんな課題はどこまで進んだ?」
僕の質問にみんな戸惑っていたが、
「あと少し残ってるわ。」
「私も。」
「俺は終わった。」
素直に答えてくれた。
「課題を終わらせてから行こう。」
やるべきことはやらないと。
「じゃあ。勉強会をしましょう。」
楓が提案してきた。勉強会で課題を終わらせるつもりらしい。
「しかし場所はどうするよ。」
「私の家にいらしてください。」
楓の家か。興味あるな。
「広いもんな。お前んち。」
「勉強会いいですね。」
ということで翌日僕達は楓家に行くことになった。
楓家はめちゃくちゃデカかった。
ピーンポーン。
「少し待っててね。」
インターホンから声が聞こえる。
ガチャ
「いらっしゃい。さぁ、入ってはいって。」
進められるまま入る。
「お嬢。」
めちゃくちゃ怖い男の人が楓に向かって頭を下げる。改めて楓が凄いことを知らされる。
「こちらにどうぞ。」
大広間的な場所に案内させられた。
「ゆっくりしてくださいね。」
「とってもひろーい家ですね。」
「そうだな。」
美琴は楓と政矢の前でも素を出すようになった。しかし、他の人がいると演技をしている。
「とりあえず終わらせよう。」
僕達は進めていった。
しかし、思ったより時間がかかり全員が終わる頃には六時になっていた。
「終わったー!」
「終わりました。」
「みなさんご飯はどうされますか?」
楓に言われる。
理由を聞くと、楓の母親がみんなの晩ご飯を作ったらしい。
「悪い。僕は帰るよ。」
姉のご飯を作らないといけない。
「そうなの。」
政矢と楓は姉の現状を知らない。
僕自身知られたくないことだし。それを理由に気を使われたくない。
「ごめんね。」
僕は帰りの支度を急ぐ。
「私も帰る。」
美琴まで帰る支度を始めた。
「美琴なの?」
「ごめんね。用事あるの思い出しちゃって。」
「それなら仕方ないわね。」
楓は少し寂しそうだった。
「俺は食う。そして泊まる。」
政矢が言う。少し楓は驚いていた。
「政矢。」
「課題は終わったが祭り未琴も来るよな。」
「うん。行くよ。」
暇だし。元々行くつもりではあった。
「その日を楽しみにしてような。」
政矢は無理やり明るくしようとしてるのだろう。
「分かったわ。」
楓と政矢は玄関まで送ってくれた。
「お邪魔しました。」
「お祭り楽しみにしてますね。」
こうして僕達は楓家を後にした。
「送ってもらうわよ。」
二人になったからか演技は抜け素の状態になった。
「元々そのつもりだよ。」
二人で歩く。最初の頃は真後ろにいたが、今では僕自身が半歩後ろまで成長した。
「帰るのはお姉さんのためでしょう。」
「うん。」
今僕が知る限り姉の現状を知っているのは両親と僕と美琴と姉さんのお世話係だけだ。
「ホームヘルパー的な人はいないんですか?」
「いるんだけど、向こうにも事情があってね。」
さすがにお願いしてないといけないと思ってしまう。
「祭りの日は頼むから。」
「そうですか。」
会話が途切れる。
「そういえば用事ってなに?」
急ぎ目に用意してたわりにゆっくりと帰っている。
「それは嘘です。」
「・・・うそ。」
なぜ?どういうこと。
僕は動揺してします。
それを見て美琴はおかしそうに笑う。
「どうして?」
楓は家が嫌だったのだろうか。
「楓ちゃんの両親はとても気になりますしお友達の家でご飯なんて楽しそうだと思います。」
なら余計に嘘をつく理由がわからない。
「けれども。」
美琴はこう続けた。
「私達の契約の中に君が一人を感じる時間を作るのはあまり好ましくありません。」
こうもはっきりと言われてしまうと少し動揺してします。
それと同時に後悔してしまう。
僕は自分のことしか考えてない。美琴とは色々と被ってる。でも、根っこの考え方は正反対だと思う。自分のことしか考えない未琴と他人を考える美琴。
「どうしてなの?」
僕は気になる。未琴と美琴の何が違うのか。
「どうして美琴は僕のためにここまでしてくれるの?」
ずっと疑問だった。あの日美琴は昔の誰かを重ねてると聞いたが、それだけでここまでのことはできない。
この質問の答え次第で未琴は美琴になることが出来る。
「それは・・・。」
美琴は少しためてから
「秘密よ。」
指を口に当てて微笑む。その顔は僕の心にグッと来てしまった。そして見蕩れてしまった。
「もうここら辺でいいわ。送ってくれてありがとう。じゃあまたお祭りの日に。」
「あ・あぁ。」
少し反応に遅れる。
美琴はそのまま帰っていった。
僕は急いで家路につき晩ご飯を作り始める。そしていつものサイクルに戻る。ただその間美琴のあの顔をずっと思い出してします。
本当にどうしてしまったんだ
少し心配になった。
そんな状況だが時は進み夏祭り当日を迎えた。前日にメールにて浴衣を来てくることを言われた。
なんで前日なんだよと思いつつ着付けはお世話係にお願いした。
集合場所に行くとまだ誰も待っていなかった。
「今回はみっくんの方が早いですね。」
少ししたら美琴がやって来た。
「そうだね。」
少し僕としては気まずい。
「浴衣似合ってるよ。」
「ありがとう。みっくんも似合ってるよ。」
美琴の浴衣は少し大人っぽい感じだった。
「お祭り楽しみだね。」
「そうだね。」
無言の時間が続く。
「お待たせ。」
「二人とも早いわね。」
それから少しして二人ともやって来た。「遅い。」
「わるいわるい。」
あんまり悪びれてない。
「お二人とも浴衣とってもお似合いですよ。」
「ありがとう美琴。美琴も似合ってるわよ。大人っぽいわ。」
二人で誉め合っている。
「いいなぁ。」
突然政矢が呟く。
「何が?」
「浴衣女子が。」
政矢は周りを見ながら言う。
僕も見ると、普通の服の人もいるが、多くの人が祭りに浴衣で来ている。
「痛い!」
声のした方を見ると、楓がギギギという効果音が聞こえるぐらいの強さで政矢の耳を引っ張っていた。
「いたいいたいいたい。」
「周りをみるな!」
これは完璧に怒っている。
「そうよ霧城君。浴衣なら自分の彼女を見ていなさい。」
美琴は完全に楓の味方だ。
「未琴。助けてくれよ。」
政矢がこっちを向いてくる。
僕は・・・。
「霧城、頑張れ。」
僕は目をそらす。
あの死地に行く覚悟は僕はない。
「そ・そんなー。」
「うふふふふ。」
みんなで笑う。
「も・もう行くぞ。」
この空気を壊そうと行こうとする。
が、結局それすら面白くなってしまった。
笑いが一段落終え祭りの出し物を回ろうとことになった。
「 まずはどこに行こうか?」
「祭りといえばってとこ行こうぜ。」
「祭りといえばってなんだろう?」
うーん
みんな考える。
「焼きそばだな。」
と政矢。
「わたあめかしら。」
と楓。
「「りんごアメ。」」
美琴と一緒のタイミングで同じ事を言う。
「ここまで来ると打ち合わせしてたのか思う。」
「それか一種の病気よね。」
二人が少し引いている。
僕も美琴もとても恥ずかしくなった。
「まぁ。二人も出たしりんごアメにすっか。」
というわけで僕達一行はりんごアメの出店を探す。かなり大きなお祭りなのか出店が多くかなり大人数だった。
「これははぐれそうだな。」
「そうですね。」
「おっ、あったあった。」
りんごアメの出店の前に着いた。出店にはりんごアメ以外にもぶどうアメやみかんアメっていうのもあった。
「りんごアメ以外にもあるの始めてみた。」
「僕のだよ。なぁ二人はってあれ?」
振り返ると二人の姿が見当たらなかった。
「どうかしたの?」
「二人がいない。」
「嘘。」
よくよく辺りを見渡すが政矢と楓はいない。
「どこに行った?」
僕は携帯を取り出し連絡を取る。
プルルルル
ピッ
「お前達今どこにいる?」
「えっ?お前達の後ろにいない?」
「いないんだけど?」
「本当だ。」
ここで政矢も気づいたらしい。
「どこにいる?」
こんな開始早々離ればなれになるなんて思わなかった。
「あぁー。ここどこだ?おい楓。ここどこだか分かるか。」
「分からないわ。」
二人とも場所がわからないようだ。
「どうするよ?」
「うーん。」
政矢が少し考えて、
「じゃあ。花火までに例の場所に集合ってことで楽しもう。」
「はぁ!」
こいつとんでもないこといいよったぞ。
「美琴。」
「何ですか?」
僕は電話の内容を話した。
「私は別に良いですよ。」
即答だった。
僕は電話に戻る。
「分かった。」
と伝える。
「じゃあそういうことで。」
電話を切られた。
「良かったのか。」
僕は美琴に訪ねる。
「構いません。それに楓から聞いたんですけど、今までお祭りデートしてないんですって。」
驚いた。そして政矢に説教をしなくてはと思った。
「じゃあ。どうするか。」
花火までは十分に時間がある。
「これしましょう。」
美琴が指を指したのは射的だった。
「分かった。」
隣の出店に移る。
「勝負しましょう。」
「えっ。勝負?」
「えぇ。あの熊のぬいぐるみを取った方の勝ちって勝負。」
結構射的物にしては難易度高いものを選ぶな。
「分かったよ。」
まぁいいか。せっかくお祭りに来たんだ。楽しまないと損だ。
「じゃあ。私からです。」
美琴は熊目掛けてコルク弾を放つ。しかし
そう簡単には当たらず、結果は全部熊には当たらなかった。
「難しいな。あのぬいぐるみ欲しかっただけどな。」
美琴は本当に悔しそうな顔をする。
「次は僕の番だな。」
狙いを定める。美琴の射撃である程度狙う位置は分かっていた。
しかし、思ったより難しい。弾は全部で十発しかない。それで三発はずしてしまう。
四発目コルク弾は熊の腹に当たる。勝ったと思ったが、以外にもぬいぐるみは重く倒れなかった。
「くっそー。」
そこから五発打ったが外してしまう。
「ラスト一発。」
打ったコルク弾は熊の腹に当たる。前回倒れなかったので駄目かと思ったが、前の一発で動いていたためか、熊はゆっくり後ろに倒れた。
「よっしゃー。」
思わず声を出してしまった。
「負けたかー。」
美琴は悔しそうにする。
僕は熊をもらう。
「熊はあげるよ。」
そしてその熊を美琴にあげた。
「いいんですか!」
演技がこのときだけ解けて素で言われる。
「いつもお世話になってるからね。素になったな。」
気づいたのか恥ずかしそうに美琴はする。
「あ・ありがとう。」
美琴は受け取る。その顔はとても嬉しそうだった。
そこから僕達は色々と見て回った。
わたあめを食べたり、金魚すくいをしたり色々した。
とても楽しかった。
そんな時間はあっという間に過ぎて行きそろそろ花火を見る場所に行く時間になった。僕達はベビーカステラを買ってその場所に向かった。
「今回は俺たちの方が早かったな。」
目的地に着くと、先に二人が待っていた。
二人はわたあめを持っていた。
「三人とも今日はどうでしたか?」
「楽しかったわ。誘ってくれてありがとう。」
「あぁ楽しかったぜ。なぁ。未琴。」
「うん。楽しかったよ。」
「それは良かったです。」
ヒューーー      パンッ
「花火始まりましたね。」
花火は綺麗だった。
「綺麗ですね。」
「そうだな。」
こんな夏を過ごしたことあったかな。
「あっそうだ。政矢、お前彼女とデートぐらいきちんとしろよな。」
僕は説教することを思い出した。
「楓も頑張って誘えよ。」
ついでに楓にも説教する。
「それもそうね。」
「お前に言われる日が来るとは・・・気を付けます。」
花火を背景に笑い声が聞こえる。
花火が終わった。
「終わりましたね。」
「帰りましょうか。」
こういうのが終わるとなんだか悲しい気持ちになる。
「また来年来ましょう。」
「またこの場所で見るか。」
楓と政矢が呟く。
「そうだな。」
「そうね。」
来年僕達がいるか分からないが返す。
帰る時間になった。
僕は美琴を送る。
勉強会の夜の日を思い出した。
「今から少し寄り道して良いですか?」
時刻は午後九時
まだ時間的には大丈夫だった。
「美琴は門限とかないの?」
「ないですよ。」
「分かった。どこ行くの?」
一人は不安だが、まぁ。二人いれば変質者は来ないだろう。
美琴が寄り道した先は、会場から少し離れた所にある展望台だった。
「みっくん少しだけ下を向いていて。」
僕は言われるがまま下を向く。そして、そのまま階段を登っていく。
「上を向いてみて。」
頂上に着くと美琴から次の指示が出される。
「うわーーっ。」
見上げるとそこには星空が広がっていた。
「ベンチに座りましょう。」
二人でベンチに座る。
「あれは天の川。こっちがベネブ・アルタイル・ベガ。夏の大三角形ですね。」
美琴が星の説明をしてくれる。
「連れてきてくれてありがとう。」
「一人でたまに来るんです。」
ここは来たくなる。
「みっくんにも見て欲しかったんです。」
美琴が肩に寄りかかって来た。
「美琴?」
「世界にはこんなにもきれいなんだって・・・・。」
美琴から力が抜ける。
「美琴?美琴!」
寝たのかと思って体を揺らす。
でも、どちらかというと苦しそうだった。
「美琴!美琴!」
その日西条美琴が倒れた。僕は美琴を背負って近くにある病院に急いだ。
僕は美琴の親が来たため帰った。翌日電話が来て美琴の入院を知った。
美琴が目を覚ましたと聞いて僕と楓と政矢は美琴が入院している病院へ向かった。
コンコン
「どうぞ。」
中に入ると美琴は元気そうだった。
「来てくれてありがとう。」
美琴の部屋は完全に個室だった。
「ビックリしたわよ。倒れたって聞いて。」
そういうと美琴は少し笑って。
「心配かけてごめんね。でももう大丈夫だから。様子見でもう少し入院するけど、もう元気だよ。」
明るく答える。
「みっくんここまで運んでくれてありがとう。」
「本当に大丈夫?」
明るく答えるなは逆に心配だった。
「大丈夫だよ。」
その言葉に少し安心した。
僕達は少し雑談をして帰ることにした。
「また来るね。」
「はい。」
扉に向かって進もうとしたとき、
「あの・・・。みっくん!」
美琴に呼び止められる。
「どうしたの?」
「あの二人っきりでお話させてもらえませんか。」
僕は直感的に契約についてかなと思った。
「分かったわ。行きましょう政矢。」
「あぁ。未琴。下で待ってるから。」
なぜか政矢はニヤニヤしており楓はウィンクしてきた。
僕は意味がわからないから放置した。
二人の姿が見えなくなるまで待った。
「話ってなに?」
「えーと。まずは私をここまで連れてきてくれてありがとう。」
感謝された。
「それはもういいよ。とりあえず無事で良かった。」
「本当に助かりました。」
少し無言の時間が続く。
「あの一つお話を聞いてくれませんか。」
真剣な目をしていた。
「分かった。」
そんな目をされてしまっては断れない。
その声を聞いて美琴は話始めた。
「昔あるところに西条美琴という女の子がいました。」
どうやら美琴の昔の話らしい。
「その女の子は生まれつき心臓が弱くいつも病院の中で生活していました。」
そんなこと知らなかった僕は驚いた。
でも、よく思い出すと夏祭りやプールに行った際、まるで初めて行くような声のテンションだった気がする。今まで病院で生活
していたならそんなことにもなるような気がする。
「病院生活も十二年続いたある日、医療の進化のおかげで、激しい運動をしなければ、日常生活を送ってもいいとお医者さんに言われました。
女の子は喜びました。病院ではない外の世界で普通の人と同じように過ごせるんです。そして、女の子はとある中学校に通い始めました。もちろん体育は出来ませんから見学です。そんな生活が二年続きました。その間少しずつ体も動かせるようになり三年生の頃には、体育にも出れるようになりました。お医者さんからすごいって言われました。でも、そんな生活も長くは続きませんでした。ある日学校で倒れました。心臓発作でした。」
言葉にするたびに、美琴は苦しそうな顔をする。それでも僕は黙って聞くことしか出来なかった。
「その時、ちょうどお父さんの転勤と重なり私たちは今のこの病院に引っ越して来ました。やっと手に入れたものはすべてゼロになりました。それから一年後また退院できることになりました。高校は運良くこの高校に転学することが出来ました。そして転学前日女の子は最終確認のために学校に行きました。学校を自由に見ていいと言われたので、見ていました。色々見てまわっていると、一つ扉が開いていました。覗くとそこには一人の男の子がいました。」
その男の子は僕のことだ。
「ここからは私の謝罪です。」
すると美琴はベッドの上で土下座した。
「私は今まで嘘をついていました。私はあなたのためにといい続けましたが、自己満足でした。結局自分のためでした。本当にごめんなさい。」
少しの間無言の時間が続く。
「あははははは。」
僕は笑う。
美琴は少し怯えている。
「顔を上げてよ。」
美琴はゆっくり顔をあげる。
「本当に美琴には敵わないよ。」
「あの。」
美琴は困っている。
「別に怒らないよ。っていうか美琴は真面目過ぎる!」
普通こんなに正直に言わない。
どうやら未琴は美琴になれない。
未琴はこんな正直に言えない。
「むしろ土下座される方が困る。だから直ってほしい。」
「わかりました。」
美琴は普通にベッドに座る。
「そういえばなんで僕だけに言うの?」
楓や政矢にも言うべきだと思った。契約のことは隠すけど、
「これはあまり知られたくないことです。みっくんに言ったのは必要だと思ったからです。」
その気持ちは僕が姉のことを知られたくないことと似ているのだろうと思う。
「あと一回。」
突然呟く。
「えっ?」
「あと一回発作が起きれば、私は手術しないと四月には死んでしまいます。」
死   それはあまりに近くて遠いもの。誰もが一度は考えたことがあること。しかし、誰もがリアルに考えないもの。
「なら手術しようよ。」
僕はわかっている当たり前のことしか言えない。
「確かにそうなんです。でも、その手術は成功率がとっても少ないんです。ゼロがいっぱいついていました。」
手術も成功しないということは、あなたは死にますと宣告されたようなものだ。
「わるい。」
「いえ。いいんです。」
また無言の時間が続く。
「私決めました。」
突然の言葉に驚く。
「何を?」
「私の命の使い方をです。」
すると美琴はこっちを向く。
「私の人生はあなたのために使います。」
その言葉は本気だと思う。
「考えさせてほしい。」
僕は即答できなかった。残り少ない時間を僕のためなんかに使ってしまっていいものなのか。
「分かりました。ですが、早めに答えをください。」
「分かった。」
僕はその場をあとにした。
「遅かったな。」
二人は下のベンチで座って待っていた。
「何の話をしていたの?」
「ごめん。言えない。」
言えなかった。言えるはずがなかった。
「秘密にしたいって言われたんだ。」
「それなら仕方ないわね。」
すんなりと受け入れてくれた。
そこで話が終わり僕達は帰った。
「どうしよう。」
僕は自室で悩んでいた。
僕は すぐに未来を考えてしまったこの先 きっと彼女は僕の心に残り続けるだろう その証拠は僕が今生きていることだ。 そして僕は多分この先も彼女のおかげで生き続けることだろう。 これは契約を実行する上でとても重要なことだ。 でもそれは彼女がいるからこそ僕は生き続けることができる きっと彼女がいなくなってしまった後僕は、 もしかしたら死んでしまうかもしれない。 そして そうなってしまえば彼女の今までの努力を無駄にしてしまうかもしれない。
結局僕はその答えを探すのに一週間もの時間を費やした。 
僕がある答えを出せた それにはある一人の助言があった。
その人物はいつも姉さんの世話をしてくれる人だった。
「 何かお困りのようですね。」
「 いえ・・・。別に そんなことはないです。」
「 その顔は困っている顔ですよ。」
そんなに困っている顔をしていたのだろうか。
「 なぜそう思うんですか?」
「 だってその顔は博士の悩んでる顔と同じですから。」
姉さんのお世話係は母の助手の人に任せている。
「 詳しく内容 を聞くつもりはありません。 ですがきっと大事なことなのでしょう。 しかし 、悩むだけでは 問題は解決しません。 時には 大博打に出ることも大切です 。もしかしたらそちらの方が上手くいくかもしれません。 昔博士に言われたことがあります 。物事を決める時には周りを見なさい それがきちんとできる人が成功できる人です。
当時とても大事なことで悩んでいた私にとってそのことはとても効果的でした。 私はどうしても一人で考え込んでしまってがあるんです。 けれど博士の言葉で私は周りを見てみました。 そのおかげで私は悩みを解決することが出来たんです。 味方くんの周りも誰かいるでしょ。その人のことを考えてみてください。」
僕は二人の顔が出てくる 僕と美琴とふたりが死んだ時、 ふたりは悲しんでくれるだろうか きっと悲しんでくれると思う。
でも 、やっぱり少し不安だ。
たぶん僕は一人では生きていけないのだろう。
なら僕はどうするべきなんだろう。
死が避けられない運命なのならば・・・。
「 決断したようですね。」
「 はい。」
決めたら早く行動しないと僕はまた迷ってしまう。博打だ。
「 すいません少し出てきます。」
「 お気をつけて行ってらっしゃい。」
僕は病院に駆け出した。
病院にはすぐ着いた。
コンコン
「はい。」
少し怖い。でも、 僕は勇気を出して一歩足を進める。
「 決まりましたか?」
「決めた。」
もう迷わない。
美琴はこちらはまっすぐ見てくる。
とても緊張するこんなに緊張したのはいつぶりだろうか。
「 君の残り少ない人生を 僕にください。 僕に生きる希望を下さい。」
僕は頭を下げた。
なぜだろう何故か告白をしているみたいだ。
「はい。分かりました私の人生あなたのために使います。」
二人して 顔を赤らめてしまう。
「 改めてよろしくお願いします。」
「 私もよろしくお願いします。」
コンコン
誰か扉を鳴らした。
「どうぞ。」
扉を開けたのは知らない女の人だった。
「お母さん。」
その女の人の正体は美琴の母親のようだった。
「美琴そちらの方は?」
「 初めまして僕は神城未琴と言います。 西城さんとはお友達で仲良くさせてもらっています。」
ほとんどよそ行きの言葉遣いになった。
「 そうだったの。私 美琴の母の西条美雪なの。 みことくんはどういう字を書くのかしら。」
そこからは 僕は学校での美琴について色々と聞かれた。 本人の前でよく聞くことだなあと思ってしまった。
美琴も、
「 もうお母さんやめてよ。恥ずかしいよ。」
そう美琴は言うが母をやめてくれないようだった。
「すみませんそろそろ帰ります。」
そろそろいい時間になったので、 僕は帰る。
「 未琴くん。」
「はい。」
帰る直前に呼び止められる。
「 美琴とこれからも仲良くして行ってくださいね。」
「はい 。では失礼します。」
「ふぅー。」
扉をしめた僕は軽くため息を吐く。
「・・・・・。」
扉の中で美琴と母親の会話が聞こえる。
しかしそれを聞くのはあまりにも失礼だろう 。僕はその場を後にした。
ガチャ
「ただいま。」
「 お帰りなさい悩みは解決しましたか。」
「はい。あの・・・・。ありがとうございます。」
僕は礼を言う。
「いいえ私は何もしていませんよ。」
「 いいえそれでもです。」
この人のおかげで僕は吹っ切れたのは事実だ。
「 にしても羨ましい悩みですね。」
次の言葉僕にとって予想外だった。
「 私恋なんていつからしていないのかしら。」
恋?
「どういうことですか?」
「私は未琴君が恋の悩みをしているのかと思っていました。」
僕には分からない恋って何だろう。 僕は恋した覚えがない。 でもこれは鯉の気持ちなんだろうか。
「 なぜ恋の悩みをしていると思ったんですが?」
こういう時は人に聞くのがいいと思う。 ことわざでもあるように 聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥って言うしね。
「 あなたの顔を見た時そう思っただけですよ。」
そういうのがあるんだ。
僕が納得いっていないのを感じたのか、
「では質問するので答えてください。」
ということで恋に関する質問が始まった。
「 では第1問 その相手の女の子にドキッとする瞬間はありましたか?」
「はい。」
あの夜の日の笑顔は 今でもずっと頭に残り続けている。
「 第2問 その子のことをよく考えますか?」
「はい。」
最近は特にずっと考えていた。
「 最後の問題です その子と一緒に居たいと思いますか?」
「はい。」
彼女が教えてくれる世界を見てみたい。
質問には全部はいだった。
「 それも恋ですよ。」
そうなのか僕は彼女に恋をしていたんだ 未琴は美琴に恋をしていたんだ。
いざそうなるとそうとしか思えなくなった。
「 ありがとうございます。 あの今更なんですけど 名前何でしたっけ?」
すると彼女ははぁーと息を吐く。
「覚えてなかったのですか。」
「すいません。人の名前覚えるの苦手で。」
これも僕のわるい癖だ。
「私は佐藤美智子です。」
「今度は忘れません。」
佐藤美智子佐藤美智子佐藤美智子。
頭で三回呟く。
「さて、私は一度博士の研究室に戻ります。何か用件はありますか?」
「いえ、特には。」
「分かりました。」
ガチャン
佐藤美智子さんは行ってしまった。
プルルルルッ
電話がなった。
ピッ
「もしもし。」
「未琴か俺だ。」
電話は僕の父親からだった久しぶりに声を聞いたが元気な声をしていた。
「どうしたの?」
「あぁ、実はな。」
「博士、緊急事態です。」
電話の後ろでざわざわしている声がしている。
「悪い。かけ直す。」
ピッ
「なんか大変そうだな。」
しかしこの電話の内容を聞かなかったことに僕は後悔をした。
後日談
2週間後美琴は退院した。
話を聞くと体調の安定と美琴からの強い要請があったからだそうだ。
「美琴 退院おめでとう。」
僕たちは美琴の家に初めて行った美琴の家は、普通の一軒家だった。
「ありがとう。」
「 どうぞいらっしゃいました。皆さんゆっくりしていてください。」
「 お母さん来なくてもいいから。」
そして僕達は美琴の部屋に案内された。
部屋の中にはでっかいテレビにベッドがあった。
「 テレビでかいな。」
「ベッドなんて羨ましいわ。」
ただこのベッドとテレビの大きさが両親が美琴に対する悲しさだと考えると僕は何も言えなかった。
「何かしますか?」
「 大丈夫なの? 退院したばっかりなんだからゆっくりしましょうよ。」
少し心配されている。
「大丈夫よ。それよりトランプでもする?」
僕はあの日のゲームを思い出した。
「何をやる?」
結局トランプを楽しんでババ抜きや大富豪をした。
美琴はポーカーフェイスがとてもうまい。その代わり、楓がとても苦手だった。
あっという間に時間が進み帰る時間になった。
「だいぶ長いしてしまったわ。」
「帰るか。」
プルルルルル
電話がなった。
「もしもし。」
「未琴さん。」
父親だと思って出た相手は佐藤美智子さんだった。
「どうかしましたか。」
僕はとても不安になった美智子さんは姉さんのお世話係。 姉さんに何かあったのだろうか。
「急いで帰ってきてもらえませんか。」
「分かりました。」
電話先から焦っている感じがした。
「どうかしましたか?」
美琴が訪ねてくる。
「 なんかわからないけど早く帰って来いって言われてるから帰るわ。」
僕は足早に家を出た。
ガチャ
家に帰ると目の前には美智子さんが知らない肌の焼けた女の人を拘束していた。
「えっとー。」
正直扉を閉めて美琴の家に戻りたい気分だった。
しかし自分の家で起こってる出来事なので僕は勇気を出して家の中に入る、
「何をしてるんですか。」 
まずは状況確認が先である。
「未琴さんお見苦しいところ見せてすいませんこの女の人が家に上がり込んできたので、捕らえておりました。」
とても大変な事態だった。
「 君は誰?」
「みっきゅんだよね覚えてないの?」
僕の頭の中に記憶はない。
「 私だよ 私 よく見て。」
「誰?」
「 ひどい。私だよ 鈴花だよ 笛餅鈴花。」
笛餅鈴花、笛餅鈴花・・・・・。
名前と僕の呼び方から記憶の隅にあるひとりの顔が浮かんだ。
しかしこれは正直外れていて欲しかった。
「もしかして鈴花!」
「やっと思い出したな。そうだよみっきゅん。」
笛餅鈴花
笛餅研究室という研究施設の室長笛餅造限の一人娘である。笛餅研究室は父が在籍している所でもありながら二人は高校の同級生同士なのだ。僕は昔よく鈴花と遊んでいた。
「ど・どうして。」
「とりあえずこの人どけて。」
僕は佐藤美智子さんに頼んで拘束を解いてもらうようにお願いする。
「分かりました。」
佐藤美智子さん・・・さすがに覚えた。
美智子さんはすぐに拘束を解いてくれた。
鈴花は「痛かったわ。」と言いながら腕をさすっている。
「で、どうして来たの?」
リビングに行き問う。
「あれ 聞いてないの?」
鈴花は疑問符を浮かべていた。
プルルルルル
電話がなった。
「もしもし。」
「未琴か俺だ。」
今回は父親だった。
「どうしたの?」
「 前回の続きだが 笛餅鈴花って覚えてるか?」
今まさに目の前にいる。
「うん。」
「実はな造限に頼まれてな。その子をしばらく家で預かることになったんだ。」
「えぇ!」
めちゃくちゃ驚いた。
「今日来ると思うから頼むな。」
「ちょっと待っ・・。」
プープープー
電話を切られた。
「あのくそ親父が。」
口が悪くなる。
「どうかしましたか?」
「 父親からの伝言で今日から鈴花を家で預かることになったって。」
本当に唐突過ぎる。
「よろしくね。」
はぁー最悪だ。
僕は彼女が苦手だ。最初から苦手だった。今となって、過去の記憶をどんどん思い出されていく。
「なんで戻ってきたの?」
鈴花は小学生の頃にはアメリカに行ったはず。
「お父さんが日本に戻って来て勉強しろって言うから仕方なく。」
「これからどうするのさ。」
正直嫌だが仕方ない。
僕は少し期待していた。もしかしたら成長したことによっておとなしい性格になっているのかもしれない。
小さい頃は元気で色んな所につれ回された。それがとてつもなく嫌だった。
「みっきゅんの学校に転校するの。」
「えっ。」
「よろしくね。」
マジかよ。
「みっきゅん。」
「何?」
「よろしくね。」
二回言われるととてもムカつく。
「・・・。」
僕が黙っていると、鈴花は顔を赤らめる。
照れるならするなよ!
そう思う僕だった。
翌日
学校に行くと、みんなが噂をしていた。
「はーい   みなさん。今日は転校生を紹介します。」
嫌な予感がした。
「入ってきて。」
「はーい。」
悪い予感ほど当たるらしく。
「自己紹介してください。」
「笛餅鈴花です。つい最近までアメリカで住んでいました。好きなことはお買い物です。みんな仲良くしてね。」
鈴花のキャラは演技の美琴そのままのキャラだ。とても注目を集めやすい。しかも、帰国子女なんてキャラの豪華セットだ。
「席は神城の隣で。」
ガタッ
音を出してしまう。
よりによって隣の席かよ。
「あっ。」
見つかった。
「みっきゅん!同じクラスだったんだね。」
「「「みっきゅん?」」」
とても恥ずかしい。みっきゅんなんて言わないでほしい。
「笛餅さん。神城君と知り合いなの?」
「はい。幼なじみです。」
クラス中でどよめきが起こる。
幼なじみじゃあねぇだろ。
結局おとなしくなったりはしてなさそうだった。
男子からは嫉妬の目線を浴びせられる。
僕は美琴の方を向く。
美琴は意味ありげな視線を僕に向けて放つ。どうやら救いの手はないようだ。
もう最悪だ!









    
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