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39.side 桐生臣音 8
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あの日以来、触れたくて堪らなかった彼の身体とその反応は、俺に新たな感情を根付かせた。
キスだけで足元も覚束ない状態になった秋山と一緒にシャワーを浴び、身体を洗うという名目でその身体に触れた。
敏感な身体はすぐに顕著な反応を見せ、可愛く恥じらいながらも快感に従順な秋山は普段とは全く違った顔を見せていた。
しかし、初めてだと言っていたあの日より明らかに行為に慣れた様子が窺える身体に、どす黒い感情が沸き上がってくる。
いやらしい身体だと揶揄しながら攻め立て、わざと焦らすことで俺が欲しいのだと言わせ、『樹』と名前で呼ぶことで上司と部下という関係より遥かに近い関係になったのだと主張した。
我ながら子供じみた真似をしたと思うが、初めて味わう感情に引き摺られ、自分の行動を止められなかったのだから仕方ない。
樹は最初俺が名前で呼んでいることに気付いていなかったようだが、こんな時まで部長呼ばわりしてくるアイツに名前で呼ぶよう促した後、既に名前で呼んでいることを教えたところ、少しだけ困ったような顔をしながらも『桐生さん』と呼んでくれたのだ。
俺的には『臣音』と呼んで欲しかったのだが、行きずりの男とセックスするような奔放な一面を見せても、根は真面目な樹には少々ハードルが高いのかもしれないと、呼び方を強要するような真似はしなかった。
淫らに誘う身体。
俺は何度もすぐに繋がりたい衝動に駆られながらも、あえてじっくり俺の痕跡を刻み付けていく作戦に出た。
さすがに相手が俺だと認識した上での関係なのであの日のように忘れられるということはないだろうが、より強く印象に残しておくことに越したことはない。
恥ずかしい格好で秘められた部分をさらけ出させ、言葉で攻めて快感を煽り、俺が欲しいとねだらせる。
かなり倒錯的な行動だと自覚しているが、樹もそうされることでより一層色気が増し、行為に夢中になっていったのだから嫌ではなかったのだろう。
俺にしてみても、やはり他の男の影が見え隠れするという状況は非常に面白くなく、胸に燻るものは消えないまでも、薄い膜越しに樹と繋がり、彼の中で果てることで今までにない高揚感を味わうことが出来た。
快感に翻弄され続けた樹は、行為が終わるなり半ば放心状態でベッドに身体を投げ出していた。
無防備な樹。
他の男もこの姿を見たのかもしれないと考えるだけで、このまま俺の思うがままに抱き潰し、誰にも見られないようこの部屋に繋いでおきたいと思ってしまう。
さすがにそんなアブナイ思考を実践する気はないが、俺が他の男とは違う存在で、樹にとって特別な位置にいるのだという確証と安心感が欲しかった。
だから。
「決まった相手がいないなら、時々こうして会わないか?」
この関係は一度きりのものではなく、これからも続けていきたいという意思を言葉で伝える。
しかし返ってきた樹の反応は、俺にとって予想外のものだった。
「……それってセフレってことですか?」
その言葉を聞いた瞬間。あまりに違い過ぎる樹との温度に、俺の中の何かが弾け、それ以上何も言えなくなってしまった。
あれから二年。
直属の上司とその部下という関係は解消されたものの、樹の気持ちも俺の中に燻り続ける気持ちが何なのかということもわからないまま、身体の関係は続いている。
キスだけで足元も覚束ない状態になった秋山と一緒にシャワーを浴び、身体を洗うという名目でその身体に触れた。
敏感な身体はすぐに顕著な反応を見せ、可愛く恥じらいながらも快感に従順な秋山は普段とは全く違った顔を見せていた。
しかし、初めてだと言っていたあの日より明らかに行為に慣れた様子が窺える身体に、どす黒い感情が沸き上がってくる。
いやらしい身体だと揶揄しながら攻め立て、わざと焦らすことで俺が欲しいのだと言わせ、『樹』と名前で呼ぶことで上司と部下という関係より遥かに近い関係になったのだと主張した。
我ながら子供じみた真似をしたと思うが、初めて味わう感情に引き摺られ、自分の行動を止められなかったのだから仕方ない。
樹は最初俺が名前で呼んでいることに気付いていなかったようだが、こんな時まで部長呼ばわりしてくるアイツに名前で呼ぶよう促した後、既に名前で呼んでいることを教えたところ、少しだけ困ったような顔をしながらも『桐生さん』と呼んでくれたのだ。
俺的には『臣音』と呼んで欲しかったのだが、行きずりの男とセックスするような奔放な一面を見せても、根は真面目な樹には少々ハードルが高いのかもしれないと、呼び方を強要するような真似はしなかった。
淫らに誘う身体。
俺は何度もすぐに繋がりたい衝動に駆られながらも、あえてじっくり俺の痕跡を刻み付けていく作戦に出た。
さすがに相手が俺だと認識した上での関係なのであの日のように忘れられるということはないだろうが、より強く印象に残しておくことに越したことはない。
恥ずかしい格好で秘められた部分をさらけ出させ、言葉で攻めて快感を煽り、俺が欲しいとねだらせる。
かなり倒錯的な行動だと自覚しているが、樹もそうされることでより一層色気が増し、行為に夢中になっていったのだから嫌ではなかったのだろう。
俺にしてみても、やはり他の男の影が見え隠れするという状況は非常に面白くなく、胸に燻るものは消えないまでも、薄い膜越しに樹と繋がり、彼の中で果てることで今までにない高揚感を味わうことが出来た。
快感に翻弄され続けた樹は、行為が終わるなり半ば放心状態でベッドに身体を投げ出していた。
無防備な樹。
他の男もこの姿を見たのかもしれないと考えるだけで、このまま俺の思うがままに抱き潰し、誰にも見られないようこの部屋に繋いでおきたいと思ってしまう。
さすがにそんなアブナイ思考を実践する気はないが、俺が他の男とは違う存在で、樹にとって特別な位置にいるのだという確証と安心感が欲しかった。
だから。
「決まった相手がいないなら、時々こうして会わないか?」
この関係は一度きりのものではなく、これからも続けていきたいという意思を言葉で伝える。
しかし返ってきた樹の反応は、俺にとって予想外のものだった。
「……それってセフレってことですか?」
その言葉を聞いた瞬間。あまりに違い過ぎる樹との温度に、俺の中の何かが弾け、それ以上何も言えなくなってしまった。
あれから二年。
直属の上司とその部下という関係は解消されたものの、樹の気持ちも俺の中に燻り続ける気持ちが何なのかということもわからないまま、身体の関係は続いている。
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