87 / 107
生徒会室の雑談
お気に入り1000件突破感謝SS『生徒会室の雑談』
しおりを挟む
【光希が最初に役員補佐になって一週間ほど経った時のお話です】
「ねぇねぇ。みっきぃ、これやろうよー」
放課後。役員補佐として生徒会で黙々と仕事をこなしていると、今までどこかに行っていて留守だった壱琉先輩が一枚の紙を持って戻ってきた。
いつも不思議なんだけど、壱琉先輩ってどこかに行ってて生徒会室にいないことも多いし、いてもこうやって遊んでるようにしか見えないのにちゃんと仕事してるんだもんな……。
面倒くさいとは思いつつも、そう言ってしまったら更に厄介なことになりそうな気がするので、ここは適当に答えて会話を終わらせるのが一番だと判断し、一旦手を止める。
「……なんですか?」
パソコン画面から視線を外し、壱琉先輩が手に持っている紙をチラリと見ると、そこには『あなたの本心がまるわかり!色でイメージする心理テスト』と書かれていた。
色の心理テストね……。そういえば前にクラスの女の子達とやってみたことがあったような。
確か茶色が嫌いな人。緑が友達。青が結婚相手で、紫がセックスしたい人。後はなんだっけ?
朧気な記憶を呼び起こしながら用紙に書かれている内容を見たところ。
……結果を知ってる色がひとつもなかった。
「じゃあこの色で連想する生徒会メンバーを言ってみて!
えーとまずは水色!」
水色ってことは青系だよな。ということは結婚相手か?
男同士で結婚相手って……。
「……壬生先輩で」
どことなく不毛なものを感じつつも、役員メンバーで俺的好感度がブッチギリな壬生先輩の名前を答えると。
「水色はねー、『差し障りのない人』。つまりは印象が薄いってことみたい。翔ちゃんは生徒会役員で一番影が薄いってことだね!」
「え!?」
予想とは全く違う結果を聞かされ驚かずにはいられない。
「じゃあ次は灰色!」
灰色……。これまた難しそうな色が……。
少しだけ悩んでいると、役員メンバー全員の視線が俺に集まっているのがわかった。
心なしか壬生先輩の表情が硬いのは、遊んでないで仕事しろってことかもしれない。
さっさと答えて終わりにしないと。
「朝比奈先輩で」
「オッケー。灰色は『何かと鼻に付く人』だって!」
あー、それ何となくわかる気が……。
朝比奈は胡散臭い笑顔を張り付けて余裕そうに見せてはいるが、眉毛がピクピク動いているところを見ると、ちょっとムカついてんだろうな。
「次、ピンク!」
これは色の印象的に壱琉先輩って感じがしないでもないけど。
「……佐伯先輩かな?」
普段からピンクオーラ垂れ流しだから。
「ピンクは『参考にはしたくない。格下だと思ってる相手』だって」
「ヒドイよ~。光希ちゃん」
佐伯が文句を言ってくるが、俺的には納得だ。
「後は僕と清ちゃんかぁ。じゃあ当てはまると思う色をこの中から選んでもらおうかな」
残っているのは、紺、黄緑、臙脂、オレンジというどれも微妙に結果が連想しづらい色だった。
この中だったら……。
「会長様は紺。壱琉先輩は……、黄緑?」
「紺は『苦手な人。頭が固くて融通がきかない人』だって!」
正直言って会長様は他に当てはまる色が無かっただけだけど、正しくピッタリ。
「壱琉先輩の黄緑は?」
「黄緑はね、『話が噛み合わない人』だって。えー。僕達こんなに仲良しなのにおかしいねぇ。この心理テストも案外あてになんないなぁ」
壱琉先輩は不満そうに口を尖らせているが、たぶんこの結果が一番合ってる気がする。
「そういった心理テストは色んな解釈があるようですし、その時の心理状態によって回答も変わるでしょうから、鵜呑みにする必要はないと思いますよ」
すかさず朝比奈がフォローしてくるが、俺には灰色に朝比奈を選んだことを根に持ってるようにしか思えない。
俺はというと。
とりあえず全員分答えて義務を果たしたのをいいことに、まだごちゃごちゃ何か言っている壱琉先輩の話をほぼ聞き流しながら仕事に集中することにした。
残りの二色の結果が何だったのか気にならないと言ったら嘘になるけどな……。
「ねぇねぇ。みっきぃ、これやろうよー」
放課後。役員補佐として生徒会で黙々と仕事をこなしていると、今までどこかに行っていて留守だった壱琉先輩が一枚の紙を持って戻ってきた。
いつも不思議なんだけど、壱琉先輩ってどこかに行ってて生徒会室にいないことも多いし、いてもこうやって遊んでるようにしか見えないのにちゃんと仕事してるんだもんな……。
面倒くさいとは思いつつも、そう言ってしまったら更に厄介なことになりそうな気がするので、ここは適当に答えて会話を終わらせるのが一番だと判断し、一旦手を止める。
「……なんですか?」
パソコン画面から視線を外し、壱琉先輩が手に持っている紙をチラリと見ると、そこには『あなたの本心がまるわかり!色でイメージする心理テスト』と書かれていた。
色の心理テストね……。そういえば前にクラスの女の子達とやってみたことがあったような。
確か茶色が嫌いな人。緑が友達。青が結婚相手で、紫がセックスしたい人。後はなんだっけ?
朧気な記憶を呼び起こしながら用紙に書かれている内容を見たところ。
……結果を知ってる色がひとつもなかった。
「じゃあこの色で連想する生徒会メンバーを言ってみて!
えーとまずは水色!」
水色ってことは青系だよな。ということは結婚相手か?
男同士で結婚相手って……。
「……壬生先輩で」
どことなく不毛なものを感じつつも、役員メンバーで俺的好感度がブッチギリな壬生先輩の名前を答えると。
「水色はねー、『差し障りのない人』。つまりは印象が薄いってことみたい。翔ちゃんは生徒会役員で一番影が薄いってことだね!」
「え!?」
予想とは全く違う結果を聞かされ驚かずにはいられない。
「じゃあ次は灰色!」
灰色……。これまた難しそうな色が……。
少しだけ悩んでいると、役員メンバー全員の視線が俺に集まっているのがわかった。
心なしか壬生先輩の表情が硬いのは、遊んでないで仕事しろってことかもしれない。
さっさと答えて終わりにしないと。
「朝比奈先輩で」
「オッケー。灰色は『何かと鼻に付く人』だって!」
あー、それ何となくわかる気が……。
朝比奈は胡散臭い笑顔を張り付けて余裕そうに見せてはいるが、眉毛がピクピク動いているところを見ると、ちょっとムカついてんだろうな。
「次、ピンク!」
これは色の印象的に壱琉先輩って感じがしないでもないけど。
「……佐伯先輩かな?」
普段からピンクオーラ垂れ流しだから。
「ピンクは『参考にはしたくない。格下だと思ってる相手』だって」
「ヒドイよ~。光希ちゃん」
佐伯が文句を言ってくるが、俺的には納得だ。
「後は僕と清ちゃんかぁ。じゃあ当てはまると思う色をこの中から選んでもらおうかな」
残っているのは、紺、黄緑、臙脂、オレンジというどれも微妙に結果が連想しづらい色だった。
この中だったら……。
「会長様は紺。壱琉先輩は……、黄緑?」
「紺は『苦手な人。頭が固くて融通がきかない人』だって!」
正直言って会長様は他に当てはまる色が無かっただけだけど、正しくピッタリ。
「壱琉先輩の黄緑は?」
「黄緑はね、『話が噛み合わない人』だって。えー。僕達こんなに仲良しなのにおかしいねぇ。この心理テストも案外あてになんないなぁ」
壱琉先輩は不満そうに口を尖らせているが、たぶんこの結果が一番合ってる気がする。
「そういった心理テストは色んな解釈があるようですし、その時の心理状態によって回答も変わるでしょうから、鵜呑みにする必要はないと思いますよ」
すかさず朝比奈がフォローしてくるが、俺には灰色に朝比奈を選んだことを根に持ってるようにしか思えない。
俺はというと。
とりあえず全員分答えて義務を果たしたのをいいことに、まだごちゃごちゃ何か言っている壱琉先輩の話をほぼ聞き流しながら仕事に集中することにした。
残りの二色の結果が何だったのか気にならないと言ったら嘘になるけどな……。
18
お気に入りに追加
1,680
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
BlueRose
雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会
しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。
その直紘には色々なウワサがあり…?
アンチ王道気味です。
加筆&修正しました。
話思いついたら追加します。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ある日、人気俳優の弟になりました。2
ユヅノキ ユキ
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる