最強で無双するっ!と思ってたら無双する主人公の侍女になりました…

芹澤©️

文字の大きさ
上 下
23 / 34

学園まで

しおりを挟む


誕生日パーティーも終わり、あっという間に学園に行く日がやってきた。

フェンのことは公然の秘密だけれど、私がフェンリルと契約したのは秘密なので、瞬間移動が使えないのが悔やまれる。まあ、まだ亜空間を開いたことはないんだけれど。

今日まで準備を重ね、散々親子水入らずで過ごしたんだけれど、奥様は離れがたいよう。さっきからぎゅうぎゅうと坊ちゃんを抱きしめている。

「母さん、苦しいって」

「良いですか。何事も程々に。魔法の威力はおさえて、人様に怪我を負わせないようにね」

「心配事はそこ?」

「あはは、そこ以外はテオンは心配いらないってことだね」

「エイル様、それはフォローではないのでは?」

あはは!じゃないんですよ、エイル様。

「エイルがまだ学園にいてくれたら良かったんだけれど、早期卒業してしまうのは仕方ないこと。くれぐれも怪我を負わさないでちょうだいね…」

「大丈夫です、私が付いておりますので」

「それが心配なのよ」

「なんと!後処理は自信がありますのに」

「後処理よりも事前回避!」

「かしこまりました」

「全くもう…」なんて溜め息をつかれたのは心外ですよ、奥様。

「テオン。くれぐれも家名に甘えることなく、精進してこい。……程々に」

「父さんまで……」

とか言いながら寂しそうな御館様。坊ちゃんは規格外でもまだ子供だもんね。親としては心配な筈。

「大丈夫、ちゃんと魔法の制御を学んで帰ってくるよ!安心してね、父さん、母さん、兄さんも」

「僕は心配はしてないよ。レナもフェンも一緒だしね。たまには手紙を出して欲しいな」

「はい!必ず出します!」

そうして、私達は意気揚々と馬車へ乗り込んだ。後ろには騎馬の護衛数名と、に馬車が一台の大移動だ。

「エイル様が早期卒業?!そんな……」

「学園にいた時に聞かなかったの?」

「学年が離れていたので中々お会い出来ず……」

「兄さんは優秀だから当然だけどね」

馬車の中には坊ちゃんと私。そして、エリザベス嬢も一緒だ。フェンはとりあえず馬車の外を走っている。
どうせ同じ場所へ行くのだから、警護もしやすいという理由で、エリザベス嬢は昨日から城に泊まっていたのだけれど……

「エイル様がいるいない関係なく、学園では勝負ですよ、エリザベス嬢」

「なんであなたが一緒に乗ってるのよ……と言いたいけれど、良いわ!テストでは覚悟なさい!」

「飽きないね~2人とも」

「テオンは黙ってて!」

「嫌だよ。馬車の中は狭いんだから、もっと楽しく凄そうよ」

「道のりは長いですしね。カードゲームでもしますか?」

「良いわね!」

そうして、私達は坊ちゃんが開発したトランプをしたり、おやつを食べたり、野宿したりと王都への道のりを我慢強く過ごした。
途中、魔物避けがあるとはいえ、魔物の群れを予め狩ったりと私的には順調な度だった。

途中の大きめな街へ寄れば、冒険者ギルドへ寄り狩った魔物を換金する。たまに討伐依頼が出ている魔物だったりすると料金が上がるので、正直楽しくて仕方なかった。
将来は馬車で旅する冒険者になろうか?

『テオンの侍女ってやっぱり変』

換金する度にエリザベス嬢から頂くお言葉もむしろ褒め言葉になってきた。


このまま私だけが得をする旅になるかと思いきや、そこは坊ちゃんの旅路。
王都へ入ろうかという境界の森の奥で事件は起きた。

なんだか魔力がざわついていたので、護衛を先に行かせると、荷場所が盗賊に襲われているとのこと。
これは迂回も出来るけれど

「坊ちゃんどうしますか?」

「聞くまでもないでしょ?助けるよ!」

おお、その気概やよし!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最強パーティーのリーダーは一般人の僕

薄明
ファンタジー
ダンジョン配信者。 それは、世界に突如現れたダンジョンの中にいる凶悪なモンスターと戦う様子や攻略する様子などを生配信する探索者達のことだ。 死と隣り合わせで、危険が危ないダンジョンだが、モンスターを倒すことで手に入る品々は、難しいダンジョンに潜れば潜るほど珍しいものが手に入る。 そんな配信者に憧れを持った、三神《みかみ》詩音《しおん》は、幼なじみと共に、世界に名を轟かせることが夢だった。 だが、自分だけは戦闘能力において足でまとい……いや、そもそも探索者に向いていなかった。 はっきりと自分と幼なじみ達との実力差が現れていた。 「僕は向いてないみたいだから、ダンジョン配信は辞めて、個人で好きに演奏配信とかするよ。僕の代わりに頑張って……」 そうみんなに告げるが、みんなは笑った。 「シオンが弱いからって、なんで仲間はずれにしないといけないんだ?」 「そうですよ!私たちがシオンさんの分まで頑張ればいいだけじゃないですか!」 「シオンがいないと僕達も寂しいよ」 「しっかりしなさいシオン。みんなの夢なんだから、諦めるなんて言わないで」 「みんな………ありがとう!!」 泣きながら何度も感謝の言葉を伝える。 「よしっ、じゃあお前リーダーな」 「はっ?」 感動からつかの間、パーティーのリーダーになった詩音。 あれよあれよという間に、強すぎる幼なじみ達の手により、高校生にして世界トップクラスの探索者パーティーと呼ばれるようになったのだった。 初めまして。薄明です。 読み専でしたが、書くことに挑戦してみようと思いました。 よろしくお願いします🙏

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

処理中です...