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坊ちゃんと私の日常(の筈)
しおりを挟む「これは……」
黒の森に駆け付けた私達が見た光景をどう表現したら良いものか。
入り口には誰もいず、少しばかり奥へ行くと人々の悲鳴が聞こえた。聞こえた場所へ急いで行くと、そこには
「「キングスライム……」」
「え?」
「いえ!巨大なスライムですね…」
おっと危なかった。坊ちゃんには私が転生者だとは教えていない。教えて変に意気投合したら困るからだ。しかし、これはゲームのスライムそのもの…
「皆飲み込まれてる…」
「おかしいですね、春先とはいえまだ活発になる時期じゃないんですけど」
「呑気なこと言ってないで、退治しないと!」
「分かっていますよ。しかしやみくもに行ってもなかの人が危ないですし……さて、坊ちゃん。スライムの倒し方は?」
「えぇ?!ここで授業??えーと、スライムは物理耐性が強く、魔法で表面に穴を開け、中のコアを砕く」
「はい上出来ですね。ではやっちゃいましょう」
「え?」
「え?」
「「………?」」
何を惚けてるんですかこの坊ちゃんは??
「いやいや、ただのスライムならまだしも、こんな規格外のスライムを僕に投げないでよ?!」
何を素っ頓狂ことを言ってるんでしょうねこの規格外坊ちゃんは??
「折角先程の魔力練りが上手くいったんですし、試したくないんですか?」
「試したいけど、また暴発したら…」
「大丈夫ですよ、坊ちゃんならちゃんと出来ます」
「中に人が……」
仕方ないですねぇ……
私は護身用のダガーを太腿から取り出す。坊ちゃんが「ちょっ、何やって」とか騒いでるけど無視無視。
刃に魔力を集中させると、ほらこの通り。
魔装剣の出来上がり!
「坊ちゃんは魔力を集中させて下さい」
脚にも魔力を集中させて、キングスライムめがけて跳ぶ。
狙い通り魔装剣はよく切れる。
人の入った部分だけ我ながら器用に切り取っていく。切り取られたスライムの破片は、人を残して水のように溶けている。
変なうめき声と共に、巨大なスライムは核を残して無残な姿へと変貌した……
「核しか残ってないじゃん?!」
「申し訳ございません!興が乗ってしまいっ」
「レナはいっつもそう!」
なんと失礼な?!坊ちゃんよりはやらかしてないのに!
「坊ちゃんは気にせず、とどめを刺して下さい!良いですか?核を破壊するのです!」
「ええ……ここまで来たらレナがやれば良いのに…」
「お早く!復元してしまいますよ?!」
何やらぶつぶつ言う坊ちゃんを叱咤する。
全く、いいところを譲ってるというのに!
坊ちゃんは魔力を練り上げたと思ったら、盛大に両手を前へ突き出した。
え?待った。この感じ、まさか??
「はーーーーーー!!!」
ちょっと坊ちゃん?!
それ炎魔法でしょうがーーーー?!
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