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坊ちゃんと私の日常(?)
しおりを挟む事件発生にわくわくするなんて私ったら、すっかり無双系坊ちゃんに毒されてる?
無双系主人公たる人生を辿ってるんだもの、降りかかる火の粉をそれなりに振り払いながら立派に育って頂かないと。
さて、この冒険者風の男。
吉と出るか凶と出るか……
「どうされました?」
一応坊ちゃんを背にして近付く男を制する。
「魔物が!俺の仲間が!」
「大変だ、早く知らせないと!」
やたら純粋ない坊ちゃんらしい……
「入り口の警備兵はどうしました」
黒の森付近には何ヵ所か騎士団の預かりの警備兵が常駐している。
何が起こってもおかしくない為、ギルド職員もいる筈だけれど?
「魔物を狩る為に中へっ!」
「伝令は?」
「分からねぇ!無我夢中で…」
ふむ。普通はギルド職員が伝令に走る筈。けれどこれは事実か罠か……まあ、行ってみたら分かるでしょう!
「分かりました。坊ちゃんは城へと言ってもお1人で返す訳にもいきません。伝令を飛ばしますね」
私は風魔法で鷹を模した魔力の塊へ『黒の森 至急 増援』と言葉を添えて飛ばす。比較的初歩の伝令魔法だ。
「さ!坊ちゃん。行きましょうか!」
「さ!じゃないよね?ここは僕を城へ送り届けて、守るのが普通だよね?!」
「だって私が行った方が早いんですもん」
「否定はしない!」
ここは領内最強の私が向かうべき案件。
剣なら騎士団長だけど、魔法ならまだまだ坊ちゃんよりは強い筈。
「あなたは見たところ怪我はないけど、一応身分証を預かります」
「え?はい?どうぞ…」
あれ?素直に渡してくれた。てっきり坊ちゃんの才能を聞きつけ、他領の貴族が誘拐にでも来たと思ったのに?勘違い?
まあ良い。行けば分かるんだし。
「さ、行きましょう坊ちゃん!あなたは冒険者ギルドへ向かって下さい」
「はい!」
「うちの侍女が血気盛んで困る……」
「何をおっしゃるんですか、行きますよ!」
「はいはい」
私はやる気のない坊ちゃんと共に、黒の森へと駆け出した。
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