13 / 56
第一幕・擬態者の核を砕け
ロリコン疑惑のフォルネウス
しおりを挟む
「そうだ……もう遅いだろうし家に来ないか?」
「って何堂々と誘拐しようとしてるの!?フォルネウスさん!?」
「熟女は黙ってろ」
双子の獣人に危機が迫っていると感じた体力不足で黄緑の髪を持つ女騎士、エリスは二人を守るかのようにして話の間に入り、一見危ない青髪のフォルネウスを止める。
しかし、間に入られた事からか声色を変え、まるで激怒でもしているかの如く低い声で、そしてエリスを睨みその言葉を放った。
勿論、騎士たるもの、そんな脅しまがいの物には決して屈することはなく。
「おいこら、ロリコン。セクハラで捕まりたい?って私は十八歳だっての!」
「十五歳超えたら熟女だろ」
「よし、捕まりたいってことでちょっと手を出してくれるかな?」
「ふん、熟女に捕まってたまるか!ましてやあの男になんて反吐が出る」
どちらも引く気はなく口論が始まってしまった。
セクハラで捕まえようにもフォルネウスはゼウス以外からは捕まることがない程素早く、たとえ捕まえても何故か拘束を解いてしまう。それを経験しているからこそ、余計な事はせず口論になっているという訳だ。
だが、彼女には秘策がある。それはこの口論から抜け出すことも彼を捕まえることも出来る秘策。
その秘策は“もう既に始まっていた”
「おらおらぁぁぁ!」
突如、街中からとてつもなく威勢の良い大きな声が響き渡る。勿論その場にいるエリス、フォルネウス、双子のハティ、スコルも知るあの筋肉が付きまくりガッチリとした身体の男、ゼウスの声だ。
聞こえてから僅か一分程で彼女達の前に土埃と共に現れるが、それだけの体力を使い息を荒らげていないのは謎に充ちている。
「フォルネウス!またお前か!」
「俺はそこのじゅーー」
「ゼウス先輩!早く捕まえてください!その人セクハラと誘拐の罪があります!」
「おいまて、誘拐はしてないぞ」
「セクハラは認めるんだな!?」
またもフォルネウスが熟女と言おうとするが、それを隠すかのように女騎士がフォルネウスが犯そうとしていた罪を言葉にして吐き捨てると、青髪の男は過ちを犯してしまい、すぐさまゼウスに拘束されて再び取調べ……いや、彼の場合留置所に連れてかれるのだった。
「な、なんか凄かった~」
「大変なんですね……エリスさんもゼウスさんも……それにしても何故ゼウスさんはここに来たんですか?」
「あ~気になるそれ~」
秘策があってこそゼウスをここに来させ、フォルネウスを捕まえることはできたものの、ハティ達は勿論その秘策は知ることは無い。
しかし、エリスが即座に思いついた秘策はとても簡単なものだ。
「ここからあそこの“見張り台にゼウス先輩を見つけた”からね、こんな所で喧嘩してたら来るだろうなって思ってたの」
と城の近くにある……いや、城の一部に過ぎないであろう辺りを見渡すために作られた見張り台を指さして言うが、街の入口からそこまではかなりの距離がある。ざっと十キロ程。しかしハティ、スコルには見張り台の上に誰かいるとわかっても、人物を特定できる程視力はない。
普通の人ならば尚更見張り台の上に誰かいることを捉えることはできないだろう。
だがエリスはそれを可能にしてみせていた。
元々彼女は人並外れた視力の持ち主、例え二十キロ程距離が離れていようともその先にあるものを見ることができるのだ。
「さてと、それじゃあハティさん達の家に向かおう!」
「は、はい」
体力不足のエリスにも凄い取り柄がある事を実感し言葉を失っていたが、当初の目的であるミズガルズの家への引越しを果たすべく先頭を歩くエリスについて行く。
街のことなどを聞かされつつ数分もの時が経った頃、ようやく双子の新しい住宅へたどり着いた。
「ここがハティさん達の家だよ、って結構大きいなぁ……」
目の前に存在するハティ達の家は周囲にある人の家の二倍はあり、双子の彼女達じゃ手に余るほど、いやその場にいる三人がそこに住んでも余ってしまう程大きく、されども豪邸という雰囲気はない家だった。
「まぁ、暮らすだけじゃ物足りませんから……何かできるようにと色々考えた結果、大きめな家にしたんです」
「なるほどね……あ、魔法結構使うだろうから……とりあえずこれ、基礎魔法一覧。この一覧以外の魔法はこの街じゃ使えないから注意してね」
と、彼女達の為にかいつも持ち歩いている基礎魔法が書かれたメモ帳を渡す。
パラッと見れば〈火〉、〈水〉、〈風〉など、日常生活用に調整された魔法の詠唱文がずらりと書かれていた。
それに、彼女が書いた字が読みやすい程に綺麗で魔導書と違い古代の文ではない。だからこそなのか魔法を唱えることが出来るハティは、それをありがたく受け取りエリスに別れを告げて家の中へと、入るのだった。
「って何堂々と誘拐しようとしてるの!?フォルネウスさん!?」
「熟女は黙ってろ」
双子の獣人に危機が迫っていると感じた体力不足で黄緑の髪を持つ女騎士、エリスは二人を守るかのようにして話の間に入り、一見危ない青髪のフォルネウスを止める。
しかし、間に入られた事からか声色を変え、まるで激怒でもしているかの如く低い声で、そしてエリスを睨みその言葉を放った。
勿論、騎士たるもの、そんな脅しまがいの物には決して屈することはなく。
「おいこら、ロリコン。セクハラで捕まりたい?って私は十八歳だっての!」
「十五歳超えたら熟女だろ」
「よし、捕まりたいってことでちょっと手を出してくれるかな?」
「ふん、熟女に捕まってたまるか!ましてやあの男になんて反吐が出る」
どちらも引く気はなく口論が始まってしまった。
セクハラで捕まえようにもフォルネウスはゼウス以外からは捕まることがない程素早く、たとえ捕まえても何故か拘束を解いてしまう。それを経験しているからこそ、余計な事はせず口論になっているという訳だ。
だが、彼女には秘策がある。それはこの口論から抜け出すことも彼を捕まえることも出来る秘策。
その秘策は“もう既に始まっていた”
「おらおらぁぁぁ!」
突如、街中からとてつもなく威勢の良い大きな声が響き渡る。勿論その場にいるエリス、フォルネウス、双子のハティ、スコルも知るあの筋肉が付きまくりガッチリとした身体の男、ゼウスの声だ。
聞こえてから僅か一分程で彼女達の前に土埃と共に現れるが、それだけの体力を使い息を荒らげていないのは謎に充ちている。
「フォルネウス!またお前か!」
「俺はそこのじゅーー」
「ゼウス先輩!早く捕まえてください!その人セクハラと誘拐の罪があります!」
「おいまて、誘拐はしてないぞ」
「セクハラは認めるんだな!?」
またもフォルネウスが熟女と言おうとするが、それを隠すかのように女騎士がフォルネウスが犯そうとしていた罪を言葉にして吐き捨てると、青髪の男は過ちを犯してしまい、すぐさまゼウスに拘束されて再び取調べ……いや、彼の場合留置所に連れてかれるのだった。
「な、なんか凄かった~」
「大変なんですね……エリスさんもゼウスさんも……それにしても何故ゼウスさんはここに来たんですか?」
「あ~気になるそれ~」
秘策があってこそゼウスをここに来させ、フォルネウスを捕まえることはできたものの、ハティ達は勿論その秘策は知ることは無い。
しかし、エリスが即座に思いついた秘策はとても簡単なものだ。
「ここからあそこの“見張り台にゼウス先輩を見つけた”からね、こんな所で喧嘩してたら来るだろうなって思ってたの」
と城の近くにある……いや、城の一部に過ぎないであろう辺りを見渡すために作られた見張り台を指さして言うが、街の入口からそこまではかなりの距離がある。ざっと十キロ程。しかしハティ、スコルには見張り台の上に誰かいるとわかっても、人物を特定できる程視力はない。
普通の人ならば尚更見張り台の上に誰かいることを捉えることはできないだろう。
だがエリスはそれを可能にしてみせていた。
元々彼女は人並外れた視力の持ち主、例え二十キロ程距離が離れていようともその先にあるものを見ることができるのだ。
「さてと、それじゃあハティさん達の家に向かおう!」
「は、はい」
体力不足のエリスにも凄い取り柄がある事を実感し言葉を失っていたが、当初の目的であるミズガルズの家への引越しを果たすべく先頭を歩くエリスについて行く。
街のことなどを聞かされつつ数分もの時が経った頃、ようやく双子の新しい住宅へたどり着いた。
「ここがハティさん達の家だよ、って結構大きいなぁ……」
目の前に存在するハティ達の家は周囲にある人の家の二倍はあり、双子の彼女達じゃ手に余るほど、いやその場にいる三人がそこに住んでも余ってしまう程大きく、されども豪邸という雰囲気はない家だった。
「まぁ、暮らすだけじゃ物足りませんから……何かできるようにと色々考えた結果、大きめな家にしたんです」
「なるほどね……あ、魔法結構使うだろうから……とりあえずこれ、基礎魔法一覧。この一覧以外の魔法はこの街じゃ使えないから注意してね」
と、彼女達の為にかいつも持ち歩いている基礎魔法が書かれたメモ帳を渡す。
パラッと見れば〈火〉、〈水〉、〈風〉など、日常生活用に調整された魔法の詠唱文がずらりと書かれていた。
それに、彼女が書いた字が読みやすい程に綺麗で魔導書と違い古代の文ではない。だからこそなのか魔法を唱えることが出来るハティは、それをありがたく受け取りエリスに別れを告げて家の中へと、入るのだった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
悪魔との100日ー淫獄の果てにー
blueblack
恋愛
―人体実験をしている製薬会社― とある会社を調べていた朝宮蛍は、証拠を掴もうと研究施設に侵入を試み、捕まり、悪魔と呼ばれる女性からのレズ拷問を受ける。 身も凍るような性調教に耐え続ける蛍を待ち受けるのは、どんな運命か。
さくらと遥香
youmery
恋愛
国民的な人気を誇る女性アイドルグループの4期生として活動する、さくらと遥香(=かっきー)。
さくら視点で描かれる、かっきーとの百合恋愛ストーリーです。
◆あらすじ
さくらと遥香は、同じアイドルグループで活動する同期の2人。
さくらは"さくちゃん"、
遥香は名字にちなんで"かっきー"の愛称でメンバーやファンから愛されている。
同期の中で、加入当時から選抜メンバーに選ばれ続けているのはさくらと遥香だけ。
ときに"4期生のダブルエース"とも呼ばれる2人は、お互いに支え合いながら数々の試練を乗り越えてきた。
同期、仲間、戦友、コンビ。
2人の関係を表すにはどんな言葉がふさわしいか。それは2人にしか分からない。
そんな2人の関係に大きな変化が訪れたのは2022年2月、46時間の生配信番組の最中。
イラストを描くのが得意な遥香は、生配信中にメンバー全員の似顔絵を描き上げる企画に挑戦していた。
配信スタジオの一角を使って、休む間も惜しんで似顔絵を描き続ける遥香。
さくらは、眠そうな顔で頑張る遥香の姿を心配そうに見つめていた。
2日目の配信が終わった夜、さくらが遥香の様子を見に行くと誰もいないスタジオで2人きりに。
遥香の力になりたいさくらは、
「私に出来ることがあればなんでも言ってほしい」
と申し出る。
そこで、遥香から目をつむるように言われて待っていると、さくらは唇に柔らかい感触を感じて…
◆章構成と主な展開
・46時間TV編[完結]
(初キス、告白、両想い)
・付き合い始めた2人編[完結]
(交際スタート、グループ内での距離感の変化)
・かっきー1st写真集編[完結]
(少し大人なキス、肌と肌の触れ合い)
・お泊まり温泉旅行編[完結]
(お風呂、もう少し大人な関係へ)
・かっきー2回目のセンター編[完結]
(かっきーの誕生日お祝い)
・飛鳥さん卒コン編[完結]
(大好きな先輩に2人の関係を伝える)
・さくら1st写真集編[完結]
(お風呂で♡♡)
・Wセンター編[不定期更新中]
※女の子同士のキスやハグといった百合要素があります。抵抗のない方だけお楽しみください。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる