異世界でコンビニ経営したらなんか騎士様やら魔物やらも買い物にきた！？

第五十九話：オークさんが雑誌を買いに来た

今日もまた賑やかなコンビニ。常連の騎士様や魔物たちがそれぞれのペースで買い物をしている中、店の扉が開くと、ガラガラと大きな音とともに現れたのは――

「お、いらっしゃいませ！」思わず声をかけたのは、力強い体格とゴツゴツした顔立ちが特徴のオークさん。

「うぉっ、またお前か。」オークさんは重い足取りで店内に入ってきたが、顔には少し恥ずかしそうな表情が浮かんでいた。「ちょっと、雑誌を買いに来ただけだ。」

「あ、雑誌ですね。」私はその様子に少し驚きながらも、棚の方を案内した。「最近、オークさん、雑誌にハマっているんですか？」

「いや、そういうわけじゃないんだ。」オークさんは照れくさそうに言った。「ただ、ちょっと気になる特集があってな…」

「気になる特集？」私は興味津々で聞き返した。「どんな特集ですか？」

「いや、その、最近流行りの『料理特集』だ。」オークさんは一瞬、目をそらしながら言った。

「料理特集ですか？」私は驚きながらも、棚から料理関係の雑誌を取り出した。「これですね！『魔界のレシピ大特集』。オークさん、料理に興味があるんですね！」

「いや、まあ、興味がないわけじゃない。」オークさんはあくまで照れくさい様子で、手に取った雑誌をパラパラとめくりながら言った。「最近、ちょっとだけ、料理に挑戦してみようかなと思ってな。」

「へぇ、オークさんが料理に挑戦ですか！」私は笑顔で答えた。「それはすごいですね！何か作りたい料理でもあるんですか？」

「うーん、そうだな…」オークさんはしばらく考え込んでから、ようやく口を開いた。「『肉』を使った料理、かな。」

「肉ですね！」私はにこやかに言った。「さすがオークさん、肉料理ならお手の物ですよね。」

「そ、そうだな。」オークさんは少し恥ずかしそうに肩をすくめた。「でも、ちょっとレシピに困ってな。この雑誌に載ってるレシピは、俺みたいなオークでも作れるような簡単なものだろうか？」

「もちろんです！これなんか、簡単に作れる『魔界のステーキ』レシピが載ってますよ。」私は雑誌を開いて指さした。「このレシピ、オークさんにぴったりです。多分、すごく美味しく作れると思いますよ！」

オークさんはそのページをじっくりと見つめ、しばらく無言で考えていた。どうやら、料理の腕に少し不安があるようだ。

「よし、これに決めた。」オークさんは決意を固めた様子で言った。「俺、このレシピを作ってみるぞ。」

「頑張ってくださいね！」私は心から応援する気持ちで微笑んだ。「でも、あまり無理しないでくださいね。料理は楽しくやるのが一番ですよ。」

「わかってるさ。」オークさんは少し照れくさく笑った。「でも、今度、俺が作った料理、君にも食べさせてやるよ。」

「あ、楽しみにしてます！」私はその言葉を聞いて、思わず顔がほころんだ。「オークさんの料理、絶対美味しいに決まってます！」

「じゃあ、これで。」オークさんは雑誌を手に取り、代金を払うために財布を取り出した。「また今度な。」

「またお待ちしてますね！」私は元気よく声をかけると、オークさんは満足そうに雑誌を手に店を後にした。

オークさんの料理に対する情熱が、少し意外だけどとても嬉しい出来事だった。次に会うときには、彼がどんな料理を作ったのか、楽しみで仕方がない。

そして、私は次にどんなお客様が来店するのかを楽しみにしながら、店内の整理を続けた。