駅の果てで

216話「輝石の湖」

霧牙の森を無事に抜けた聡たちは、その先に広がる美しい湖の風景に言葉を失った。その湖は「輝石の湖」と呼ばれ、日光に照らされて湖面が無数の宝石のようにきらめき、幻想的な雰囲気を醸し出していた。湖を見た瞬間、聡たちは疲れも忘れてその美しさに見入っていた。

「ここが輝石の湖か…まるで夢の中にいるみたいだな。」聡が感嘆の声を漏らすと、ノアも興奮気味に頷いた。「この湖には何か特別な力が宿っているって噂があるんだ。もしかしたら、七宝に繋がる手がかりがあるかもしれない！」

聡はその言葉に頷き、湖の周りを歩きながら手がかりを探すことにした。しばらくして、湖の奥に小さな祠のようなものがあるのを発見する。その祠は苔に覆われ、長い年月を感じさせる佇まいだった。

「この祠、何かを守っているように見えるな。」ユウキが不思議そうに祠を覗き込みながら言う。

祠の中を確認すると、そこには一枚の古びた石板が置かれていた。聡がそれを手に取ると、石板には謎めいた文字と、七宝に関するような記号が刻まれている。ノアがその文字を慎重に読み解き始め、やがて驚いた表情を浮かべた。

「ここには七宝にまつわる伝説の続きが記されているみたいだよ。『湖の精霊に心を捧げよ。そうすれば、七宝の次なる導きが得られるだろう』と書かれている。」

「湖の精霊か…一体どうやって心を捧げるんだろう？」リリアが少し困惑気味に呟く。

聡は考え込みながらも、湖のほとりに立ち、そっと手を湖面にかざしてみる。湖の水面がわずかに揺れ、柔らかな光が聡の手元を包み込んだ。すると、湖の奥から静かに現れたのは、透き通るような青い姿をした湖の精霊だった。

「私の元へ来た者たちよ。何ゆえ、この地を訪れしや？」精霊の静かな声が、湖の上を漂うように響く。

聡は深く息を吸い込み、七宝の秘密を探るためにここまで来たことを説明した。そして、自分たちが歩んできた道や、多くの仲間と共に得た絆についても語る。その言葉に、湖の精霊はしばし沈黙し、やがて優雅に頷いた。

「汝らの心、確かに受け取った。次なる導きを授けよう。」

精霊はその場で輝きを放ち、湖面に七宝の象徴が浮かび上がる。湖の奥深くに眠っていたものが呼び覚まされたかのように、聡たちの前に新たな道標が示されたのだった。

「これが、次の七宝への道…！」聡はその輝きを見つめながら、さらに強い決意を胸に秘めた。

再び旅路へと向かう彼らの足取りは、どこか誇らしげで、未来への期待に満ちていた。