駅の果てで

182話: マールス帝国への接近

嵐が過ぎ去り、荒れていた海は徐々に穏やかな水面へと変わっていった。聡たちを乗せた船もようやく揺れが落ち着き、乗組員たちは一様に安堵の表情を浮かべる。嵐の中で聞いた機神ワルキュリスの伝説が、船内で今も鮮やかに彼らの胸に残っていた。

ユウキが甲板で遠くの水平線を眺めながら、静かに口を開いた。「ワルキュリスか…。もしかしたら、あの伝説には俺たちが必要としている何かが隠されているのかもしれないな。」

ノアがそれに頷き、「確かに…機神の伝説と七宝の関わりも気になる。もしかすると、ワルキュリスもどこかで我々を待っているのかもしれないね」と言葉を添えた。

聡は仲間たちと一緒に、これまでの旅を振り返りながら、彼らが得た多くの知識と経験が一つ一つ積み重なっていることを感じていた。そして、七宝のツクヨミを探し求めている現在も、ワルキュリスの伝説がどこかで道を繋いでいくのではないかという直感が心の奥に湧き上がってきていた。

マールス帝国への到着

やがて、船はマールス帝国の付近に差し掛かると、遠くにぼんやりと帝国の影が見え始めた。船長が甲板に立ち、聡たちに向かって声をかける。

「見えるか、あれがマールス帝国だ。ここからはさらに狭い水路を通るから、もうしばらく揺れるかもしれんが、しっかりつかまっておけよ！」

船がマールス帝国の海域へと入ると、徐々に巨大な岸壁と広大な港が姿を現し始めた。マールス帝国はその広がりが美しく、圧倒されるような景観が聡たちを迎え入れている。辺りには多くの船が行き交い、活気ある雰囲気が漂っていた。

新たな冒険の予感

聡は、ツクヨミを求める旅が一段と進展したことを実感しつつも、ワルキュリスの伝説がどこかで関わってくる気がしてならなかった。この大陸のどこかに、その手がかりが隠されているかもしれない。聡たちはマールス帝国の港に降り立ち、新たな冒険の一歩を踏み出す決意を固める。

「さあ、ここからがまた新たな始まりだな。」聡が仲間たちに微笑みかけると、皆もそれに応えるようにうなずいた。

マールス帝国での新たな冒険に胸を高鳴らせながら、聡たちは未知なる土地へと足を踏み入れるのだった。