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8話

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翌日、俺はグルドラに誘われて、また別の「異世界イベント」に参加することになった。今回は「魔法バトル大会」だという。しかし、前日の異世界料理バトルがあまりにもカオスすぎて、正直、次がどうなるのか不安で仕方がなかった。

「魔法バトルって、魔法を使って戦うってことだよな?」

「もちろん!ただし、基本的には暴力は禁止だ。何せ、相手を攻撃して倒すのは、かなりマナー違反だからな。でも、魔法の使い方を競うっていうのはなかなか面白いぞ。」

「マナー違反?それ、魔法バトルじゃなくて、何か別のイベントみたいだな…」

グルドラはにやりと笑って、「まあ、勝者には大きな報酬が待ってるから、頑張れよ!」と軽く背中を押した。

会場に到着すると、すでに参加者たちが集まっていた。広場には魔法陣が描かれ、そこに立つ魔法使いや魔物たちが、みんな興奮気味に自分の魔法を練習している。中には、杖を振り回して「ウィーン!」と奇怪な音を立てる魔法使いもいれば、何かの動物を召喚してバトルの準備をしている魔物もいた。

「うわ、これは…なんだかハチャメチャだな。」

「そんなに驚くな。これが異世界だろ?」

「いや、そうだけどさ…魔法バトルって、普通もっと真面目にやるもんじゃないの?」

「まぁ、最初はみんな真面目にやるけど、最後はだいたいハチャメチャになるんだ。で、お前は何の魔法を使うんだ?」

「俺?うーん、魔法って言われても、まだ全然使えないんだよな…」

「ふむ…それじゃ、基本的な魔法を覚えた方がいいな。」

グルドラがアドバイスしていると、いきなり司会者の声が響いた。

「さぁ、魔法バトル大会、開始だ!まずは予選から始まるぞー!」

予選の内容は、魔法を使って指定された的を壊すというシンプルなものだったが、問題はその的がただの的ではなく、動き回る巨大な魔物だったことだ。

「ちょ、ちょっと待って!的って…それ、魔物だろ!?」

「当然だろ?動く的を倒すのがバトルだ。」

グルドラが余裕で言ったが、俺はその言葉に頭を抱えた。目の前に現れたのは、巨大なゴーレムのような魔物。石でできていて、まるで迷宮のボス級の魔物だ。

「こ…こんなの倒せるわけないだろ!」

「気にするな!最初はみんなこんな感じだ!」

そのゴーレムが、いきなり「ゴオオオ!」と大きな声を上げて歩き出した。俺は慌てて杖を構えたが、どうしても自分の魔法がうまく出せない。手元が震えているのがわかる。

「うーん、どうしようかな…」

その時、ふと目にしたのは、俺の隣に立つエルフの少年だった。エルフは杖を持っていないが、腕を組んで余裕の表情を浮かべている。

「おい、どうした?魔法使えるんだろ?」

「いや、まだ…」

「なら、こんなものを使え。」

エルフが一瞬で小さな魔法陣を描き、その中から「巨大なアヒルのぬいぐるみ」を召喚した。

「なんだ、それ…?」

「これで攻撃するんだ。可愛さでゴーレムの心を溶かす作戦だ。」

「いや、それは…無理だろ!?」

エルフはにやっと笑うと、「ほら、試してみろよ。」と言った。俺はその奇妙なアヒルぬいぐるみを手に取り、意を決してゴーレムに向かって投げた。

すると、アヒルぬいぐるみはまるで魔法のようにゴーレムに向かって飛び、ゴーレムの前にポトリと落ちた瞬間、「ぴょんぴょん!」と可愛く跳ね始めた。その動きにゴーレムが思わず立ち止まり、次第にその目がウルウルとした表情になってきた。

「な…なんだこれ…?」

ゴーレムは最終的に、アヒルぬいぐるみに対して「グー…」と喉を鳴らしながら、その場でぺたんこに座り込んでしまった。

「やった、効いた!」

「バトル終了!勝者、アヒルぬいぐるみ作戦!」

俺は呆然としながらも、なんとか勝利を収めることができた。しかし、他の参加者たちが一斉に拍手を送る中、俺はただただアヒルぬいぐるみの威力に驚き続けていた。

その後も予選は続き、様々な奇妙な魔法が繰り広げられていった。最終的に、俺は予選を通過し、次のバトルに進むこととなったが、何となく「この世界の魔法バトルは予測不可能すぎる」と感じるようになっていた。

「さぁ、次は決勝戦だ!頑張れよ!」

グルドラが励ましながら言ったその時、俺は少しだけ自信を持ち始めていた。どうやら、異世界の魔法バトルには、常識を超えた面白さが詰まっているようだ。

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