先生と俺

第85話

放課後、健太と遊ぶことにした。
家に一度帰り
着替えをしてから彼の家にいく。
家に帰ると、すぐに着替えをして、健太の家に向かうことにした。
心なしか少し緊張している自分に気づくが、気持ちを落ち着けて、靴を履き替え、家を出る。
健太の家に着くと、彼はもう準備ができていて、玄関先で俺を待っていた。
「早かったな、正彦。」
健太は笑顔で迎えてくれた。
俺もその笑顔に安心し、少し肩の力が抜ける。
「いや、お前のほうが早いんだろ。俺、急いで着替えたんだけどな。」

俺は冗談っぽく言い返しながら、健太の家に入る。
彼の部屋は以前来たときと変わらず、整然としていて、彼らしい雰囲気が漂っている。
「今日は何する？ゲームとかでもいいし、外で遊んでもいいけど。」
健太が聞いてきた。
俺は少し考えた後、今日はあまり体を動かす気分ではなかったので、室内で過ごすことにした。
「ゲームでもするか。久しぶりだし、なんか面白いのあるか？」
「おう、じゃあ新しいの買ったばかりのやつ、やってみるか。」

健太は嬉しそうに新しいゲームを取り出し、テレビの前にセットした。
俺はソファに座り、コントローラーを握る。
二人でゲームを始めると、時間が経つのを忘れるくらい集中して遊んでいた。
健太はゲームが得意で、俺は何度も彼に負けてしまったが、それでも楽しい時間だった。
ふとした瞬間に、健太の楽しそうな横顔を見て、俺の胸がまた少し高鳴る。
けれど、その感覚を楽しむように、自分を焦らずに受け入れることにした。
「次は絶対に勝つぞ！」
俺は健太に向かって、意気込んで言うと、彼はまた笑顔で応えてくれた。
その笑顔に、俺もつられて笑みがこぼれる。
二人で過ごす時間が、今日も少しずつ、俺の中の何かを変えていくような気がした。

健太のお母さんが部屋に入ってきて、軽いおつまみと飲み物を持ってきてくれた。テーブルにそれを置きながら、にこやかに話しかけてくる。
「二人とも、楽しんでるみたいね。これ、よかったら食べながら遊んでね。」
おつまみはサンドイッチやチーズ、クラッカーなどが並べられていて、飲み物はジュースとお茶が用意されていた。
健太のお母さんはいつも優しくて、俺もどこかホッとする。

「ありがとうございます！」
と俺が礼を言うと、健太も
「ありがとう、母さん！」と続けた。

お母さんは
「ゆっくりしていってね」と言って、部屋を出て行った。
彼女がいなくなった後、俺と健太はおつまみをつまみながら、またゲームを再開した。
「お母さん、いつも気が利くよな。うちの母さんもこんな感じだったらいいのに。」
俺が少し感心したように言うと、健太は照れたように笑う。
「まぁ、うちの母さんはこういうのが好きなんだよ。いつも何か作ってるし、みんなで食べるのが楽しいんだってさ。」

健太の話を聞いていると、彼の家族の温かさが伝わってくる。
俺もそんな家庭が好きで、健太の家に来るといつも居心地がいい。
「じゃあ、次はこれ食べたらまたゲームやろうぜ。負けっぱなしじゃ終われないからな！」
俺はおつまみをひとつ手に取り、健太に笑いながら言った。
「おう、俺も負けないからな！」
健太も笑顔で応えてくれた。

軽いおつまみを食べながら、俺たちはまたゲームに没頭した。
外が暗くなり始めても、二人で過ごす時間はあっという間に過ぎていった。