先生と俺

第56話

翌朝
ぺピーノに朝の挨拶と水をあげて
日当たりの良い場所に移動してあげ
俺は着替えをして学校に向かう。
今日の先生への話題は
昨日食べた
チキンのトマト煮込みである。
料理の歴史もだが
鶏肉を食べる習慣が日本に来たのはいつの頃なのかと
トマトの歴史が知りたいからである。

学校に着くと、いつものように先生はすでに教室で授業の準備をしていた。
俺は先生に挨拶をしながら、昨日の夕飯について話し始めた。
「昨日、家でチキンのトマト煮込みを作ったんです。
とっても美味しかったんですけど、鶏肉やトマトって、どんな歴史があるのかなって気になって…。」
先生は俺の話を聞くと、興味深そうに頷いた。
「チキンのトマト煮込み、美味しそうですね。鶏肉とトマトには、それぞれ面白い歴史がありますよ。」

先生は黒板に向かい、チョークを取り出して説明を始めた。

「まず、鶏肉を食べる習慣が日本に広まったのは江戸時代からですね。
ただ、最初の頃はあまり一般的ではありませんでした。
日本では肉食が仏教の影響で禁じられていた時代が長かったので、鶏肉も特別な日に限られていたんです。」
俺は先生の話を真剣に聞きながら、メモを取った。
やはり、日本の食文化にも歴史が詰まっているんだな、と改めて感じる。
「そしてトマトですが、トマトは南アメリカが原産です。
ヨーロッパに伝わったのは16世紀ごろで、日本に入ってきたのは明治時代です。
最初は観賞用として育てられていたんですが、やがて食材としての価値が認められるようになりました。」

「観賞用だったんですね！それは意外です。」
と俺は驚きを隠せなかった。
「そうなんですよ。
トマトが食べられるようになるまでには少し時間がかかったんです。
でも、今では和食にも欠かせない存在になっていますよね。」
先生はにこやかに微笑みながら、さらにトマトや鶏肉がどのように日本の料理に取り入れられていったのか、詳しく教えてくれた。
俺は先生の話に引き込まれ、授業が始まる前からとても満足感を感じていた。
「先生、今日もありがとうございます。やっぱり先生の話は面白いですね。」
「どういたしまして、正彦くん。君が興味を持ってくれるのが何より嬉しいですよ。」

こうして、今日も一日が始まった。
俺は先生との話を胸に刻みながら、今日の授業に集中して取り組むことにした。

今日は、一時間目の授業は
俺の苦手な科学である。
先生は、科学記号の説明を始める前に、黒板に大きな元素の周期表を貼った。
俺はその表を見ただけで少し緊張してしまったが、先生の優しい声がすぐにその緊張を和らげてくれた。
「今日は、まず科学記号について勉強しましょう。
科学記号は元素の名前を表すアルファベットの略称です。
例えば、酸素は 'O'、水素は 'H' というふうに、それぞれの元素には特有の記号があります。」

先生は黒板にいくつかの代表的な記号を書きながら、分かりやすく説明してくれた。

「最初はたくさんあって覚えるのが大変かもしれませんが、少しずつ慣れていけば大丈夫ですよ。重要なのは、一つ一つの元素がどんな役割を持っているかを理解することです。」
先生が話すたびに、俺の中にあった科学への苦手意識が少しずつ薄れていくのを感じた。
先生は、俺がつまずきやすいポイントをしっかり押さえて、分かりやすく解説してくれている。
「それでは、まずは簡単なところから始めましょう。
水はH2Oで表されますが、これは水素と酸素が結びついてできていることを示しています。ここで 'H' は水素、'O' は酸素です。
こういった基礎を覚えると、いろいろな化学反応が理解しやすくなりますよ。」
先生がゆっくりと丁寧に教えてくれるおかげで、少しずつ科学記号の世界に馴染んでいくことができた。
授業の終わりには、以前よりもずっと科学が身近に感じられるようになっていた。

「先生、今日の授業で科学が少し好きになった気がします。」
と俺が言うと、先生はにっこりと微笑んでくれた。
「それは良かったです、正彦くん。
科学は少しずつ理解していくと、とても面白いものですから、これからも一緒に頑張りましょうね。」
先生の励ましに背中を押され、俺は次の授業に向けて気持ちを切り替えた。
苦手だった科学も、先生と一緒なら克服できるかもしれない。