先生と俺

みなと劉

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第34話

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理科の授業が始まり、今日は化学反応について学ぶことになった。
先生が黒板に反応式を書きながら説明をしていく中、俺の頭にいくつかの疑問が浮かんだ。
どうしても気になったので、授業中に手を挙げて質問を投げかけた。
「先生、化学反応が起こるときに、どうして物質の性質が変わるんですか?
それと、全ての反応が目に見える形で現れるわけじゃないですよね?例えば、色が変わったり、気体が発生したりしない反応もあるんですか?」

先生は俺の質問を聞いて、黒板に書いていたチョークを一旦置き、優しく微笑みながら答え始めた。
「いい質問ですね。まず、化学反応が起こるとき、物質の性質が変わるのは、原子や分子の結びつきが変わるからです。
例えば、水を電気分解すると、水素と酸素という別々の気体になりますよね。
これは、水の分子が電気の力で分解されて、新しい物質ができたということです。」
先生は続けて説明を続けた。
「そして、全ての反応が目に見えるわけではありません。例えば、酵素反応や、体内で起こる化学反応の多くは、目に見えない形で進行します。
これらの反応では、色が変わらないし、気体が発生することもありませんが、分子レベルでの変化が確かに起きているんです。」

俺は先生の話を聞きながら、目に見える変化だけが化学反応の全てではないということを理解し始めた。
先生の説明は、いつもと同じようにわかりやすく、また心に響くものだった。
「つまり、化学反応は目に見えない形で起こることも多いんですね。体の中でも毎日たくさんの化学反応が起こっているなんて、ちょっと不思議な気がします」
と俺はつぶやくように言った。

先生は微笑んで
「そうですね。体の中では、食べたものをエネルギーに変える反応や、呼吸によって酸素を取り込んで二酸化炭素を排出する反応など、さまざまな化学反応が常に起こっています。
私たちの生命もまた、化学反応の連続によって支えられているんです」
と答えた。
俺は先生の言葉を聞きながら、化学反応の奥深さを改めて感じた。
日常生活の中で当たり前に起きていることが、実は複雑な化学の世界で説明できるなんて、理科の授業がますます面白く感じるようになった。

昼休みになると、俺はいつものように友達と一緒に昼食を摂るために、教室の隅に集まった。
みんながそれぞれ弁当箱を広げ、楽しい会話が始まる。
友達の一人が、今日の授業について話し始めた。
「今日は理科の授業、ちょっと難しかったけど面白かったよな。
化学反応とか、普段あんまり考えないけど、聞いてみると意外と身近なんだなって思った。」
俺も頷きながら
「そうだよな。先生が丁寧に説明してくれたから、なんか分かりやすかったよ。体の中でもいろいろな反応が起こってるって聞いて、びっくりしたよ」
と答える。
もう一人の友達が、自分の弁当のおかずを見せながら
「俺の母さん、今日は唐揚げ入れてくれたんだけど、これもきっとなんか化学反応起こってるんだろうな」
と冗談交じりに言うと、みんなで笑い合った。

「そう考えると、料理も全部化学反応の一部なんだよな」
と俺は続ける。
「先生に聞いたら、唐揚げの衣がカリッと揚がるのも、温度と油の作用による反応なんだろうな。」
友達はさらに
「じゃあ、俺たち毎日化学の実験を食べてるようなもんか。なんかすげぇな」
と笑いながら、また一口食べた。
昼食を摂りながらのこの何気ない会話が、俺にとってはとても心地よかった。
友達と一緒に過ごす時間は、学校生活の中でも特に大切なひとときだ。
自然と話題が授業のことや先生のことに向かい、いつの間にか理科の話題が盛り上がっていた。

そんな会話を楽しんでいるうちに、気がつけば昼休みの時間も終わりに近づいていた。
みんなで片付けをしながら、午後の授業に向けて気持ちを切り替える準備を始める。
そして、午後の授業に向けてまた教室が活気づいていく。
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