先生と俺

みなと劉

文字の大きさ
上 下
33 / 87

第33話

しおりを挟む
授業が始まると、先生は黒板に「戦後の日本の産業」と「戦時の日本と配給と配給券」というテーマを書き出した。
その文字を見た俺は、(配給券?)と疑問に思った。
先生は、教室全体に目を向けてから、ゆっくりと話し始めた。
「今日は、戦時中の日本と、当時の人々の暮らしについてお話しします。戦時中、物資が不足していたため、食料や日用品はすべて国が管理し、必要最低限のものだけが配られました。
この配給を受けるために必要だったのが、配給券です。」
俺は、先生の言葉に引き込まれていく。
戦時中の日本は厳しい時代だったと聞いたことはあったが、配給券というものが存在していたことは初耳だった。

先生は続けて説明した。
「配給券は、例えば米や砂糖、油といった基本的な食材を受け取るためのものです。
各家庭に決まった量が割り当てられ、その量を超えることはできませんでした。
このように、戦時中は食料だけでなく、衣類や燃料など、生活のあらゆる面で制限がかけられていたのです。」

俺は黒板に書かれた「配給券」という言葉を見つめながら、想像してみた。
自分がその時代に生きていたら、どれほど苦労しただろうか。
そして、先生がこの話を通じて伝えようとしているのは、ただの歴史の事実だけではなく、人々がどのように困難を乗り越えてきたのかということなんだと感じた。
授業が進むにつれて、俺は戦時中の日本の生活がどれだけ厳しかったかをますます理解するようになった。
そして、そんな厳しい時代を生き抜いた人々の強さに、自然と敬意を抱いた。
授業が終わる頃には、俺は配給券がただの紙切れではなく、生きるための必需品だったということを深く実感していた。
今日の授業は、戦後の日本だけでなく、戦時中の厳しい現実についても学ぶ貴重な機会となった。

俺は、授業が進む中で疑問が浮かび、先生に質問を投げかけた。
「先生、配給券はどこで受け取ることが可能だったのですか?それと、配給券ではなく、その頃は軍に所属していた少年もいたと思いますが…お金はなんのために支給されていたのですか?
あと、金銭ではやり取りができないと言っていたと記憶しています。」
先生は、俺の質問を聞いて微笑みながら答え始めた。
「まず、配給券についてですが、これは市区町村の役所や指定された配給所で受け取ることができました。
家族ごとに発行され、その配給券を持って指定された商店に行き、必要な物資を受け取る仕組みになっていました。
配給券がないと、基本的な物資すら手に入れることができなかったんです。」

先生は少し間をおいてから、軍に所属していた少年について説明を続けた。
「戦時中は、若者も軍に動員され、戦場での任務に就くことが多くありました。
彼らには、国家からお金が支給されていましたが、物資不足のため、お金を使って物を買うということが難しい時代でした。
実際の生活において、金銭の価値は低く、物々交換や配給券による取引が主流となっていたのです。」

俺は先生の説明を聞き、当時のお金の使い道について考えた。
お金があっても物が買えないという状況は、現代の生活では考えにくいことだが、それが戦時中の厳しい現実だったのだと改めて実感した。
先生の話を聞くことで、戦時中の日本の暮らしぶりや、お金の意味がどう変わっていたのかが少しずつ理解できるようになった。
「当時の人々にとって、お金よりも食料や燃料といった生活必需品の方が遥かに価値が高かったんですね…」
と俺はつぶやくように言った。
先生は頷きながら、
「そうです。戦時中の経済は、物資の価値が非常に高かった時代でした。
金銭はそのための手段として残されていましたが、実際に必要なものを手に入れるためには、配給券が重要な役割を果たしていたんです」
と答えた。

この話を通じて、俺は戦時中の日本の生活がどれほど過酷であったか、そしてその中で人々がどのように工夫して生き抜いていたのかを学ぶことができた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ニューハーフな生活

フロイライン
恋愛
東京で浪人生活を送るユキこと西村幸洋は、ニューハーフの店でアルバイトを始めるが

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。

広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ! 待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの? 「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」 国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

処理中です...