先生と俺

第15話

家のリビングでテレビを見ていると、戦国武将についての特集が流れていた。
その中でも、武田信玄が特に特殊な武将だったと紹介されていた。
テレビのナレーションが続く中で、武田信玄を一際輝かせたのは「とある人物」の功績だと強調されていた。

「何がそんなに特殊だったんだろう？」

と俺は気になって、その人物が誰なのかも含めて考え込んでしまった。
武田信玄は有名な戦国武将だし、何度も名前を聞いたことがあるけど、具体的にどう特殊だったのかはよくわからない。
「明日、先生に聞いてみようかな…」
俺はそう決めた。先生なら、武田信玄の特殊性や、その「とある人物」が誰なのかを詳しく教えてくれるかもしれない。
翌朝、学校に登校すると、俺はいつもより少し早めに教室に入った。
先生が来るのを待ちながら、今日もまた新しい知識を教えてもらえることを楽しみにしていた。
先生が教室に入ってきたら、まず最初にこの話を聞いてみよう。
そして、武田信玄の何がそんなに特殊だったのかを知ることで、またひとつ賢くなれそうな気がした。

先生が教室に入ってきたのを見て、俺はすぐに立ち上がり、挨拶をした。
「おはようございます、先生。」
「おはようございます、正彦くん。」
先生はいつもの優しい笑顔で答えてくれた。
俺は昨日の夜に見たテレビのことを思い出しながら、早速質問を切り出した。

「昨日、戦国武将の特集を見ていたんですけど、武田信玄が特に特殊な武将だったって話がありました。それに、信玄を一際輝かせた『とある人物』がいるって言っていて…もしかしたら、その人がいなかったら、武田信玄は戦国の武将として名を馳せなかったんじゃないかって思ったんです。」
先生は俺の話を真剣に聞きながら、静かにうなずいていた。
そして、少し微笑んでから話し始めた。
「そうですね、武田信玄は確かに優れた戦国武将ですが、彼を支え、輝かせた重要な人物がいました。それは…山本勘助という名の軍師です。」

「山本勘助…」

俺はその名前を繰り返し、記憶に刻み込んだ。

先生は続けた。
「山本勘助は、信玄にとって非常に重要な軍師でした。彼は戦略や戦術に長けていて、信玄の軍を指揮し、数々の勝利を収める手助けをしました。特に有名なのは、川中島の戦いでの活躍です。この戦いでは、勘助の策が信玄の勝利に大きく貢献しました。」
俺は頷きながら、先生の話に聞き入っていた。「もし山本勘助がいなかったら、武田信玄は…」
「そうですね、山本勘助がいなければ、武田信玄がこれほどまでに有名な武将として歴史に名を残すことは難しかったかもしれません。勘助のような軍師がいたからこそ、信玄はその才能を最大限に発揮できたのです。」
先生は静かに言葉を結んだ。
俺は先生の話に感心しながら、戦国時代の武将たちが一人だけで成り立っていたわけではなく、支えてくれる人々がいたからこそ輝けたのだと理解した。

「先生、ありがとうございました。これでまた少し賢くなれた気がします。」
俺は感謝の気持ちを込めて言った。

先生は微笑んで
「どういたしまして。また何か気になることがあったら、いつでも聞いてくださいね。」
と言ってくれた。
こうして、俺はまた一つ、歴史の深みを知ることができた。
そして、武田信玄と山本勘助の絆が、戦国時代の壮大な物語の一部であることに感動を覚えた。