先生と俺

第13話

答えはまだ出ていないけど、今はこの気持ちをそっと俺の心の中に留めておこうと決めた。
翌朝、学校に登校すると、いつものように先生が教室で何かの書類を整理しているのが見えた。
近づいてみると、先生の手元にある書類には「ゲームの攻略法」と書かれているのが確認できた。

「先生、何を読んでいるんですか？」

俺は気になって、声をかけた。
先生は少し驚いた様子で顔を上げ、笑顔を浮かべた。
「おはようございます、正彦くん。これは…ちょっとした趣味でね、最近ハマっているゲームの攻略法を調べていたんです。」
ゲームの攻略法を読む先生なんて、少し意外だったけど、同時に少し親しみを感じた。
先生も普通にゲームをするんだと知って、何となく嬉しくなった。
「先生、どんなゲームをしてるんですか？」

俺は興味津々で尋ねた。

先生は書類を見ながら
「最近ハマっているのは、戦略シミュレーションゲームなんです。プレイヤーが国や軍隊を指揮して、戦略を練って勝利を目指すゲームで、歴史の知識も活かせるんですよ。」
と教えてくれた。
「それは面白そうですね！先生はやっぱり戦略とか歴史に詳しいから、得意そうですね。」
俺は自然にそう言葉が出てきた。
先生は少し照れくさそうに笑い
「得意というわけではないですが、確かに歴史の知識が役に立つ場面もありますね。
でも、ゲームの中ではいつも勝てるわけじゃなくて、何度も試行錯誤しているんです。」
と話してくれた。
先生のそんな一面を知ると、普段の授業とは違う親近感が湧いてきた。
ゲームの話をしている先生は、いつも以上に楽しそうで、俺も自然と笑顔になっていた。

「先生、今度そのゲームの話、もっと聞かせてください！」
俺は思わず言ってしまった。

先生は嬉しそうにうなずき
「もちろんです。正彦くんも興味があるなら、一緒に話しましょう。きっと楽しめると思いますよ。」
と答えてくれた。
こうして、学校での新しい話題ができたことで、俺と先生の距離がまた少し縮まった気がした。
胸の中にしまっておいた気持ちは、少しずつ和らいでいくような気がした。