悪夢、朝焼けの空

すずめ。

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悪夢、朝焼けの空

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「…ッ。はぁ、はァ。」
悪夢で目が覚める。息を荒げて、目を見開く。僅かに冷える寝室の静寂を切り裂いたのは私の荒い息遣いだった。カーテンの隙間から薄暗い外の景色が見える。
(もう朝か。)
浅い呼吸を繰り返して布団を強く掴む。止まない過呼吸を何とか納める。多分今日はもう眠れない。上体を起こして、少しばかり重い体を動かした。ベランダの扉を開けると、朝のひんやりと冷えた空気が私を迎えた。新聞配達のバイクが走り去る音が耳に響く。薄紅色と茜色が混ざったような朝焼けの空。眠れない夜はいつもこうして空を見る。漠然とした不安だとか、恐怖だとかが消えていくような気分になって何だかまだ頑張れる気がするんだ。ずっと夜が来なければいいと思っていた。どうしても不安になる、そんな夜。でも、夜が来なければ朝は来ない。辛いことの後には幸せがある、だなんて。誰かが言っていた気がするそんな台詞を口にした。
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