monochrome world

すずめ。

文字の大きさ
上 下
5 / 7

5 またモノクロに

しおりを挟む
1 はづきの死

はづきが死んで、私はまた色が無くなってしまった。モノクロに戻ってしまった。
はづきのお葬式には悲しみのあまり行けなかった。動かない彼女ともう一度対面なんて、できなかった。
「はづ……き。ねぇ…行かないで…。待ってよ……ねぇ…ねぇ……。」
はづきが死んだと言うのに、クラスや学校は前より元気だった。まるで、彼女が死んで清々したとでも言うかのようで。それが辛くて学校には行くことができなかった。
ベッドでうずくまりながら、息をするだけの生命体。そんな私は全く眠る事なんてできなかった。でも、いい加減、限界が来て眠ってしまった。
「ここは、夢…………か…。」
また夢に来てしまった。けれど、どうでもいい。彼女に会えないのなら、生きて笑っている彼女に会えないのならもう、どうでもいい。
「みづきちゃん。」
「…!!はづき!!!」
はづきだ。あのはづきなのだろうか。夢の中ではづきの声がした。
「みづきちゃん、ごめんね。置いていっちゃって。でもね、私のせいでみづきちゃんが殺人を犯してしまいそうだったから。止めれたのなら。私の、人に迷惑をかけるだけの人生にも意味、あったのかな?」
「そんな、迷惑なんて……!」
「迷惑、かけてたの。皆に。それにみづきちゃん。あなたにも迷惑、かけてたの。私のせいで、みづきちゃんを変えてしまった。ごめんなさい。」
「はづき…………あなたは悪くない。たとえ、あなたが私に迷惑をかけていたとしても、それでも、私はそれを迷惑だなんて思わない。むしろ、たくさん話しかけてくれて、嬉しかったの。」
「みづきちゃん…!こちらこそありがとう…!!……ううん、みづき!!」

2 夢の終わり

「みづき、もうお別れ。夢も終わり。」
「…!はづき…!そんな、もう会えない…のかな…。」
「大丈夫、みづき!!きっと会えるよ!!またね、みづき。私のーーー」
「え、今なんて…!!」

「あぁ…戻ってきちゃった。……うぅ、はづき…!!会えるわけ…ないよ…!!もう2度と会えない……。」
私はそんな"事実"に涙をポツリと流した。
「そういえば……はづき、あの時なんて…言ったのかな……?うぅ…思い出せない…。大事なことのはずなのに……。」
それから私は、学校に通い始めた。彼女に夢で会えたことで、私は光を取り戻した。でもまだ、世界はモノクロで、やっぱりつまらなかった。今日は何か夢を見られるだろうか。私はそんな願いを考えながら、眠りについた。
「また会ったね!みづきちゃん!」
「わぁ!いつも驚かせるなぁ…。」
驚かされることには頭を悩ませたが、願いを叶えてくれるというこの謎の少女はとても気になっていた。
「ねぇ、あなた……誰…?」
「……知りたい?私の秘密。代償は……まぁ、いいや。初回は"あなただから"許してあげる。」
"あなただから"…?それはいったいどういうことなのだろう。
「ふふっ、教えてあげる。私はね、あなたの姉にあたるかな。」
「え…?姉……?」



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

冬の水葬

束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。 凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。 高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。 美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた―― けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。 ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...