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*おやすみさせない・その2
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コンビニで買い物を終え、洗面所で手を洗う。ハンドソープに手を伸ばすと、後ろから伸びてきた手が先にボトルに触れた。
「手、出して」
促されて手のひらを差し出すと、友紀がポンプを押してくれる。
泡を広げて洗い始めると、体の両脇から腕が伸びてきた。バックハグ同然の体勢に、鼓動が高鳴っていく。
知れず手が止まってしまっていたことに、手の甲を友紀の手に挟まれたことでようやく気がついた。
大きな手が重なって、そのまま優樹の指の間や先をたどり泡を塗り付ける。ただ手を洗われているだけなのに、なんだか落ち着かない気分になってしまう。
丁寧だったのはそこまでで、水で泡を流した後はタオルでさらっと撫でられるくらいの不十分さだった。
まだ水分を含んだ手が、夜の空気に当たってひんやりする。けれど、つないだ手の触れあっている部分はひどく熱を持っていた。
十数分ぶりに見たベッドはブランケットが裏返ったままで、出て行った時の慌ただしさが残っていた。
「自分で脱ぐ? 俺に脱がせてほしい?」
「じ、自分で……」
何度も手を煩わせるのは悪いし自分から脱がせてなんて言うのも恥ずかしい。
まずジャージを脱いでしまってパーカーとTシャツもえいっと脱ぐ。途端にベッド上に押し倒された。背中に当たるシーツが冷たい、なんて考える間もなく口づけが降ってくる。
唇、頬、耳下。首筋を通って胸の起伏へ。思わず腕で身体を覆いかけるものの、肝心の両手は身体の脇で縫いとめられている。
きゅ、と指同士を絡ませられ、その間も肌を唇が這う。
「んっ、ひぁ……」
肩や脇腹のようななんでもない場所すら触れられれば身体の芯に熱が送られて、熱い吐息が零れてしまう。
柔らかな唇での愛撫に時々濡れた感触が混じり、さらに熱い手のひらが加わった。ならば手は解放されている。
そうわかっても、与えられる刺激に耐えるためにブランケットの端に力なくすがるくらいしかできない。
腰骨をつ、と指の先でなぞられて口から頼りない声が漏れる。指先は太ももを割って足の中心へ。
「あぅ……」
その場所が濡れているのはすでにわかっていた。足をすり寄せようとする動きは手のひらに阻まれる。
「力抜け……ないか」
顔を上げた友紀に痴態を見られてしまい、ぞくぞくと背筋が震えた。なだめるように固く握った拳を包まれて、少し開いた手に指が入ってくる。互い違いに指同士を組まされて、つかまれとでもいうように握られる。
それからそっと唇が塞がれて、深く舌を差し入れられた。口蓋に舌を這わされて、首が仰向く。これが弱いのだともう知られてしまっている。
くすぐられるように舌をひらめかされると鼻から息が抜け、ぞくりと背筋がおののく。
太ももに置かれた片手がゆっくりと上にのぼってきて、突き当たりまで到達する。
「濡れてる」
熱を帯びた声にかぶさるように、くちゅりと濡れた音が混じる。
「ひ、あぁっ」
蜜を塗り広げるように指を動かされて、あられもない声が出てしまう。水音に嬌声、耳を塞いでしまいたいと思うほどのあられもない音が室内に満ちる。
まだ表面をたどられているだけなのに、中からどんどんあふれてきているのがわかる。
全身が熱を持っているのに、濡れた部分だけが空気と触れてひんやりとしていた。背筋を甘い痺れが這い上がって、意識が飲み込まれそうだ。
しばらく狭間を行き来していた指が先端だけを中にそっと沈めてきた。
「んっ」
よく濡れているからか、それとも時間をおいているけれど一度達しているからか、簡単に受け入れてしまう。身体の他の部分の方がついていけないくらいで、腰がびくりと跳ねて足先が突っ張る。痛みでなく、微弱な快感のためだ。
すでに弱いところを知られてしまっているから、たやすく追い上げられる。
このままではまた……という寸前で指が引き出された。
「いれていい?」
ひそめた声で問われ、ふわふわとした意識のまま頷きを返す。それを受けて、友紀がベッドサイドに置いてあったビニール袋からシンプルなパッケージを取り出した。
なんとなく視線をそらしているうちに準備が整ったようで、温かい手のひらが膝に重なった。
脚の間に腰が向かい合い、被膜越しに硬い熱があてがわれる。あらぬ場所に力がかかって、ぐ、ぐ、とゆっくりとした動きで中を押し拓かれる。
濡れてはいても、わずかな苦しさはある。身じろいだ拍子に目にかぶさった前髪をのけられて開けた視界の先で、友紀が何かに耐えるように眉を寄せているのに気づいた。
「手、出して」
促されて手のひらを差し出すと、友紀がポンプを押してくれる。
泡を広げて洗い始めると、体の両脇から腕が伸びてきた。バックハグ同然の体勢に、鼓動が高鳴っていく。
知れず手が止まってしまっていたことに、手の甲を友紀の手に挟まれたことでようやく気がついた。
大きな手が重なって、そのまま優樹の指の間や先をたどり泡を塗り付ける。ただ手を洗われているだけなのに、なんだか落ち着かない気分になってしまう。
丁寧だったのはそこまでで、水で泡を流した後はタオルでさらっと撫でられるくらいの不十分さだった。
まだ水分を含んだ手が、夜の空気に当たってひんやりする。けれど、つないだ手の触れあっている部分はひどく熱を持っていた。
十数分ぶりに見たベッドはブランケットが裏返ったままで、出て行った時の慌ただしさが残っていた。
「自分で脱ぐ? 俺に脱がせてほしい?」
「じ、自分で……」
何度も手を煩わせるのは悪いし自分から脱がせてなんて言うのも恥ずかしい。
まずジャージを脱いでしまってパーカーとTシャツもえいっと脱ぐ。途端にベッド上に押し倒された。背中に当たるシーツが冷たい、なんて考える間もなく口づけが降ってくる。
唇、頬、耳下。首筋を通って胸の起伏へ。思わず腕で身体を覆いかけるものの、肝心の両手は身体の脇で縫いとめられている。
きゅ、と指同士を絡ませられ、その間も肌を唇が這う。
「んっ、ひぁ……」
肩や脇腹のようななんでもない場所すら触れられれば身体の芯に熱が送られて、熱い吐息が零れてしまう。
柔らかな唇での愛撫に時々濡れた感触が混じり、さらに熱い手のひらが加わった。ならば手は解放されている。
そうわかっても、与えられる刺激に耐えるためにブランケットの端に力なくすがるくらいしかできない。
腰骨をつ、と指の先でなぞられて口から頼りない声が漏れる。指先は太ももを割って足の中心へ。
「あぅ……」
その場所が濡れているのはすでにわかっていた。足をすり寄せようとする動きは手のひらに阻まれる。
「力抜け……ないか」
顔を上げた友紀に痴態を見られてしまい、ぞくぞくと背筋が震えた。なだめるように固く握った拳を包まれて、少し開いた手に指が入ってくる。互い違いに指同士を組まされて、つかまれとでもいうように握られる。
それからそっと唇が塞がれて、深く舌を差し入れられた。口蓋に舌を這わされて、首が仰向く。これが弱いのだともう知られてしまっている。
くすぐられるように舌をひらめかされると鼻から息が抜け、ぞくりと背筋がおののく。
太ももに置かれた片手がゆっくりと上にのぼってきて、突き当たりまで到達する。
「濡れてる」
熱を帯びた声にかぶさるように、くちゅりと濡れた音が混じる。
「ひ、あぁっ」
蜜を塗り広げるように指を動かされて、あられもない声が出てしまう。水音に嬌声、耳を塞いでしまいたいと思うほどのあられもない音が室内に満ちる。
まだ表面をたどられているだけなのに、中からどんどんあふれてきているのがわかる。
全身が熱を持っているのに、濡れた部分だけが空気と触れてひんやりとしていた。背筋を甘い痺れが這い上がって、意識が飲み込まれそうだ。
しばらく狭間を行き来していた指が先端だけを中にそっと沈めてきた。
「んっ」
よく濡れているからか、それとも時間をおいているけれど一度達しているからか、簡単に受け入れてしまう。身体の他の部分の方がついていけないくらいで、腰がびくりと跳ねて足先が突っ張る。痛みでなく、微弱な快感のためだ。
すでに弱いところを知られてしまっているから、たやすく追い上げられる。
このままではまた……という寸前で指が引き出された。
「いれていい?」
ひそめた声で問われ、ふわふわとした意識のまま頷きを返す。それを受けて、友紀がベッドサイドに置いてあったビニール袋からシンプルなパッケージを取り出した。
なんとなく視線をそらしているうちに準備が整ったようで、温かい手のひらが膝に重なった。
脚の間に腰が向かい合い、被膜越しに硬い熱があてがわれる。あらぬ場所に力がかかって、ぐ、ぐ、とゆっくりとした動きで中を押し拓かれる。
濡れてはいても、わずかな苦しさはある。身じろいだ拍子に目にかぶさった前髪をのけられて開けた視界の先で、友紀が何かに耐えるように眉を寄せているのに気づいた。
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