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侯爵令嬢
それでは皆様ごきげんよう(センシティブ内容含)
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あら。婚約を破棄?
面白いことを仰るのね。それをするなら貴方が有責と言うことですわよね?
でなければ白紙にしていただかないと。と言っても今更かしら。貴方たち、もう越えてらっしゃるのでしょう?
うふふ。嫌だわ。そんなに顔に出して。図星を突かれたと白状してるようなものですわよ?
それにしても嫌ですわ……。
こちらとしてはいつでも婚約の解消は応じますのにずるずると婚約したまま。その上こうして浮き名を流されて。この世の年頃の女性を全員キープしようとなさるおつもりでしたの?
いい迷惑ですわ。キープ出来るほどの価値がございませんのによくもまあ都合のいい頭を……うふふ、失礼いたしましたわ。少しばかり本心が。……あらいけない。
でも、不幸中の幸いとはこのことかしら。貴方は子供が望めませんから、街中いっぱいに落とし胤、なんてことになりませんものね。
え? ああ、貴方自身がご存知ないのも仕方ありませんわ。あまりに哀れで秘密にしてやりたいと仰せでしたの。
……まあ、もういいかしら。
あら、冗談でも、ましてや嘘でも御座いませんわよ。ちゃんとした、立場ある方々から直々にお伺いしましたの。何かあった時には話しても構わないとお言葉も頂いておりますし。
貴方は5つに満たぬ幼子のとき、高熱にさらされたことがおありだったとか。……あぁ、記憶にございますか?
珍しいですね。いえ、普段重要なことはすぐお忘れになるのにと思いまして。それにこう言うお身体の事ですと記憶に残らないとも聞きますから。
うふふ。今のうちの失言くらいお許しくださいませ。話しも進みませんわ。
ともあれ、一晩では治まらぬ高熱に7日近く魘されて、貴方のご両親もやや諦めを持ち始めながらも神へ祈りを捧げていたそうですわ。
祈りが届いたのか奇跡的に熱が下がりましたけれど、7日に渡る熱によって、貴方の種を作る能力は失われてしまったそうですの。
似たような病を持った方の中には極々たまに、出来にくい程度の方もいらっしゃるようですが、貴方は全くの種無しだそうですわ。男子として重要な事で御座いますし、何度も検査されたそうです。
え? 検査された記憶がない?
まあ、それを私に聞かれますの? 後から確認なされば宜しいのに……。畏まりました。
殿下のお相手をした方から報告を受け次第、使われたお部屋から採取していたそうですわ。……これで宜しいかしら。
貴方のお相手の方、基本的に用意された役を演じた本職の方ですわ。たまに子種を狙った素人も混じって居たようですけれども。
そう言えば、今お隣にお連れになっている方はどなたのお子なのかしら。本当に貴方のお子なんですの?
え? 嫌だわ。だから貴方なんじゃないですの。貴方は王太子では御座いませんよ?
我が家へ婿に入って頂いたあと数年しましたら領地に引っ込んで頂いて、別の方を改めて婿に頂く手筈でしたわ。貴方がそれなりの暮らしを出来るようにとのご両親の温情で組まれた婚約では御座いましたが、まあまあ、今になって改めて思いますが本当に当家に旨味のないお話でしたわね。嫌だわ。
と言うことで貴方と言う枷が無くなるのは有難いお話ですし、是非とも破棄は致しましょう。
ああそうそう。子供は親を選べませんし、そちら誰の子かもわからぬお子ですけれど父親は居た方が宜しいでしょう。
貴方は元々王位が継げませんから、安心して婿に入られたら宜しいのでは?
けれど彼女以外にも候補が有るようですし婿入り先に困らなくて良かったですわね?
お子の父親としてはろくでもないとは思いますが。うふふふふ。
それでは書類の作成のこともありますし、今後の相談もしなくてはなりませんからこれにて失礼致しますわ。
折角ですから貴方のお子には幸あれと祈っておきますわね。
「それでは皆様ごきげんよう」
面白いことを仰るのね。それをするなら貴方が有責と言うことですわよね?
でなければ白紙にしていただかないと。と言っても今更かしら。貴方たち、もう越えてらっしゃるのでしょう?
うふふ。嫌だわ。そんなに顔に出して。図星を突かれたと白状してるようなものですわよ?
それにしても嫌ですわ……。
こちらとしてはいつでも婚約の解消は応じますのにずるずると婚約したまま。その上こうして浮き名を流されて。この世の年頃の女性を全員キープしようとなさるおつもりでしたの?
いい迷惑ですわ。キープ出来るほどの価値がございませんのによくもまあ都合のいい頭を……うふふ、失礼いたしましたわ。少しばかり本心が。……あらいけない。
でも、不幸中の幸いとはこのことかしら。貴方は子供が望めませんから、街中いっぱいに落とし胤、なんてことになりませんものね。
え? ああ、貴方自身がご存知ないのも仕方ありませんわ。あまりに哀れで秘密にしてやりたいと仰せでしたの。
……まあ、もういいかしら。
あら、冗談でも、ましてや嘘でも御座いませんわよ。ちゃんとした、立場ある方々から直々にお伺いしましたの。何かあった時には話しても構わないとお言葉も頂いておりますし。
貴方は5つに満たぬ幼子のとき、高熱にさらされたことがおありだったとか。……あぁ、記憶にございますか?
珍しいですね。いえ、普段重要なことはすぐお忘れになるのにと思いまして。それにこう言うお身体の事ですと記憶に残らないとも聞きますから。
うふふ。今のうちの失言くらいお許しくださいませ。話しも進みませんわ。
ともあれ、一晩では治まらぬ高熱に7日近く魘されて、貴方のご両親もやや諦めを持ち始めながらも神へ祈りを捧げていたそうですわ。
祈りが届いたのか奇跡的に熱が下がりましたけれど、7日に渡る熱によって、貴方の種を作る能力は失われてしまったそうですの。
似たような病を持った方の中には極々たまに、出来にくい程度の方もいらっしゃるようですが、貴方は全くの種無しだそうですわ。男子として重要な事で御座いますし、何度も検査されたそうです。
え? 検査された記憶がない?
まあ、それを私に聞かれますの? 後から確認なされば宜しいのに……。畏まりました。
殿下のお相手をした方から報告を受け次第、使われたお部屋から採取していたそうですわ。……これで宜しいかしら。
貴方のお相手の方、基本的に用意された役を演じた本職の方ですわ。たまに子種を狙った素人も混じって居たようですけれども。
そう言えば、今お隣にお連れになっている方はどなたのお子なのかしら。本当に貴方のお子なんですの?
え? 嫌だわ。だから貴方なんじゃないですの。貴方は王太子では御座いませんよ?
我が家へ婿に入って頂いたあと数年しましたら領地に引っ込んで頂いて、別の方を改めて婿に頂く手筈でしたわ。貴方がそれなりの暮らしを出来るようにとのご両親の温情で組まれた婚約では御座いましたが、まあまあ、今になって改めて思いますが本当に当家に旨味のないお話でしたわね。嫌だわ。
と言うことで貴方と言う枷が無くなるのは有難いお話ですし、是非とも破棄は致しましょう。
ああそうそう。子供は親を選べませんし、そちら誰の子かもわからぬお子ですけれど父親は居た方が宜しいでしょう。
貴方は元々王位が継げませんから、安心して婿に入られたら宜しいのでは?
けれど彼女以外にも候補が有るようですし婿入り先に困らなくて良かったですわね?
お子の父親としてはろくでもないとは思いますが。うふふふふ。
それでは書類の作成のこともありますし、今後の相談もしなくてはなりませんからこれにて失礼致しますわ。
折角ですから貴方のお子には幸あれと祈っておきますわね。
「それでは皆様ごきげんよう」
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