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第四章 幸せな日々
合格発表!
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三月に入り、いよいよ明希の合格発表の日が来た。
発表の時間は十時。
明希は自宅からインターネットで確認するらしい。
三年生の明希は自由登校だが、二年生の僕は学校に行かなければならなかった。
ドキドキそわそわしながら授業を受ける。
全く集中できずに、授業中、何度も時計を確認してしまう。
針は遅々として進まない。それがもどかしい。
そのもどかしさを必死に耐え、ようやく一限目が終わる。
「時計見過ぎよ、天瀬くん」
授業が終わるなり、右隣の席の如月さんから注意される。
「全然集中できなくてな……」
「……何かあったの?」
如月さんが心配げに顔を覗き込んでくる。
心配してくれるのをありがたく思いながら、僕は口を開く。
「いや、今日、明希の合格発表の日なんだ」
「そう、明希さんの……それは気が気でないわよね、彼氏としては」
「そうなんだよ」
「発表は何時なのかしら?」
「十時」
「二限の最中ね……授業中に携帯見ちゃだめよ?」
「わかってるって。我慢する」
如月さんの忠告に僕は頷く。
「明希さんの合否が気になるのはわかるけど、天瀬くんはちゃんと授業に集中しなきゃダメよ。明希さんと同じ大学行きたいんでしょ?」
一度も口にしたことの無い僕の希望。
それを如月さんは見透かしたように言い当てる。
「そうだな。明希の隣に居続けるために、頑張らないとな」
僕が気合を入れなおすと、如月さんは薄い笑みを浮かべ、次の授業の支度を始めた。
如月さんのおかげで、僕は次の授業に集中することができた。
そして――。
休み時間に僕はスマホをチェックする。
スマホには明希からのメッセージが届いていた。
『合格! 合格してた!』
その通知を見て、ほっとしつつも気持ちが一気に高ぶった。
僕は空いている手を思い切り握りしめる。
そして、急いで明希に電話を掛けた。
「明希! おめでとう!」
受験が終わったら明希に掛けたいとずっと思っていた言葉。
その言葉を明希に伝えることができて、本当に良かった。
発表の時間は十時。
明希は自宅からインターネットで確認するらしい。
三年生の明希は自由登校だが、二年生の僕は学校に行かなければならなかった。
ドキドキそわそわしながら授業を受ける。
全く集中できずに、授業中、何度も時計を確認してしまう。
針は遅々として進まない。それがもどかしい。
そのもどかしさを必死に耐え、ようやく一限目が終わる。
「時計見過ぎよ、天瀬くん」
授業が終わるなり、右隣の席の如月さんから注意される。
「全然集中できなくてな……」
「……何かあったの?」
如月さんが心配げに顔を覗き込んでくる。
心配してくれるのをありがたく思いながら、僕は口を開く。
「いや、今日、明希の合格発表の日なんだ」
「そう、明希さんの……それは気が気でないわよね、彼氏としては」
「そうなんだよ」
「発表は何時なのかしら?」
「十時」
「二限の最中ね……授業中に携帯見ちゃだめよ?」
「わかってるって。我慢する」
如月さんの忠告に僕は頷く。
「明希さんの合否が気になるのはわかるけど、天瀬くんはちゃんと授業に集中しなきゃダメよ。明希さんと同じ大学行きたいんでしょ?」
一度も口にしたことの無い僕の希望。
それを如月さんは見透かしたように言い当てる。
「そうだな。明希の隣に居続けるために、頑張らないとな」
僕が気合を入れなおすと、如月さんは薄い笑みを浮かべ、次の授業の支度を始めた。
如月さんのおかげで、僕は次の授業に集中することができた。
そして――。
休み時間に僕はスマホをチェックする。
スマホには明希からのメッセージが届いていた。
『合格! 合格してた!』
その通知を見て、ほっとしつつも気持ちが一気に高ぶった。
僕は空いている手を思い切り握りしめる。
そして、急いで明希に電話を掛けた。
「明希! おめでとう!」
受験が終わったら明希に掛けたいとずっと思っていた言葉。
その言葉を明希に伝えることができて、本当に良かった。
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(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
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2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
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○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
(pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274
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