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第四章 幸せな日々
如月さんに相談②
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そして次の日。昨日と同じく屋上へと続くドアの前。
「ぬーさんのぬいぐるみ?」
「ええ。クリスマスバージョンの」
言いながら、如月さんがスマホの画面を僕の方へ向ける。
そこには、某有名テーマパークのサイトが映し出されていた。
販売商品一覧の中に、その商品を見つける。
「十二月中にパーク内限定販売か……」
「そうみたいね。クリスマスデートしてきて、その時に買ってあげるのがいいのではないかしら?」
そうしたいのは山々なんだけど……。
「クリスマスはもう行き先が決まってるんだ。明希が病院のクリスマスパーティに行こうって」
「病院?」
首を傾げる如月さんに、僕は一通りの説明をする。
「そう……明希さん、昔は大病を患っていたのね。今は元気で良かったわ」
安堵の笑みを浮かべる如月さん。そのまま元の話に戻る。
「となると、天瀬くんが事前に買いに行くのかしら?」
「いや……明希を置いて行ってくるのはなあ。受験が無ければ行きたいだろうし」
「なるほど。彼氏としては気が引ける状況よね」
神妙な顔で頷く如月さん。
それから、数秒おいて、再び如月さんが口を開く。
「私が行ってくるわ。〇ィズニーランド」
「如月さん、〇ィズニーランド行く予定あるの?」
「いえ、特には。けれど大丈夫よ。そろそろ〇ィズニーソロしようと思ってたところだから」
「っ‼」
まさかのソロ! 如月さんつえぇ……。
屈伏してぐうの音も出ない僕。
如月さんは言葉を続ける。
「その時に買ってきて天瀬くんに渡すから、それを明希さんに渡すといいわ」
平然と言う如月さん。
気を回してくれるのはくれるのはありがたいけれど。
「いや、如月さんが入手したものなら、如月さんが渡すべきだ」
「そうかしら? 大好きな彼に一番欲しいものを貰えた方が嬉しいのではないかしら」
「明希はきっと如月さんから貰いたいはずだよ。だって、如月さんは明希にとって大切な友達だから」
その言葉を聞いて、如月さんの動きが一瞬停止する。
けれどすぐに、口元を綻ばせた。
「……そうね。やっぱり私から渡したくなったわ」
「ん。それでいいと思う。僕は僕で明希がすんごい喜ぶプレゼントを入手してみせるよ」
「わかった。一応、引き続きリサーチはしておくから」
「ありがと」
こうして、如月さんは〇ィズニーソロをすることになった。
僕はなんとかして明希へのプレゼントを探さなければ。
「ぬーさんのぬいぐるみ?」
「ええ。クリスマスバージョンの」
言いながら、如月さんがスマホの画面を僕の方へ向ける。
そこには、某有名テーマパークのサイトが映し出されていた。
販売商品一覧の中に、その商品を見つける。
「十二月中にパーク内限定販売か……」
「そうみたいね。クリスマスデートしてきて、その時に買ってあげるのがいいのではないかしら?」
そうしたいのは山々なんだけど……。
「クリスマスはもう行き先が決まってるんだ。明希が病院のクリスマスパーティに行こうって」
「病院?」
首を傾げる如月さんに、僕は一通りの説明をする。
「そう……明希さん、昔は大病を患っていたのね。今は元気で良かったわ」
安堵の笑みを浮かべる如月さん。そのまま元の話に戻る。
「となると、天瀬くんが事前に買いに行くのかしら?」
「いや……明希を置いて行ってくるのはなあ。受験が無ければ行きたいだろうし」
「なるほど。彼氏としては気が引ける状況よね」
神妙な顔で頷く如月さん。
それから、数秒おいて、再び如月さんが口を開く。
「私が行ってくるわ。〇ィズニーランド」
「如月さん、〇ィズニーランド行く予定あるの?」
「いえ、特には。けれど大丈夫よ。そろそろ〇ィズニーソロしようと思ってたところだから」
「っ‼」
まさかのソロ! 如月さんつえぇ……。
屈伏してぐうの音も出ない僕。
如月さんは言葉を続ける。
「その時に買ってきて天瀬くんに渡すから、それを明希さんに渡すといいわ」
平然と言う如月さん。
気を回してくれるのはくれるのはありがたいけれど。
「いや、如月さんが入手したものなら、如月さんが渡すべきだ」
「そうかしら? 大好きな彼に一番欲しいものを貰えた方が嬉しいのではないかしら」
「明希はきっと如月さんから貰いたいはずだよ。だって、如月さんは明希にとって大切な友達だから」
その言葉を聞いて、如月さんの動きが一瞬停止する。
けれどすぐに、口元を綻ばせた。
「……そうね。やっぱり私から渡したくなったわ」
「ん。それでいいと思う。僕は僕で明希がすんごい喜ぶプレゼントを入手してみせるよ」
「わかった。一応、引き続きリサーチはしておくから」
「ありがと」
こうして、如月さんは〇ィズニーソロをすることになった。
僕はなんとかして明希へのプレゼントを探さなければ。
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