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第二章 如月さんとの協力関係
交渉
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咲野が天瀬と付き合っている。
咲野優に彼氏ができた。
朝の出来事が原因で、そういう噂が校内に広まりつつあった。
咲野さんとのこと、それから如月さんと二条院さんの対立。
二つのことに一晩頭を悩ませ、僕は取る行動を決めた。
「で、なんなの? 話しって……」
翌日の昼休み。僕は二条院さんを屋上に呼び出していた。
不機嫌そうな口ぶりの二条院さん。巻き髪を指先でくるくると弄っている。
「如月さんの事なんだけどさ。僕、見ちゃったんだよね。二条院さんと如月さんが二人で話してるところ」
僕の発言に、二条院さんは目を見張り、動きを止める。
僕は言葉を続ける。
「単刀直入に訊くね。もし僕が咲野さんと付き合ったら、如月さんを敵視するの、やめてくれるのかな?」
「……逆に訊くけど、やめないなら、付き合わないってこと?」
二条院さんの質問に、僕は首肯する。
それを見て二条院さんは唇を噛んだ。
「なんで? 優って大人気なんだよ? 天瀬もわかってるでしょ?」
僕は再度頷く。
「だったら……」
悲痛に歪んだ表情で、二条院さんは問いかけてくる。
「そんな子の特別になれるのに、どうして受け入れないわけ?」
余りの剣幕。二条院さんの空気に飲まれそうになる。
少し間をとってから、僕は答える。
「……受け入れる理由が弱いから……かな。楽しそうだから、優しそうだから、可愛いから……。なんとなくの理由はあるけれど、それだけだ」
「それだけじゃ、ダメ? 付き合ってるうちに好きになっていったらいいじゃん……。それとも、何? 天瀬、如月の事好きなわけ?」
ヒートアップする二条院さん。
僕はできるだけ冷静に答えた。
「如月さんは、大切な友達の一人だよ」
「……っ」
言葉に窮する二条院さんに、僕は一歩近づく。
「とにかく。僕が咲野さんと付き合うことで、如月さんと二条院さんが和解してくれるのならば、付き合おうと思う」
淡々と言って、二条院さんの返事を待つ。
歯噛みしながら、時間をかけて考える二条院さん。
それだけ咲野さんのことが大切なのだろう。
しばらくして、二条院さんが顔を上げる。
不満げながらも、強い視線で僕を見据えてくる。
そして、彼女の返答は。
「……わかった。ウチは今後、如月には干渉しない。ただ……優の事、好きになる努力はしてよね」
その言葉に、僕は頷く。
これで交渉は成立。
如月さんと二条院さんの対立は解消される。
咲野優に彼氏ができた。
朝の出来事が原因で、そういう噂が校内に広まりつつあった。
咲野さんとのこと、それから如月さんと二条院さんの対立。
二つのことに一晩頭を悩ませ、僕は取る行動を決めた。
「で、なんなの? 話しって……」
翌日の昼休み。僕は二条院さんを屋上に呼び出していた。
不機嫌そうな口ぶりの二条院さん。巻き髪を指先でくるくると弄っている。
「如月さんの事なんだけどさ。僕、見ちゃったんだよね。二条院さんと如月さんが二人で話してるところ」
僕の発言に、二条院さんは目を見張り、動きを止める。
僕は言葉を続ける。
「単刀直入に訊くね。もし僕が咲野さんと付き合ったら、如月さんを敵視するの、やめてくれるのかな?」
「……逆に訊くけど、やめないなら、付き合わないってこと?」
二条院さんの質問に、僕は首肯する。
それを見て二条院さんは唇を噛んだ。
「なんで? 優って大人気なんだよ? 天瀬もわかってるでしょ?」
僕は再度頷く。
「だったら……」
悲痛に歪んだ表情で、二条院さんは問いかけてくる。
「そんな子の特別になれるのに、どうして受け入れないわけ?」
余りの剣幕。二条院さんの空気に飲まれそうになる。
少し間をとってから、僕は答える。
「……受け入れる理由が弱いから……かな。楽しそうだから、優しそうだから、可愛いから……。なんとなくの理由はあるけれど、それだけだ」
「それだけじゃ、ダメ? 付き合ってるうちに好きになっていったらいいじゃん……。それとも、何? 天瀬、如月の事好きなわけ?」
ヒートアップする二条院さん。
僕はできるだけ冷静に答えた。
「如月さんは、大切な友達の一人だよ」
「……っ」
言葉に窮する二条院さんに、僕は一歩近づく。
「とにかく。僕が咲野さんと付き合うことで、如月さんと二条院さんが和解してくれるのならば、付き合おうと思う」
淡々と言って、二条院さんの返事を待つ。
歯噛みしながら、時間をかけて考える二条院さん。
それだけ咲野さんのことが大切なのだろう。
しばらくして、二条院さんが顔を上げる。
不満げながらも、強い視線で僕を見据えてくる。
そして、彼女の返答は。
「……わかった。ウチは今後、如月には干渉しない。ただ……優の事、好きになる努力はしてよね」
その言葉に、僕は頷く。
これで交渉は成立。
如月さんと二条院さんの対立は解消される。
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