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24 恋煩い

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 いつもより早く目が覚めてしまった。
 まひるさんを迎えに行って一緒に登校するという約束を意識しすぎたせいだろうか、それとも屋根を打つ微かな雨音のせいだろうか――。
 まあ、こっちから迎えに行くと言っておいて遅刻する――なんて、情けないことになるよりはずっといい。
 ベッドから抜け出し、支度をする。

 ♢

 普段の三倍はのんびりと支度をしたのだけれど、それでもまひるさんの家に向かうには、だいぶ早かった。
 少しだけ勉強をして時間を潰そう――机に向かってノートを開く。
 けれど、まひるさんのことを考えてしまって集中できない。

「あー。やめだ、やめ」

 五分もしないうちにノートを閉じ、大の字になってベッドにダイブする。
 
「好きでもない女子と、一緒に昼飯食ったり、縁日まわったりしてるのか?」

 昨日、勇気に言われたことを思い出す。
 初めて昼食を一緒に食べたときは、気になる、という程度だった。
 それに、その感情はまひるさんに対してだけでなく、熊谷さんに対しても抱いていたかもしれない。
 でも、縁日に行ったときは……。

「むがぁぁぁ!」

 心がムズムズしてきた。思わず枕に顔を埋めて、足をバタバタさせてしまう。
 
「……やめやめ」

 僕の感情に関しては、まあ、決まっている。
 ちゃんと自覚している。
 自覚しているから、恥ずかしさというか、照れというか――そういう気持ちを感じるんだ。
 
 自分のことを考えるのはやめにして、まひるさんのことを考え始める。
 まひるさんの場合はどうなんだろう?
 好きでもない男子と、一緒に昼食を食べたり、縁日まわったりするのだろうか?
 好きでもない男子と、一緒に登校するだろうか?
 昼食や縁日は、まあ、グループでだったら行くこともあるかもしれない。
 けれど、昨日の朝みたいに、二人きりで一緒に登校することはないと思う。
 というか、昨日、わざわざ僕の家の前で待ってたんだよな……?
 それって、けっこう好感度高いんじゃないだろうか……。
 …………。

「むがぁぁぁ!」

 勝手に想像して悶え苦しみながら、時間を潰す僕なのであった。
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