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13 様子がおかしいまひるさん①

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 週が明けて、月曜日。
 ホームルーム前の教室。普段通りの喧騒。
 平凡な一週間が始まろうとする中で、まひるさんの様子だけがいつもと違っていた。
 頬杖をつき、物憂げな表情で窓の外を眺めるまひるさん。
 彼女が愛用している枕も見当たらない。どうやら持ってきていないようだ。
 僕が教室に入ったときから、まひるさんはすでにこの様子。
 着替えの件があったから、気まずくはあるのだけれども、それでもその気持ちを押し殺してまひるさんに挨拶してみた。
 けれど、返ってきたのは空返事からへんじ。上の空といったご様子だ。
 仕方ないから、僕は大人しく英語の予習をしながら時間を潰していた。
 そんなとき、前方から挨拶された。

「おはよ、小路くん」

 声に反応して顔をあげると、そこには長身の黒髪美少女。熊谷さんだ。

「あ、熊谷さん、おはよう。体調はもう大丈夫なの?」
「うん。もうすっかり治ったわ。心配してくれて、ありがとう」

 それよりも……と、熊谷さんは悪戯いたずらな笑みを浮かべる。

「金曜日は大変だったんだって? まひるを起こしたり、まひるを着替えさせたり……」
「……まひるさんから聞いたの?」
「ええ」

 返事をした後――熊谷さんが僕の耳元に顔を寄せてきて、そっとささやいた。

「小路くん、女の子を脱がせちゃうなんて、やーらしーの」
「反省してます……」

 そう言って顔を伏せた僕に、熊谷さんが慌てて声をかける。

「あ、ごめんね。ちょっとからかっただけだから、気にしないで」
「うん……。でも、まひるさんに悪いことしちゃったのは事実だし……」

 言いながら、隣の席に座るまひるさんのことをちらっと見る。彼女は未だにぼんやりと外を眺めている。

「だいじょーぶ。今は気持ちの整理が追い付いてないだけだから。時間が経てば元に戻るよ」

 安心感に満ちた笑顔でそう言ってくれる熊谷さん。
 熊谷さん、まひるさんから話を聞いているみたいだし、まひるさんの親友である彼女がそう言うのなら……。
 そう思って、まひるさんが元に戻るのを待つことにした。

 結局、まひるさんは一日中、ぼうっと外を眺めていた。
 早く元に戻るといいな。
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